家を建てるタイミングはいつが最適?【2023年最新】最新データ解説
家を建てることは、人生の中で最も大きな決断のひとつです。そのため、家を建てるタイミングで失敗したくないと考える人も多いでしょう。
しかし、家を建てるタイミングに明確な正解はありません。それぞれの生活状況やキッカケが異なるため、自分に合った家を建てるタイミングを見極める必要があります。
この記事では、家を建てるタイミングを見つけるためのヒントとなる、平均データやライフイベント、資金計画について、詳しく解説します。
家を建てるタイミングの基本的な考え方
家を建てるタイミングを考える際に、年齢・住宅ローンの完済時年齢・ライフイベントを参考にするのが良いでしょう。特に住宅ローンでは多額の金額を支払うため、家を建てるタイミングに合わせた資金計画を考える必要があります。
家を建てようと決意した際に、現実的な資金計画を立てるためにも、税金や補助金制度の知識を持つことも重要です。
家を建てるタイミングの平均データ
家を建てるタイミングは人それぞれではありますが、最適な時期を知るために、まずは平均データを確認してみましょう。
参照:国土交通省 住宅局「令和3年度住宅市場動向調査報告書」
家を建てる時点での平均年齢
国土交通省の報告書にある平均データを見ると、注文住宅を初めて取得したときの世帯主の平均年齢は40.0歳です。割合をみると30代が最も多く、46.5%を占めており、次いで40代が23.3%でした。
これは、一般的な住宅ローンが30〜35年返済計画で設定されており、ローン完済時期を定年退職時までとしたい人が多いからです。
家を建てる時点での平均収入
住宅を購入した人のうち、注文住宅を初めて取得した際の世帯主の平均世帯年収は、全国平均で733万円、三代都市圏(東京・名古屋・大阪)で816万円です。
全国平均の割合は、最も多い600万〜800万円が31.6%、次いで400万〜600万円が24.2%で、全体の5割以上を占めています。さらに世帯年収400万円以下も10.1%のため、かなり幅広い層で注文住宅は購入されているのが分かります。
家を建てる時点での平均居住人数
注文住宅購入時の居住人数は、平均3.3人です。つまり、両親と子ども1人のタイミングでの購入が多いといえます。
割合をみると、居住人数2人の場合が26.0%、3人が29.5%、4人が27.3%です。ここから、出産や親との同居など、生活が変化する時期に当てはまることが考えられます。
家を建てるタイミングをライフイベントから考える
家を建てるタイミングを考える際、最も影響が大きいのはライフイベントです。ここではどのようなタイミングがあるか、さまざまなケースをご紹介します。
結婚・出産をしたとき
結婚と出産は、世帯人数が変化する時期のため、多くの人が家を建てようと決意するタイミングです。世帯人数が増えることで、そのとき住んでいる家が手狭になり、住宅購入に対して積極的に検討する人が多いでしょう。
そこで、家を建てる最適なタイミングを見極めるために、出産前と出産後のどちらの時期に検討すべきか、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
出産前に家を建てるメリット・デメリット
出産前に家を建てるメリットは以下の3つです。
- 育児中の負担が軽減される
- 夫婦だけであれば、引っ越しの荷物が少ない
- 出産後の環境変化が少ないため子育てに専念できる
家を建てるまでの準備や打ち合わせなど、大人だけでなら集中して取り組めるため、時間を節約できます。
一方、デメリットは以下の3つです。
- 共働きの場合、転職・退職する可能性があり、収入が減る
- 子育てしやすい環境や立地のイメージがつきにくい
- 第2子、第3子の出産により、世帯人数が変わる可能性がある
引っ越しにより、夫婦どちらかの通勤が難しくなり転職・退職すると、産休・育休の取得ができなくなります。そのため、収入が減る可能性があるでしょう。また、将来的に世帯人数が増えることで、部屋数が足りないと後悔しないよう注意する必要があります。
出産後に家を建てるメリット・デメリット
出産後に家を建てるメリットは以下の3つです。
- 子どものいる生活を具体的にイメージできる
- 子どもの人数や性別が明確なため、間取りを決めやすい
- ライフスタイルの変化に対応しやすい
出産後であれば、子育てに必要な環境を判断しやすくなるため、育児ストレスを軽減できる家づくりができます。
一方、デメリットは以下の2つです。
- 引っ越しのタイミングが難しい
- 引っ越し先の保育園の空き状況を調べる時間が取りづらい
