太陽光発電は後悔する?後悔する原因と対策をくわしく解説
太陽光発電は後悔する?後悔する原因と対策をくわしく解説

家づくりコラム

太陽光発電は後悔する?後悔する原因と対策をくわしく解説

太陽光発電は後悔する?後悔する原因と対策をくわしく解説

太陽光発電の導入は、これから新築を検討されている方にとって悩ましいポイントですね。

ネットを見ると太陽光発電を後悔している声が多く、太陽光発電を導入していいものか不安が募ります。

ですが、太陽光発電はその仕組みをしっかり理解することで、これから高騰が懸念される電気代を節約できます。

そこでこの記事では、太陽光発電で後悔しないために、「太陽光発電の仕組み」や「導入費用」、さらには「後悔する原因と対策」についてくわしく解説していきます。

太陽光発電で後悔するパターンとは?

太陽光発電で後悔するパターンを説明する前に、太陽光発電の仕組みと設置するメリットについておさらいしておきましょう。

あわせて読みたい 家づくりコラム「【2023年最新】太陽光発電の設置にかかる費用はいくら? 補助金や必要設備の種類もあわせて解説

太陽光発電の仕組み

太陽光発電とは、太陽電池を強化ガラスで覆った「太陽光パネル」を建物の屋根などに設置して、太陽光のエネルギーを電気に変換して利用する仕組みです。

太陽電池から得られる電力は直流電流のため、そのままでは家庭内で使用できません。
太陽光発電設備では、直流電流を交流電流に変換する「パワーコンディショナー」と「太陽光パネル」のセットでの運用が必要になります。

なお、戸建住宅の屋根に設置する小型の太陽光発電設備は「住宅用太陽光発電」として分類され、その出力容量は10 kWh未満と定められています。

太陽光発電を設置するメリット

住宅用太陽光発電のひとつ目のメリットとしては、発電分を家庭内の照明や家電製品などの電量に使用する「自家消費」に充てられ、節電になることです。
電気料金が高騰している現在では、自家発電・自家消費は家計の大きな助けになるでしょう。

ふたつ目のメリットは、使いきれなかった余剰分の電力を、固定価格買取制度(FIT)を利用して電力会社に売電し、収益を得られることです。

最近では、家庭用蓄電池や、電気自動車のバッテリーを住宅の電源につなぐ「V2H(Vehicle to Home)」との組み合わせで、太陽光による発電を余すことなく効果的に使える仕組みも提案されています。

太陽光発電で後悔するパターン

「業者の提案した収支シミュレーションと合わず、全然投資回収できず後悔している」
「高額のメンテナンス費用が掛かり、収支が赤字で後悔した」
「パネルの反射光や騒音トラブルで近隣関係が悪化して後悔した」
「業者に高額な蓄電池を勧められて導入したが後悔している。まったく活用できていない」

太陽光発電を設置して後悔する声がSNSで散見されますが、このような後悔は太陽光発電に対して理解を深めれば避けれます。

ここからは、後悔の原因と対策方法を詳しく解説します。

太陽光発電で後悔する原因①収支が合わない

太陽光発電で後悔する原因①収支が合わない

太陽光発電設備の設置コストを回収するまでの期間は、10年前後が目安と言われています。

これは、固定価格買取制度(FIT)を利用した住宅用太陽光発電(10kW未満)の固定価格買取期間が10年間となっており、その期間内での投資回収を目安として制度設計されているためです。

太陽光発電の設置費用相場

経済産業省の調査によると、2021年の住宅用太陽光発電について、設置費用の平均値は1kWあたり約28万円でした。

設置費用の内訳は、太陽光発電を構成するシステム機器(太陽光パネルやパワーコンディショナー)と取付部材(取付架台や副資材)の価格が8割、設置工事費が2割の配分です。

太陽光発電の設置費用相場 経済産業省 調達価格等算定委員会「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」について

参照:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」について(P21-22)

先述の通り、住宅用の太陽光発電の場合は10kW未満の規制があります。
実際には、3~6kW程度の出力で運用するケースが多いようです。

参考に、一般的な住宅の場合での出力別の設置費用を試算すると、3kWの場合は84万円、6kWの場合は168万円という金額が目安となります。

固定価格買取制度(FIT)を利用した売電収入

住宅用太陽光発電(10kW未満)の固定価格買取(FIT)単価は、2012年から下記のように推移しています。

年度201220132014201520162017201820192020202120222023
調達
価格
(円)
423837333128262421191716
調達
期間
(年)
101010101010101010101010

