注文住宅でのトイレ選びのポイントは?タンクレストイレのメリットとデメリットを徹底解説
タンクレストイレのあるトイレ空間

家づくりコラム

注文住宅でのトイレ選びのポイントは?タンクレストイレのメリットとデメリットを徹底解説

タンクレストイレのあるトイレを上から見た写真

見た目がおしゃれなタンクレストイレは、注文住宅でも人気があります。しかし、「設置するメリットは何?」や「本当はデメリットがあるのは?」といった疑問の声も少なくありません。結論から言うと、タンクレストイレにはメリットとデメリットの両方があります。今回は、タンクレストイレの特徴やメリット・デメリット、選び方のポイントについて紹介します。注文住宅のトイレ選びを成功させたい方は、ぜひ最後までお読みください。

タンクレストイレとは

タンクレストイレ

タンクレストイレとは、便器の後ろに貯水タンクがない仕様のトイレを指します。水道に直接つなぎ、水圧で排水するのが特徴です。便器と便座が一体化しており、多くの商品には温水洗浄便座などの機能がついています。ただし、手洗器は備わっていないため、別に洗面スペースが必要です。

従来型トイレとタンクレストイレの違い

従来型の貯水タンク付きトイレは、タンクに貯めた水の勢いで排水する仕組みとなっています。一度水を流すとタンクに水が貯まるまで待つ必要があり、続けて流せないというのが課題です。一方、タンクレストイレは水道と直結しているため、連続して水を流せます。ただし、2階以上に設置する場合、水圧が低いと十分に排水できないので事前の確認が不可欠です。

タンクレストイレ6つの魅力とメリット

タンクレストイレの前でOKサインをする女性

タンクレストイレは、各メーカーが最新機能を搭載した製品を発表しているほど需要があります。従来型のトイレにはない数々の魅力が人気の秘密で、具体的にどのようなメリットがあるのか​​を6つ紹介します。

デザインがおしゃれ

タンクレストイレは貯水タンクがないため、非常にスッキリとした形状が特徴です。本体に凹凸が少ないフラットなデザインで、生活感のないおしゃれな空間を演出できます。デザインの主張が強すぎないのもポイントとなり、モダンから和風まで幅広いコンセプトの内装とも相性抜群です。

また、壁に個性的な柄のアクセントクロスを貼ったり、おしゃれなペンダントライトを選んだりしても、タンクレストイレなら違和感なく馴染みます。実際、「おしゃれだから」という理由で注文住宅にタンクレストイレを選んだ人も多く見受けられます。

スペースを有効に活用できる

タンクレストイレは後ろにタンクがないため、本体の奥行きが従来のトイレと比べて約10cmも短い仕様です。そのため、より壁に寄せて設置でき、トイレ全体の空間を広く使用できます。便器前のスペースも広くとれ、圧迫感を出したくないという人にも最適です。また、便座に腰をかけてもスペースに余裕があるので、大柄な人でもストレスなく使えます。

注文住宅の間とりではリビングやキッチンとの兼ね合いで、トイレの面積が狭くなりがちです。タンクレストイレなら空間を広く使え、ストックをしまっておく収納スペースも確保しやすいという利点があります。

節水性能が高い

トイレメーカーのTOTOによると、約20年前は1回あたりの大洗浄に8Lの水を使用していました。2Lのペットボトル約4本分に相当し、タンクに水が貯まるまでの時間がかかるというのも問題です。世界の一部地域では水不足の影響を受け、トイレの洗浄に使用する水量に規制が設けられており、多くの地域で6L以下、厳しいところでは3.5L以下となっています。

日本でもトイレの節水性に注目が集まり、大洗浄に最小3.8Lの水しか使わないトイレが登場しました。一般的にタンクレストイレはタンクに水を貯める必要がなく、節水効果が高いとされています。しかし、技術の進歩により、タンクありのトイレでも高い節水性能が実現され、どちらを選んでも大差ないというのが現状です。

(出典:TOTO株式会社「Q4 トイレでどれくらい水を使うの? 」)