小さな赤ちゃんがいると、家づくりの打ち合わせや引っ越し準備も大変です。保育園の空き状況を調べるなど、計画的なスケジュール管理なども重要でしょう。
子どもが入園・入学するとき
子どもが入園・入学するのに合わせて、事前に住宅を購入する人も多くいます。このタイミングで新天地に引っ越しすれば、通い慣れた場所からの転校によって、子どもに寂しい思いをさせずにすむためです。
また、小学校の入学時期は子どもの部屋を用意するタイミングでもあるため、家族にとっても最適なタイミングです。
子どもが独立するとき
子どもが成長し独立していく時期も、家を建てるタイミングとなるライフイベントです。子どもがいなくなると、空き部屋や使わないスペースが増え、年齢を重ねることによる部屋の移動が減少することが考えられます。
バリアフリーを検討する時期でもあり、部屋数を減らした平屋の家を建てるのもおすすめです。老後の生活に合わせた無理のない資金計画を立てましょう。
三世代で同居するとき
結婚した子どもの家族と同居することを決めたときや、親の介護が必要になったときも、家を建てるタイミングです。二世帯住宅で建てる際には、住宅ローンの配分や間取りなど、後々に問題が起きないよう十分検討しましょう。
ライフイベント以外の家を建てるタイミングもある
ライフイベント以外でも家を建てるタイミングがあります。人によっては、やむを得ないタイミングもあるでしょう。ここでは、日常生活の中でのタイミングを紹介します。
家賃と住宅ローンを比べたとき
住んでいる家が賃貸住宅の場合、家賃と住宅ローンを比べて「賃貸住みはもったいない」と感じることで、住宅を購入するタイミングとなる人が多くいます。
ただし、転勤の多い職種の場合、苦労して家を建てたものの、引っ越しを余儀なくされることも考えられます。ライフイベントと合わせて、長期的な視野で判断しましょう。
昇給や昇格をしたとき
昇給や昇格をしたときも、家を建てるタイミングとして最適です。収入が上がることで住宅ローンの審査に通りやすくなり、生活資金にも余裕を持った状態で、家を建てられます。
住宅ローンの支払額は、月収の25〜30%程度が理想といわれています。ただし、今後の会社の業績や、日本経済状況の変化は予想がつきません。住宅ローンの専門家に収入の見通しなどを相談し、無理のない返済計画を立てましょう。
今の住まいが住みにくいと感じたとき
家にまつわるトラブルが生じることによって住みにくさを感じ、家を建てるタイミングをつかむ場合もあります。
- 会社でテレワークが導入された
- ペットを飼いたくなった
- ご近所トラブルや騒音トラブル
- 家が老朽化してしまった
- 転勤や転職で職場が遠くなった
家を建てることで、気持ちも新たに生活できるため、人によっては最適なタイミングといえるでしょう。
住みたい土地を見つけたとき
住みたい土地を見つけたときも、家を建てるタイミングといえるでしょう。ずっと探していたエリアで、理想的な土地が見つかることもあります。
景観のいい土地や、趣味のスポーツやアウトドアに適した場所を見つけたときに「ここに住みたい、マイホームが欲しい」と突然思うこともあるでしょう。そうしたタイミングが訪れたときのために、日頃から貯蓄を進めておくことが大切です。
家を建てるタイミングを失敗しないために知っておきたい税金と税制優遇措置・補助金
家を建てるには、綿密な資金計画をたてることが重要です。そのためには、住宅ローンの情報以外にも、減税制度も知っておく必要があります。税制優遇措置があれば、それをうまく活用し、家を建てるタイミングを見極めましょう。
家を建てた後にかかる税金
家を建てた後にかかる税金には、固定資産税・都市計画税・不動産取得税があります。これらは土地と建物に課せられる税金で、固定資産税・都市計画税は毎年課税されます。少なくない金額が必要になるため、長期的な資金計画に組み込んでおきましょう。
家を建てるときに受けられる税制優遇措置・補助金
家を建てるタイミングを考える際に、税制優遇措置・補助金制度を上手に活用し、家を建てる資金を減らすことも検討しましょう。
住宅ローン控除制度
正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、個人が住宅ローンを利用した際に、10〜13年間の所得税控除が受けられる制度です。適用されるには一定の条件があり、10年以上のローンがあることや床面積が50㎡以上などがあります。
自分の建てる家が該当するか、信頼できる工務店やファイナンシャルプランナーなど専門家に相談しましょう。