表を見てお分かりたいだけるように、電力の調達価格が年々単価が下がっていますが、これは太陽光発電の設置費用のコストダウンに合わせて低減されているためです。

参照:経済産業省 資源エネルギー庁 公式サイト「FIT・FIP制度」

太陽光発電設備の売電収支と投資回収期間は、次の式で求められます。

売電収支=(売電量✕売電単価)-維持経費
投資回収期間(年)=設置費用÷1年間の売電収支

売電単価は制度で決まっていますので、太陽光発電の投資回収期間を早めるためには、

上記の3つを念頭に導入を検討することで後悔を避けられます。

自家消費電力として利用する

売電収入とは別に、太陽光発電を住宅内の自家消費に多く回せれば電力会社からの購入量の節減になり、間接的に投資回収が早まることになり後悔を避けられます。
自家消費を加味した投資回収期間は次の式で求められます。

投資回収期間(年)=設置費用÷{(1年間の売電収支)+(自家消費量×電力会社の料金単価)}

ただし、自家消費量を多くしようとしても、発電量の多い日中に不在がちな共働き世帯などではなかなか難しいのが現実です。

そこで自家消費量を高めるために効果的なのが太陽光発電の蓄電池の導入です。
昼間の太陽光発電を蓄電池に充電しておき、その分を夜間の自家消費に充てるという手段が使えます。

電気自動車のバッテリーを家庭用蓄電池として活用する「V2H」の導入も、同様の効果を得られます。

太陽光発電で後悔しないために、損をしない方法

損をしない方法①複数の会社に収支計のシミュレーションを依頼する

太陽光発電を設置して後悔しないためには、想定売電量と売電単価、自家消費量のバランスをきちんとシミュレーションし、目標とする投資回収期間を明確にしておくことが大切です。
検討の際には必ず複数社にシミュレーションを依頼して、希望に合った提案を選定するようにすることで後悔を避けられます。

損をしない方法②設置費用を住宅ローンのなかに組み込む

住宅の新築と同時に太陽光発電を導入する場合は、その設置費用を含めて住宅ローンを組むことが後悔しないポイントです。

リフォームローンで導入するより金利が安くなりますし、住宅ローン控除など各種の減税メリットもあります。

損をしない方法③補助金制度を活用する

太陽光発電や蓄電池の設置費用に独自の補助金制度を用意している自治体もあります。
例えば、東京都は電気自動車とV2Hの組み合わせで太陽光発電の設置費用にも適用できる補助金制度があります。

建築予定値の自治体に問い合わせて上手に補助金を活用することで、のちの後悔を避けられます。

自治体の太陽光発電の補助金については下記リンクをご参照ください。

参照:クールネット東京 家庭における蓄電池導入促進事業
参照:クールネット東京 電気自動車等の普及促進事業(V2H)
参照:姫路市HP 住宅用発電設備普及事業

太陽光発電の設置が前提となっているZEH(ゼッチ)住宅であれば、一戸当たり55万円(上位仕様のZEH+の場合は100万円)の補助金が受けられます。

ご自宅をZEH仕様で建築することを検討されている方は、太陽光発電関連設備の設置費用が補助金対象になるか、ハウスメーカーや工務店に問い合わせてみましょう。

ZEH住宅の補助金について詳しくは下記リンクをご参照ください。

参照:一般社団法人環境共創イニシアチブ 経済産業省および環境省による戸建ZEH補助事業

太陽光発電で後悔する原因②メンテナンス費用が掛かる

太陽光発電を後悔する「太陽光発電はメンテナンス費用が掛かりすぎて…」という声をSNS界隈でよく見かけます。

太陽光発電を設置して後悔しないために、メンテナンスや保険など維持管理に掛かる費用を正確に見積もって準備しておくと安心です。

ここからは太陽光発電で後悔しないために、将来のメンテナンス費用と対処法をご紹介します。

将来に備えたメンテナンス費用①太陽光発電で後悔しないために4年1回定期点検をする

FIT制度を利用する太陽光発電設備は、4年に1回程度の定期点検が推奨されています。

パネルの目視点検だけでなく、電流値や接地抵抗などの電気的計測も必要ですので、専門業者に委託する必要があります。その費用は1回あたり2~5万円が相場になります。

太陽光パネル自体は20~30年はメンテナンスフリーで稼働し続ける耐久性がありますが、もうひとつの重要設備であるパワーコンディショナーは10~15年を目安に交換する必要が出てきます。

交換には1台あたり20~30万円の費用が掛かることが一般的ですので、その費用も太陽光発電全体の収支計算としておくと後悔しないで済みます。

将来に備えたメンテナンス費用②自然災害に備えて保険をかけておく

落雷による設備の損傷、台風による飛来物やヒョウ害による太陽光パネルの破損、あるいは発電設備の部品が飛び近隣の建物や通行人などの第三者に被害を及ぼした場合などは、メーカーの製品保証や工事会社の保証は適用されません。

