サンルームの設置で後悔しないためのポイントは?失敗例や注意点、デメリットを徹底解説
サンルームは、自然光をたっぷり取り入れた明るさが魅力的な部屋です。洗濯物を干すスペースや趣味の場所、子どもやペットの遊び場としても活用でき、暮らしを快適にする多くのメリットがあります。しかし、「サンルームを設置して失敗した」「思った以上にデメリットが多かった」と後悔するケースも少なくありません。この記事では、サンルームのメリットとデメリットを詳しく解説するとともに、設置前に知っておきたい注意点や失敗を避けるための具体的な対策を紹介します。マイホームを検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
サンルームとは?魅力と特徴を解説
サンルームとは、ガラスの窓や天井で囲まれた部屋を指します。一戸建て住宅では、庭に張り出して設けられるのが一般的です。フランス語の「Conserve(保存)」という言葉に由来し、「コンサバトリー」という温室がルーツとされています。
サンルームは、ガラスで覆われていて太陽の光を多く取り込めるのが特徴です。そのため、昔は植物を育てる温室として使われていました。その後、住まいの一部として取り入れられるようになり、今では自然光の入るおしゃれな空間として人気です。サンルームの他に、「ガーデンルーム」や「ガーデンスペース」という呼び名があります。
注文住宅でサンルームを取り入れる場合、建築基準法に合わせて基礎はコンクリートで作らなければなりません。家を増築するようなイメージに近く、リフォームよりも新築時の施工がおすすめです。
サンルームを設置するメリットと暮らしを快適にする5つのポイント
マイホームにサンルームを設けると、暮らしが快適になる良い点がいくつもあります。ここでは、注文住宅にサンルームを採用するメリットを5つ紹介しましょう。
1. 天気を気にせず洗濯物を干せる安心感
サンルームは屋根と壁で囲まれているので、雨や風を気にせずに洗濯物が干せます。天気が悪い日でも安心して洗濯物を干せ、共働きの家庭でも安心です。さらに、花粉やPM2.5が洗濯物に付く心配もなく、1年を通して快適に洗濯物を乾かせます。衣類乾燥機にかけられないデリケートな洋服や布団のような大型の洗濯物も干せ、家事効率が上がるのも魅力です。
2. 自然光で明るい空間を実現
サンルームはガラスでできているため、晴れた日は多くの採光が期待できます。サンルームが明るく気持ちの良い空間になるだけでなく、隣の部屋も明るくなるのがポイントです。家全体に太陽光が広がると、広々とした開放感のある家に仕上がります。リビングルームやダイニングの位置を工夫し、サンルームの採光を活かせる間取りをおすすめします。
3. 子どもやペットの遊び場として最適
サンルームは小さな部屋としても使えるので、お子さんやペットの遊び場としても最適です。明るい日差しの中で遊べるだけでなく、天気が悪い日でも楽しく過ごせます。ペットの日光浴にも役立ち、家族全員が満足できるでしょう。お子さんやペットが外に出てしまう心配がある場合は、鍵を付けておくと安心です。
4. 趣味やリラックススペースに活用可能
サンルームは、趣味を楽しむ場所としても使えます。
<サンルームの使い方例>
- 室内でガーデニングを楽しむ
- テーブルとイスを置いてカフェのように使う
- 絵画や陶芸などのアトリエ
- ウォーキングマシンやヨガマットを使用できるトレーニングルーム
- 読書スペース
5. 隣接する部屋の温度調整に役立つ
サンルームは隣の部屋にとって、二重窓のような役割をします。外気温の影響を受けにくくなるため、室温が快適に保ちやすくなるのが特徴です。冬は暖かく、夏は涼しさをキープしやすく、冷暖房費の節約にもつながります。赤ちゃんや高齢者のいるご家庭にもおすすめで、日中の過ごしやすさは抜群です。
サンルームのデメリットと後悔しないための対策
サンルームは家の一部を占めるので、設置にあったって慎重に考慮する必要があります。入居後に、「サンルームを作って失敗した」と後悔しないように、あらかじめデメリットと解決策を知っておきましょう。
