【2022年度】ZEH(ゼッチ)住宅でもらえる補助金
【2022年度】ZEH(ゼッチ)住宅でもらえる【2022年度】ZEH(ゼッチ)住宅でもらえる補助金制度を徹底解説補助金制度を徹底解説

家づくりコラム

【2022年度】ZEH(ゼッチ)住宅でもらえる補助金制度を徹底解説

今回は、ZEH住宅の補助金制度について解説していきます。
ZEH住宅のZEHは「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の頭文字です。
ZEH住宅は、太陽光発電によって自らがエネルギーを創出し、高断熱や高効率な設備によって省エネルギーを実現することで、住まいの年間の消費エネルギーを「実質ゼロ」にすることを目的とした住宅です。

【2022年度】ZEH(ゼッチ)住宅でもらえる補助金制度

現在政府は、「環境負荷の低減」と「エネルギー自給率アップ」の観点から、ZEH住宅の普及に力を入れていて、ZEH住宅の建築には補助金や優遇制度を用意しています。
ですが、補助金、優遇制度にはさまざまな種類があり、個々に受け取るための条件が異なりすこし複雑です。

そこでこの記事では、ZEH住宅を建築するときの補助金や優遇制度すべての条件や金額について詳しく解説していきます。
ZEH住宅を検討されている方は、ぜひ最後までお読みいただき参考になさってください。

ZEH(ゼッチ)とは?

ZEHは、電気やガスなどのエネルギー消費量を抑えつつ、太陽光パネルなどの自家発電設備でエネルギーを生み出し、差し引きでのエネルギー消費をゼロに近づける住宅の概念です。
一般社団法人環境共創イニシアチブ(略称:SII)が経済産業省と環境省より委任を受けてZEH(ゼッチ)支援補助金事業を実施しています。

ZEH支援補助金を受け取るためには、「ZEH住宅の定義」を満たす必要があります。そこでここからは、ZEH住宅の定義について解説します。
※当記事は2022年9月現在の情報を元に執筆しています。

ZEH(ゼッチ)住宅の定義

ZEH住宅の定義は、経済産業省 資源エネルギー庁から以下のような基準を定義づけられています。

  1. UA値が、建物が立地する地域の基準値以下であること
  2. 省エネ基準から20%以上の一次エネルギー消費量が削減されていること
  3. 再生可能エネルギーが導入されていること
  4. 基準一次エネルギー消費量から再生可能エネルギー導入量を差し引きして、一次エネルギー消費量がゼロ以下になっていること

ひとつずつ基準を見ていきましょう。

①UA値が、建物が立地する地域の基準値以下であること

高気密・高断熱の住宅は、家全体が密閉・保温されるために冷房・暖房のエネルギーロスが少なくなり、エネルギー消費量が抑えられます。
建物の気密・断熱性能の評価には「外皮平均熱貫流率(UA値:ユーエー値)」が用いられます。
UA値は室内の熱が外にどれだけ逃げてしまうかを表す数値で、建物表面積(外気に接する部分すべて)1㎡あたりの家全体から逃げる熱量のことを言います。
UA値が低いほど建物の熱損失が少ない(≒気密断熱性能が良い)ことになります。建物が立地する地域によりZEH基準を満たすUA値は変わります。

【地域別ZEH基準UA値】

地域区分1地域2地域3地域4地域5地域6地域7地域
ZEH基準
UA値
0.4以下0.4以下0.5以下0.6以下0.6以下0.6以下0.6以下
代表的な都市旭川札幌盛岡仙台新潟東京
名古屋
大阪
宮崎

参考:資源エネルギー庁 ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>平成31年2月
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/assets/pdf/general/housing/zeh_definition_kodate.pdf

②省エネ基準から20%以上の一次エネルギー消費量が削減されていること

省エネ基準から20%以上の一次エネルギー消費量が削減されていること

ZEH住宅には、高効率型の省エネ機器を使用して冷暖房・換気・給湯・照明の「一次エネルギー消費量」を省エネ基準値より20%削減することが求められます。
一次エネルギーとは石油、石炭、天然ガスなどの自然界から得られる化石燃料のことです。電気エネルギーは一次エネルギーを利用した二次エネルギーとなりますが、電気使用量を一次エネルギーに換算して算定します。

③再生可能エネルギーが導入されていること

ZEH住宅の認定を受けるためには、再生可能エネルギーの導入が必要です。これは太陽光発電および蓄電池の設置を想定しています。

④基準一次エネルギー消費量から再生可能エネルギー導入量を差し引きして、一次エネルギー消費量がゼロ以下になっていること。

先述の一次エネルギー消費量を再生可能エネルギーの導入により相殺し、トータルでゼロにすることが求められます。この際に、太陽光パネルの発電容量の基準は求められません。