掃除しやすい

タンクレストイレは貯水タンクがなく、本体に継ぎ目や凹凸が少ないため、拭き掃除が簡単にできます。また、手洗い器部分の水栓がないため、水垢を気にしてこまめに拭き取る必要がありません。トイレ掃除は手間がかかるので苦手という人にとっては、非常に喜ばしいポイントとなるでしょう。

ただし、トイレ掃除は外側だけでなく、便器の内側やその周りも行います。タンクレストイレを選ぶ場合には、便器の素材やフチの形状に注意が必要です。汚れがつきにくい素材や、ブラシが届きやすい形状を選ぶと、家事にかかる時間を短縮できます。

機能が充実している

タンクレストイレには、水道代の節約や汚れ防止機能など、多様な機能が備わっています。メーカー独自の便利機能もあるため、パンフレットや公式サイトで製品を比較検討してみるのもおすすめです。

代表的なメーカーが搭載している機能の一例を紹介します。

魅力的な機能が多いと、どれを選んでいいのか迷ってしまうものです。家族の意見や現在のトイレで抱える問題点を書き出し、求める機能について整理しながら検討を進めましょう。

タンクレストイレを選ぶ前に知っておきたいデメリット

洗面所で手を洗う女性の手元

タンクレストイレには多くのメリットがある一方で、後悔の原因となるデメリットもいくつか存在します。注文住宅のトイレを選ぶ際は、あらかじめデメリットと解決策を理解しておきましょう。

手洗いがない

タンク付きトイレでは、水を流すと上部からも水が出て手を洗える仕様が一般的です。しかし、タンクレストイレには手洗いがないため、手を洗う場所について考える必要があります。たとえば、トイレ内のカウンターに手洗い器を設置したり、壁に埋め込むタイプの手洗い器をとり付けたりする方法があります。しかし、追加の工事となるため費用が余計にかかるのが問題です。

トイレのスペースや予算の関係で難しい場合は、トイレ近くの廊下に洗面台を設置する解決策もあります。最近では、お風呂に誰かが入っていて使いにくいという理由で、廊下に洗面台を配置する間とりも人気です。朝の身支度で脱衣所が混雑するご家庭にも、トイレ近くの洗面台はおすすめします。

水圧が低いと使えない

タンクレストイレは水道管の水圧を利用して排水するため、水圧が低い環境では十分機能しない可能性があります。2階や3階のフロアに設置を考えている方や、水圧が低い地域に新築予定の場合は、入居後に不便を感じてしまうかもしれません。

ただし、一部の製品には水圧を上げるポンプが追加できるため、水圧が低い場所でも問題なく使用できます。タンクレストイレの導入を検討する際は、早めに住宅会社に相談すると安心です。

停電時に不便

タンクレストイレは電動の弁を開閉して水道管の水を流し込む仕組みとなっているため、停電時には水を流せません。しかし、ほとんどの製品には緊急時に備えて、手動で弁を操作できるレバーやワイヤーがついています。地震や台風で電気が使えなくなっても、トイレは排水できるので安心です。

注意したいのは、レバーやワイヤーの位置が本体の奥にあるケースが多いという点です。お子さんや高齢者にとっては操作が難しく、場合によっては手が届かない可能性もあります。停電時でも通常通りの使用を求める方は、電池で動かせるタイプのタンクレストイレを選ぶと良いでしょう。

修理費が高め

タンクレストイレは各メーカーが注力しており、自動洗浄や温水洗浄便座以外にも多くの機能が備わっています。しかし、機能が多いと便利な反面、故障する箇所も増えるのが課題です。さらに、タンクレストイレの便座は便器と一体化しているため、パーツだけを交換できません。便座や温水洗浄便座が故障した場合でも、便器全体を交換する必要があります。

一方、タンク付きトイレは便器と便座を組み合わせてあるので、壊れた部分だけを修理可能です。修理代も抑えられ、長期的に考えると経済的にお得な傾向があります。タンクレストイレを選ぶ際も、必要最低限の機能に絞って修理のリスクを減らしておくと安心です。

価格が高い

タンクレストイレの価格は以前より下がってきたものの、依然として従来のトイレよりも10万円ほど高い傾向にあります。注文住宅に2つ以上トイレを設置したい場合、来客も利用する1階にはタンクレストイレを、家族のみが使用する2階にはタンク付きトイレを選ぶと予算内に収めやすくなります。