夏の暑さ対策は遮熱素材と天幕の活用
サンルームは、周りが半透明のパネルで囲まれています。日差しが多く入るというメリットがある一方で、夏は室温が上昇しやすいというのが課題です。
自宅にサンルームを設けた人の中には、「洗濯物を干していると汗だくになる」という声もあります。洗濯物を干すだけなら短時間で済みますが、お子さんが遊んだり、くつろいだりする環境にはふさわしくありません。
暑さを和らげるためには、天井部分のパネルを「遮熱ポリカーボネート」という熱を遮る素材に変える方法があります。ただし、効果としては暑さが少し軽減する程度で、快適に過ごせるほど涼しくならないのが現状です。
サンルームの暑さ対策としては、天井に取り付ける「天幕」をおすすめします。サンルームの天井に天幕を付けると中に日陰ができ、暑さがかなり和らぎます。天幕の費用は約10万~15万円と少し高めですが、温度を下げる効果は抜群です。
設置費用の高騰にはコストを抑える工夫
サンルームは種類によっては費用がかかり、予算オーバーになりやすい部屋です。SNSやメーカーのカタログで、家族や友だちと楽しそうに過ごしているおしゃれなサンルームの写真を見たことはありませんか。非常に魅力的なものの、軽く100万円を超えてしまうのが現実です。
おしゃれで高級感のある部屋に仕上げるためには、良質な素材が求められます。また、作りもしっかりとさせる必要があり、建築コストが上がる原因です。たとえば、家具は値段が高いものほど、素材やデザインが洗練されています。サンルームも同様に、高い商品ほどおしゃれでリッチな雰囲気が出せる仕組みです。
洗濯物を干すスペースとして設置する場合や、インテリアにこだわらない場合は、手頃な価格のサンルームでも十分です。3~4畳程度の広さであれば、30万~50万円程度で設置できます。
サンルームをおしゃれに仕上げたい場合は、予算内に収まるように注意しましょう。ハウスメーカーや工務店担当者に相談し、無駄のない計画を進めるのがおすすめです。
固定資産税の影響と回避方法
よくある質問に、「サンルームを作ると税金が高くなるのでは?」というものがあります。サンルームは屋根や壁で囲まれていて、基礎はコンクリートで動かせない構造です。そのため、固定資産税の対象となります。
納税額はサンルームの広さや市町村の評価によって異なるものの、一般的には年間で1万~2万円程度です。また、建物は年数が経つにつれて価値が下がるため、税金も次第に安くなります。たとえば、5年後には約65%、10年後には約50%、20年後には約20%まで減る可能性もあります。最初の数年は少し高めであっても、その後は数千円程度に下がる場合がほとんどです。
できるだけ税金を抑えたい場合は、サンルームの種類を検討してみましょう。サンルームと非常によく似たデザインの「テラス囲い」であれば、自治体によっては建物に該当しません。ただし、判断は自治体によって異なるため、サンルームのカタログを市役所に持参して確認してもらうのがおすすめです。
テラス囲いは、テラス屋根にガラス窓やドアを付けた簡易的な造りとなっています。水密性と気密性はサンルームよりも劣るため、用途によっては注意が必要です。
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湿気対策として換気設備と除湿機の導入
サンルームで遊んだり、テーブルを置いてくつろいだりする際には、快適性が欠かせません。サンルームは換気設備が付いていないため、湿気対策が不可欠です。とくに梅雨時に洗濯物を干した後は、中にいるだけで肌がじっとりするくらい湿気が高くなります。
湿度が上がると、サンルーム内で過ごすのが難しくなるだけでなく、洗濯物が乾きにくくなったり、生乾きの嫌な匂いが付いたりするのも問題です。湿気対策として、サンルームにコンセントを付けて除湿機やサーキュレーターを使えるようにしましょう。コンセントは2万円くらいで設置できるので、比較的手頃な価格で工事が可能です。また、換気扇も3万円程度から設置できるので、検討してみる価値があります。
コンセントや換気扇は、後付けが難しい場合も少なくありません。湿気が気になる方は、サンルームの新設時に検討するのがおすすめです。