その他の ZEH(ゼッチ)住宅の定義

ZEH住宅の定義には、いままで解説したもの以外にも、さまざま理由から種類がありますのでご紹介しましょう。

【Nearly ZEHとZEH Oriented】

現在のところ「2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という当初の政府目標の達成には至っていません。
そのため、再度導入を促進するために、エネルギー収支などの条件を緩めた「Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)」「ZEH Oriented (ゼッチオリエンテッド)という概念も導入され、これらを含めた広い概念として「ZEH」が用いられることが多くなっています。

名称内容
Nearly ZEH① ~③はZEH基準と同じ。④を75~100%の削減に緩和したもの。
ZEH OrientedZEH基準の①と②のみ達成しているもの。

【ZEH+(ゼッチプラス)】

ZEH基準の性能を有し、かつ以下のⅠとⅡを満たす住宅はZEH+(ゼッチプラス)の認定が受けられ、補助金の増額などのさらなるメリットがあります。
ZEH+…ZEHの定義を満たして、かつ、以下の①と②を満たすこと。

  1. 省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減すること。
  2. 以下の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上を導入すること

1.外皮性能のさらなる強化

ZEH+では、下記のようにUA値の基準が強化されます。

地域区分1地域2地域3地域4地域5地域6地域7地域
ZEH+
基準UA値
0.3以下0.3以下0.4以下0.4以下0.4以下0.5以下0.5以下
代表的な都市旭川札幌盛岡仙台新潟東京
名古屋
大阪
宮崎

2.高度エネルギーマネジメント システムの導入(HEMSによる住宅設備の制御を想定)
3.電気自動車用を活用した充放電設備の導入(V2Hを想定)
また、ZEH同様に寒冷地や多雪地域向けの緩和基準として「Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)」も用意されています。
Nearly ZEH+…ZEH+の差し引き一次エネルギー消費量基準を75~100%の削減に緩和したもの。

2022年度ZEH(ゼッチ)でもらえる補助金は?

2022年度ZEH(ゼッチ)でもらえる補助金

ZEH認定住宅の購入には一般住宅に比べてコストが掛かりますが、政府が補助金事業により建築を推進しています。ここでは、ZEH認定住宅でもらえる補助金について、それぞれ解説していきます。
なお、補助金を得るためには「新築住宅を建築・購入する個人」であり、「ZEHビルダー/プランナーが関与(設計・建築または販売)する住宅であること」が共通の条件となります。
参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ「経済産業省および環境省による戸建ZEH補助事業」
https://sii.or.jp/zeh04/
参照:一般社団法人環境共創イニシアチブ「2022年の経済産業省と環境省のZEH補助金について」
https://sii.or.jp/moe_zeh04/uploads/zeh04_pamphlet1.pdf

ZEH(ゼッチ)住宅の基本補助金

【対象となる住宅】

ZEH+(ゼッチプラス)住宅の基本補助金

【対象となる住宅】

【補助金額】

一戸当たり定額100万円

蓄電池等の追加補助金

基本補助金額に加えて、下記に挙げる蓄電池等のエネルギー効率的利用システムや先端技術の導入に対して追加の補助金が用意されています。

導入するもの追加補助金額
蓄電システム(定置型)2万円/kWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低い額を加算
直交集成板(CLT:大判の木質パネル建材を利用した先進木構造システム)90万円/戸
地中熱ヒートポンプ・システム90万円/戸
PVTシステム(太陽熱利用と太陽光発電を組み合わせるシステム)(液体式)65万円/戸もしくは80万円/戸
(空気式)90万円/戸
液体集熱式太陽熱利用温水システム12万円/戸もしくは15万円/戸

その他の補助金

ZEH、ZEH+の補助金とは別に、以下の先端的省エネ事業も補助金の対象となります。

【次世代ZEH+(注文住宅)実証事業】

ZEH+に係る要件を満たしたうえで、以下のいずれか1つ以上を導入することが要件です。「ZEH+」が環境省管轄なのに対して「次世代ZEH+」は経産省管轄のため対象とする機器が違うことに注意が必要です。

<導入要件>
  1. 蓄電システム
  2. V2H充電設備(充放電設備)
  3. 燃料電池
  4. 太陽熱利用温水システム
  5. 太陽光発電システム10kW以上
【補助金額】

一戸当たり定額100万円

【次世代HEMS実証事業】

太陽光発電システムによる創エネルギーを最大活用し、自家消費量を更に拡大することを目的に、AI・IoT技術などによる最適制御する仕組み(HEMS:ヘムス)を備えていることが条件となります。