また、便器の後ろにコンパクトなタンクが隠れている「ローシルエットトイレ」もおすすめです。見た目はタンクレストイレとほぼ変わらないのに、価格が安いと人気が高まっています。シャープなデザインの製品が多く、奥行きもコンパクトでトイレを広く使えるのが特徴です。

タンクレストイレがおすすめの人

注文住宅のおしゃれなトイレ

タンクレストイレのメリットとデメリットを踏まえ、次の条件に当てはまる方におすすめします。

メーカーによって機能はそれぞれ異なるので、家族のニーズに合わせた製品を選ぶのが重要です。注文住宅の場合、生活動線やほかの設備にも影響を及ぼす可能性があります。ある程度の要望がまとまった時点で、専門家に相談してアドバイスをもらうと確実です。

注文住宅のトイレを選ぶ3つのポイント

提案をする工務店スタッフ

注文住宅は間とりや設計の自由度が高いため、トイレも好みに合わせて選べます。インテリアやデザインはもちろん、機能性にもこだわり、快適で使いやすいトイレを手に入れましょう。注文住宅のトイレを選ぶ際に考慮すべき3つのポイントを紹介します。

使用頻度やライフスタイルに合わせて選ぶ

注文住宅のトイレを選ぶ際は、使用頻度とライフスタイルに合わせた選択が重要です。家族が多く、トイレの使用頻度が高いご家庭では、耐久性とメンテナンスのしやすさがポイントとなります。タンクレストイレは掃除がしやすいというメリットがある一方で、頻繁に使うと故障によるメンテナンス費用がかさむ可能性も増えます。ランニングコストを考えると、タンク付きトイレのほうがおすすめです。

また、ライフスタイルによって、トイレに求める機能も異なります。たとえば、小さなお子さんがいるご家庭では、操作の簡単なトイレが適しています。高齢者がいる場合は、手すりの設置や座りやすい高さの便座を選ぶのがおすすめです。

トイレの設置場所を考える

トイレを家のどこに配置するかも重要なポイントで、階数やほかの部屋の位置との関係も考慮します。たとえば、1階にタンクレストイレを設置すれば、朝の忙しい時間に家族が連続して使用しても困りませんし、お客様にも案内しやすいでしょう。しかし、2階にタンクレストイレを配置する場合は、水圧の問題をクリアする必要があります。

また、トイレはプライベート空間でもあるので、プライバシーを確保できる場所というのも大切な要素です。リビングのように家族が集う部屋よりも、廊下や玄関横に設けたほうが落ち着いて使えます。トイレ内に手洗いスペースがない場合は、すぐに手を洗えるように洗面台の近くに配置するのも1つのアイデアです。

長期的な視点での費用対効果を検討する

注文住宅のトイレは、初期費用だけでなく、修理やメンテナンス費用についても考える必要があります。コストパフォーマンスは長期的な視野で考慮し、無理のない範囲で選びましょう。たとえば、タンクレストイレは初期費用が高いものの、デザイン性が高く、掃除の手間が省けるというメリットがあります。一方、タンク付きトイレは初期費用が抑えられるものの、サイズが大きく、掃除の手間もかかります。

コスト面で考えると、ローシルエットトイレは非常に好バランスです。タンクレストイレとほぼ変わらない見た目で、タンク付きトイレと同レベルの価格となります。タンク式なので、2階以上でも設置できるというメリットもあります。デザイン性と機能性のバランスをとりながら、費用対効果を高めたい方におすすめです。

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まとめ

タンクレストイレは、スタイリッシュなデザインから注文住宅でも人気があります。貯水タンクのないコンパクトなつくりで、トイレを広く使えるのも魅力的なメリットです。一方で、手洗いがない、価格や修理代が高い、水圧の影響を受けやすいなどのデメリットもあります。

家族の人数やライフスタイルによって最適なトイレは異なるので、メーカーホームページやショールームに足を運んで比較検討するのがおすすめです。また、間とりや配管とのバランスも重要となるので、ハウスメーカーや工務店担当者にも相談してみましょう。

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