掃除の手間を減らすポイント
サンルームはガラス張りという特徴があり、土ぼこりや鳥のフンが目立ってしまいます。車を所有している方であれば、洗車をさぼったときに窓に土ぼこりや鳥のフンが付いているのを見つけた経験があるでしょう。同様のことがサンルームでも起き、友人を招いた際に目立つ場所に鳥のフンがこびりついたというケースもあります。
もちろん、外側をこまめに掃除できれば問題ありません。しかし、サンルームは意外と大きく、ミニバンよりも面積がある場合もあります。汚れを目立たなくするには、窓や天井のパネルを半透明にするというのも1つの方法です。ただし、外の景色が見えにくくなり、開放感が減ってしまいます。
開放感のあるサンルームにしたい方、外の景色を楽しみながら過ごしたい方は、透明なガラスがおすすめです。少し手間はかかりますが、定期的な掃除を心がけましょう。
後付から設置するリスクと施工会社の選び方
新築の家には、通常20年から30年程度の長期保証が付いているのが一般的です。しかし、完成後にサンルームを取り付けると、保証が無効となる可能性があります。サンルームを家に取り付ける際、外壁にビスを打って穴を開ける必要があるためです。
マイホームを建てた業者以外に依頼した場合、建物の構造や防水の仕様を知らないまま作業することになります。その結果、外壁の内側の木材や防水シートを傷つけてしまうトラブルはゼロではありません。サンルームの工事で雨漏りや外壁のひび割れが起きても、家を建てた会社に責任はなく、保証が無効となってしまうのです。
サンルームを後から取り付ける場合は、家を建てた会社に依頼しましょう。保証が継続するだけでなく、建物を傷つける心配がありません。大金を払って家を新築したのに、保証を失うのはリスクが高すぎます。完成後にサンルームを取り付けたい場合は、施工会社への相談がおすすめです。
サンルームの設置で後悔しないための3つのポイント
サンルームのデメリットを聞くと不安になるかもしれませんが、設置前に十分な対策を講じれば問題ありません。ここでは、サンルームを作って後悔しないための具体的な方法を紹介します。
目隠しとプライバシー対策
サンルームを人通りの多い場所に設置すると、プライバシーが気になるというのが問題です。以下のような目隠し対策を検討すれば、視線を気にせずに過ごせます。
- 木や植物を植えて自然な目隠しにする
- すりガラスにする
- 窓を半透明にして、外からの視線を防ぐ
- レースのカーテンで視線を遮りつつ、光を取り入れる
- 窓ガラスにフィルムを貼る
防犯を強化して安心な暮らしを実現
プライバシー対策だけでなく、防犯も安心な暮らしには不可欠です。サンルームは空き巣が家の中を下見しやすい環境なので、以下のような方法を取り入れてみましょう。
- 窓に防犯フィルムを貼る
- 窓ガラスを割れにくくする
- 補助錠を取り付ける
- 窓にもう1つ鍵を追加する
- 警報ブザーを設置する
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展示場でイメージを具体化
サンルームのイメージが具体的に浮かばない場合は、住宅展示場やモデルハウスで実物を見てみましょう。実際の家を目にすることで、理想の家づくりが思い描きやすくなります。間取り図や模型でマイホームをイメージするよりも、室内の様子まで体験できるためです。家族全員で足を運べば、サンルーム以外の部屋や生活動線についてもシミュレーションしやすくなります。
まとめ
サンルームはガラス張りのため、明るい空間を作り出します。洗濯物を干す以外にも、暮らしをサポートする魅力的な部屋です。趣味のスペースにしたり、子どもやペットの遊び場にしたりと、さまざまな用途に活用できます。また、隣接する部屋の断熱性を高め、冷暖房の効率を上げられるのもメリットです。
一方で、夏に暑くなりやすく、設置費用の高さや湿気対策、掃除の手間などのデメリットもあります。マイホームへの設置を検討する場合は、防犯やプライバシー対策を考えたり、展示場で実物を確認したりして、後悔のないサンルームづくりを目指しましょう。