【補助金額】

一戸当たり定額112万円

ZEH(ゼッチ)補助金の申請スケジュール

ZEH補助金の基本的な申請スケジュールは下記の流れになります。

  1. 一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が認定・登録する ZEHビルダー・プランナーに相談
  2. 交付申請書・添付書類の作成および提出
    2022年度の公募スケジュールは下記の通りです。先着順に受付となり、予算上限に達した場合はそれ以降の申請は原則受理されませんので、早めに申請を提出するようにしましょう。
    〈一次公募〉2022年5月13日(金) ~ 2022年6月17日(金)(受付終了)
    〈二次公募〉2022年7月4日(月) ~ 2022年8月19日(金)(受付終了)
    〈三次公募〉2022年8月29日(月) ~ 2022年10月21日(金)
    〈四次公募〉2022年11月21日(月) ~ 2023年1月6日(金)
  3. SIIが申請を受理・審査、交付決定
  4. 事業着手後に中間報告
  5. 実績報告後、補助金額が確定して振込

【2022年度】その他のZEH(ゼッチ)優遇制度

ZEH住宅には、住宅ローン控除の対象額の増加や住宅ローン金利が優遇されるなど、補助金以外にもお得な制度があります。

住宅ローン減税制度

2022年の税制改革により2025年末まで4年間期限が延長された「住宅ローン減税」では、「ZEH水準省エネ住宅」で借入限度額が4,500万円となります(※1)。
一般住宅の借入限度額2,000万円ですので、いかに優遇されているかがおわかりいただけると思います。
なお、控除期間は、新築および買取り再販住宅で13年、既存住宅10年です。
(※1) 令和6年の入居からは3,500万円となります。

参考:令和4年度 国土交通省税制改正概要 P10
https://www.mlit.go.jp/page/content/001445195.pdf

住宅ローン優遇金利

住宅ローンを利用してZEH住宅を購入する場合、環境配慮型住宅の特別金利としてローン金利の優遇が受けられるケースがあります。
ZEH住宅でローンを検討されている方は、各金融機関に問い合わせして確認するようにしましょう。

ZEH(ゼッチ)住宅のメリットとデメリット

ZEH(ゼッチ)住宅は優れた省エネ性能で家庭の光熱費をおさえ、快適な居住環境を得られます。しかしその一方では住宅設備に費用がかかる点も気になります。
最後にZEH住宅を建てるメリット・デメリットについてまとめました。

ZEH(ゼッチ)住宅のメリット

快適な居住性

ZEH住宅で真っ先に挙げられるメリットは、居住性の向上です。
気密断熱性能に優れた住宅は外気の影響を受けにくくなり、夏の暑さや冬の寒さが和らぎます。
特に、冬場の「ヒートショック」の危険が各段に減ることは大きなメリットといえます。
ヒートショックとは、冬場の部屋間の温度差により急激に血管が収縮して脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすこと。特に脱衣室や浴室で発生しやすいとされています。
ZEH住宅はその優れた気密断熱効果で年間を通して室内の温度環境の変動が少なくなるので、ヒートショックが懸念される高齢の方の居住性は向上します。

光熱費の削減

気密断熱性能に優れたZEH住宅は、外部に逃げる熱ロスが少ないため最小限のエネルギーで空調が可能です。その結果、光熱費の削減に繋がります。
また、原則として太陽光発電設備を導入するので、その発電量を自家消費に充てることで、電力会社から購入する電力量を抑えられます。昨今の電気料金の高騰対策としても非常に有効で、家計の大きな助けとなります。

災害時の非常電源

太陽光発電による自家発電は、自然災害等による大規模停電時に大きな威力を発揮します。電力が復旧するまでの間、生活に必要な最低限の家電製品の稼働や携帯電話などの通信機器の充電をまかなえます。
また、蓄電池を導入するとさらに電力消費を効率化できます。昼間の発電余剰分を蓄電池に貯めておき、その電力を夜間に使用できます。夜間に照明器具が点灯できるのは、災害時には非常に心強いでしょう。

ZEH(ゼッチ)住宅のデメリット

建設費用のコストアップ

ZEH住宅は、建物の気密断熱性能を高めるための断熱材やサッシ等の建材費が掛かり、最先端の省エネ設備機器の導入が必要なため建設費のコストアップになります。

設備メンテナンス費用のコストアップ

高性能の設備を導入するZEH住宅では、性能を維持するために定期的なメンテナンス費用が掛かります。また、耐用年数を超えたときの入れ替え時にも同等の性能を持つ設備が必要となるため、将来的なコスト負担が大きくなる傾向があります。

不確実な太陽光の発電量

ZEH住宅は太陽光発電設備の導入が前提となりますが、太陽光発電は天候に大きく左右されます。その年によっては、日射量が不足し当初計画通りのエネルギー収支にならないこともあります。

まとめ

ここまでZEH(ゼッチ)住宅でもらえる補助金制度やZEH住宅の要件について解説してきました。
ZEH住宅は、住宅の省エネルギー化および再生可能エネルギーの積極的導入の起爆剤として政府が積極的に推進している住宅仕様です。
そのため、補助金など多くの優遇政策が用意されています。
これから住まいの建築予定の方は、補助金や優遇制作を上手に利用して、快適な居住空間を得られるZEH住宅を検討してみてはいかがでしょうか。

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