参照:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
認定住宅等新築等特別税額控除
認定長期優良住宅や認定低炭素住宅に認定された家を建てた場合、住宅の面積に応じた金額を控除できる制度です。所得税の控除ではなく所得税の税額控除に該当します。
計算式:1㎡当たりに定められた金額4万5,300円 × 認定住宅の床面積 |
構造の条件はありませんが、いくつかの適用条件があります。また、住宅ローン控除との併用はできません。
参照:国税庁「No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)」
ZEH支援事業
ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、国で定めた基準を満たした省エネ性能の高い住宅がZEH住宅です。経済産業省・国土交通省・環境省が連携してZEH支援事業を行い、ZEH住宅のグレードによって、55〜112万円の補助金が支給されます。
参照:環境共創イニシアチブ「経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業」
LCCM住宅整備推進事業
LCCM住宅は、ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅の略で、ZEH住宅よりもさらに省CO2型低炭素住宅のことです。補助金制度ではZEH住宅よりも厳しい条件を満たせば、限度額140万円までの補助額が支給されます。
参照:国土交通省「『令和5年度LCCM住宅整備推進事業』の第1回募集を開始します!」
贈与を受けた場合の非課税制度
家を建てる際に親や祖父母からの援助が見込めるのであれば、贈与税の非課税制度を活用しましょう。通常、基礎控除額110万円以上は、贈与された金額に贈与税がかかります。
しかし、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、非課税制度が設けられています。一定の条件を満たせば、新築住宅で500万円まで、省エネ等住宅で1,000万円まで、贈与税が非課税です。非課税制度を活用する場合は確定申告が必要なため、書類等を整理しておきましょう。
参照:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
固定資産税の減税
固定資産税は、2023年3月1日までに取得した新築住宅で3年間、認定長期優良住宅に対して5年間、1/2の減額措置があります。減税については自治体から案内があるわけではなく、自分で住宅用地等申告書を作成し、管轄の自治体に提出する必要があります。
家を建てるタイミングは資金計画と住宅ローンが重要
家を建てるタイミングに正解はありませんが、住宅ローンの負担を考えると、定年退職時までに完済できると安心です。家を建てるタイミングと共に、考えておくべき頭金と金利について解説します。
家購入に頭金は必要
堅実な資金計画のためには、家の購入費用の2割程度、頭金を用意しておくのが理想的です。例えば土地・建物の金額を合わせて4,000万円で住宅ローンを組む場合、頭金は800万円程度です。
近年では、頭金なしの住宅ローンを取り扱う金融機関も増えています。しかし、返済を続けながらも安定した生活をするためには、総返済額をできるだけ減らし、返済期間を短くすることが必要です。家を建てるタイミングに間に合うよう、できるだけ貯蓄しておきましょう。
住宅ローン契約は低金利のうちに
住宅ローン契約は、低金利のうちに済ませておくのが得策です。現在は低金利時代ですが、いつ金利が変化するかはわかりません。金利が変化すると、返済金額が大きく変わります。金利が1%上がれば、条件によっては利息だけで500万円以上の差額が発生することもあります。
新型コロナウイルスのパンデミックや、戦争・紛争が起きるなど、社会情勢が不透明な時代のため、金利の有利な時期も検討しておきましょう。
まとめ
ここまで、家を建てるタイミングを見つけるためのヒントとなる、平均データやライフイベント、資金計画について解説してきました。家を建てるタイミングは人それぞれとはいえ、平均データでは30〜40代が最も多い結果となっています。
この結果は、住宅ローンの資金計画とライフイベントの両面から、多くの人にとって家を建てる最適なタイミングだということを表しています。
これから家を建てたいと考える方は、理想の家を建てるためにも、ベストなタイミングを見極めていきましょう。