そのような自然災害に遭ってしまった場合は、高額な修理や賠償費用が掛かり、せっかく太陽光発電にかけた費用が無駄になって後悔することに…。

そこで、自然災害で損害を受けた場合に掛かる修理費用や第三者損害に対する賠償に備えた保険に加入しておくことをおすすめします。

年間保険料の相場は、各種条件によって異なりますが、一般的には設置費用の1〜2%程度です。

将来に備えたメンテナンス費用③将来の修繕・撤去に備えて信頼できる工務店を選ぶ

太陽光発電を後悔したという意見の中に「太陽光パネルを屋根に載せて失敗した!」という声があります。

その住宅では、施工不良で雨漏りが発生したが、業者と音信不通になって後悔することになってしまったようです。

太陽光発電の施工を依頼する際は、依頼する工務店やハウスメーカーの実績と工事保証をよくチェックしましょう。

新築工事の場合は、依頼する工務店やハウスメーカーに太陽光発電工事も同時に依頼すれば、それも含めて保証・点検してくれるので、後悔するようなことは少ないです。

あわせて読みたい家づくりコラム「注文住宅の工務店を選び方とは?注意ポイントもあわせて解説

また、太陽光パネルを撤去処分する場合は費用がかかることにも注意しましょう。
技術進歩により、年々処理費用は安くなる傾向はありますが、将来の世代が後悔しないために廃棄処分にかかる費用も把握しておきましょう。

太陽光発電で後悔する原因③新築住宅の間取りと形状が制限される

太陽光発電で後悔する原因③新築住宅の間取りと形状が制限される

新築住宅で太陽光発電を導入する場合は、土地の選定から十分に検討することで、のちのち後悔を避けられます。

新築後に周囲に高層の建物が建ち、日陰になって後悔することもあります。将来の開発の可能性も含めて、隣接地も注意して観察してみてください。

また、後悔する声のひとつに「建物のかたちと間取りを太陽光パネルの発電量を優先して決めてしまった」というものがあります。

発電量を重視すると、必然的に南向きの大屋根になります。東西に長い形状の敷地であれば問題ないのですが、敷地形状と建物形状がマッチしないケースもあります。

発電量を優先して間取りを後悔するのは本末転倒な話ですので、まずは希望の建物配置と間取りを優先に検討し、そのうえで太陽光発に適した屋根の掛け方を設計士と相談するようにしましょう。

地域密着型の工務店であれば土地探しから親身に相談に乗ってくれますので、安心して太陽光発電の導入が叶いますし、後悔することは少ないです。

太陽光発電で後悔する原因④近隣トラブルの発生

太陽光発電を後悔する意見の中で、意外に多いのは近隣トラブルです。

それは、野立てソーラー発電所の太陽光パネル反射光による光害です。

住宅の屋根に載せる程度の規模であれば近隣への影響もそれほどはありませんが、念のため太陽光パネルを設置する予定の屋根対面に隣家の窓が無いかをチェックしておきましょう。

また、意外と盲点なのが、パワーコンディショナーが原因の騒音クレームです。
これはパワーコンディショナー内の冷却ファンの風切音によるもので、設置位置を隣家の窓を避けるようにしておくと後悔せずに済みます。

降雪の多いエリアは落雪によるトラブルに注意が必要です。
太陽光パネルの上に積もった雪は滑り落ちますので、そのまま隣家の敷地に落雪してしまう可能性があります。屋根の軒先と隣地や道路が近い場合は、パネルの配置を避けるのが無難でしょう。

太陽光発電で後悔する原因⑤蓄電池を使いこなせない

セールストークで勧められるままに太陽電池の蓄電池を購入し、後悔する声も多く聞かれます。

これは、投資コストに見合わない過大な容量の蓄電池を設置することが原因です。
蓄電池はまだまだ世の中に普及段階の機器ですので、非常に高額な設備です。
のちに後悔しないために、国や自治体の補助金が活用して蓄電池を導入することをおすすめします。

また、平日自家用車を自宅に待機させておくことが多い生活スタイルの場合は、蓄電池よりも電気自動車とV2Hを導入するほうがお得な場合もあります。

蓄電池とV2Hはどちらも国が導入を促進している機器ですので、各種の補助金の利用が期待できます。
補助金情報については、下記のリンクを参考にしてみてください。

参照:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(Sii)公式サイト
参照:一般社団法人 次世代自動車振興センター 公式サイト「補助金情報一覧」

まとめ

ここまで、太陽光発電を導入して後悔するパターンと、その回避策について解説してきました。

太陽光発電は、国や自治体が各種の補助金などの優遇策を用意して導入を後押ししていますので、家計にも大きなメリットがあります。
設備の特徴と掛かる費用を正しく理解し、上手に導入すれば後悔することはありません。

太陽光発電を導入して後悔しないためには、発電シミュレーションを繰り返し行い、売電収支と維持管理費から算出できる投資回収期間を明らかにすることが第一歩と言えるでしょう。

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