注文住宅での太陽光発電5つのメリットと初期費用回収のシミュレーション
注文住宅を建てる際に、太陽光発電の導入を検討していませんか。今回は、太陽光発電のメリットと初期費用回収のシミュレーションについてご紹介します。
屋根の上にソーラーパネルを設置する大掛かりな装置なだけに、本当にメリットがあるのか不安に感じるかもしれません。具体的な金額も提示するので、どのような影響を生活に与えるのかイメージできます。ぜひ、家づくりの参考にお読みください。
太陽光発電とは?
太陽の光エネルギーを利用して、自宅で発電するシステムです。太陽の光は枯渇しないため、再生可能エネルギーの1つとして注目を集めています。
太陽光発電は、世界中で急速に普及しています。日本でも、屋根にソーラーパネルを設置している住宅や建物を見かける機会が増えてきました。
発電過程で二酸化炭素などの有害物質を排出しない、クリーンなエネルギーというのが人気の秘密です。地球温暖化が深刻な問題として捉えられている中、大規模な気候変動を防ぐ策としても役に立ちます。
必要な機器と設置場所
太陽光発電は容量によって設置施設が異なります。一般的な住宅に用いるのは、出力が10kW未満のシステムです。
ソーラーパネルと呼ばれる、太陽光パネルのみで稼働できるイメージがあるかもしれませんが、実際にはさまざまな機器を必要とします。以下は、太陽光パネルで集めた光エネルギーを家庭内で使うために必要な機器の一例です。
- 太陽光パネル
- 架台
- パワーコンディショナ
- 配線
- 接続箱
- 分電盤など
太陽光パネルは光を電気に変換する役割を果たし、架台はパネルを固定するために欠かせません。パワーコンディショナは、太陽光パネルから発電された直流の電気を交流に変換します。接続箱は、太陽光パネルから送られてきた電気を1つにまとめてパワーコンディショナに送る役割を果たします。
ほとんどの住宅で太陽光パネルは屋根に設置するため、庭や駐車場のスペースに支障をきたしません。住宅街に注文住宅を建てる際も、比較的簡単に導入できます。
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太陽光発電を注文住宅に設置する5つのメリット
新築住宅に太陽光発電をおすすめしたい理由は多くあります。環境にやさしいだけでなく、光熱費削減に役立つのもポイントです。ここでは、主なメリットを5つ紹介しましょう。
メリット1: 電気代削減による経済的な利益
太陽光発電の最大のメリットとして、電気代の削減があります。
環境省のデータによると、太陽光発電の1kWあたりの年間予想発電量は平均1,215kWhです。たとえば、容量5kWの場合、年間で6,075kWhの電力を発電できます。
このうち31.2%が自宅で使用されるため、年間1,895kWh相当の電力を自家消費します。自家消費とは、発電した電力を個人が使うことです。電気を自宅で生成するので、自家消費分の電気代はかからないと考えましょう。
全国家庭電気製品公正取引協議会の発表に基づいた目安単価(31円/kWh )を用いると、年間の電気代節約額は以下のようになります。
年間自家消費量1,895kWh × 電力量料金単価31円/kWh = 5万7,629円 |
5万7,629円は、全国的な平均値で計算した金額です。発電量はパネルの枚数や天候、設置場所によっても異なります。電気料金に関しても、契約プランや会社にもよるので一例として参考にしてください。
(参考:環境省「住宅用太陽光発電の導入ポテンシャルの再推計」)
(参考:経済産業省「太陽光発電について」)
(参考:公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会発表の令和4年7月22日改定目安単価)
メリット2: 売電収入の可能性とFIT制度
発電した電力が自家消費分よりも多い場合、電気が余ります。太陽光発電は、余剰分の電気を電力会社に販売できる仕組みです。
売電価格は年によって変動するため、FIT制度(固定価格買取り制度)が人気となっています。FIT制度の認定を受けると、10年間にわたり電気の買取り価格が変わりません。初期費用を回収できるか試算しやすいので心強い制度です。
下記の表は、2021年度以降の電気の買取りり価格表です。
2022年度以降の価格表(調達価格1kWhあたり)
10kW未満(住宅用) | |
2021年度(参考) | 19円 |
2022年度 | 17円 |
2023年度 | 16円 |
FIT制度調達期間 | 10年間 |
電気の買取りり価格は年々下がっているのがわかります。2023年に太陽光発電を導入した場合、2033年までは1kWhあたり16円で買い取ってもらえます。来年度以降、単価がさらに低下した場合は収支に大きな差が生じると予測可能です。
売電収入は初期費用回収にも大いに役立ちます。導入を迷われている方は、買取りり価格の下落にも注意しましょう。
メリット3: 家族での節電意識の共有
太陽光発電とあわせて設置する機器として、電力モニターがあります。電力モニターは、月ごとの電力使用量と目標達成度合いがチェックできる装置です。種類によっては、パソコンに取り込んでグラフ化もできるので、家庭内の電力使用量が一目でわかります。
電気の使用量は電気料金請求書で確認できるものの、家族での共有は簡単ではありません。1人ひとりがモニターを見られれば、節電意識が高まります。
家族の間で「今月はこれだけ節約できた」「来月はもう少し節約しなければ」といった共通の話題にもなります。小さなお子さんがいる場合、自然に節電意識を身につけられるのもメリットです。
メリット4: 停電時でも家電が利用可能
太陽光発電の導入に不安を感じる理由として、停電時の電力供給があるかもしれません。非常用コンセントの設置があれば、停電時でも電気は使えます。自立運転モードが搭載され、手動で切り替えるだけで通常時と同様に発電可能なためです。電力量は天候によって変動しますが、最大1.5kWまで供給できます。
(参考:JPEA 太陽光発電協会「住宅用太陽光発電システムのメリット 」)
停電時でも以下の家電を同時に使えるとイメージしてみましょう。
- 家庭用冷蔵庫
- ラジオ
- テレビ
- ノートパソコン
- スマートフォンの充電
- 電気ポット
- 電気スタンドなど
上記のリストを見ると、大きな不便は感じずに日常生活が送れそうです。
日本は地震や台風などの自然災害が多い国のため、いつ停電しても珍しくありません。太陽光発電の設備が正常であれば、発電所や送電線が被害を受けた場合でも安心です。小さなお子さんや高齢者のいるご家庭でも、自宅避難が可能となりますね。
メリット5: 環境への配慮とカーボンニュートラルへの貢献
太陽光発電は光を電気に変換しているため、発電時に二酸化炭素を排出しません。日本のエネルギー源の大部分は、海外から輸入される化石燃料に依存しています。電力においては、2020年度の火力発電の割合が76.4%です。
現在、2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出をゼロとする)の実現がテーマとなっています。各電力会社は一環として、再生可能エネルギーの拡大を推進中です。わたしたち消費者が協力するためには、積極的に再生可能エネルギーを取り入れる必要があります。
太陽光発電の備わった注文住宅を建てることは、カーボンニュートラルへの協力です。環境に配慮した家づくりは、地球の未来を守るためにも役に立ちます。
(参考:経済産業省「二次エネルギーの動向」)
(参考:環境省「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて」)
太陽光発電のメリットを最大限に引き出す設備3選
太陽光発電は地球にやさしいだけでなく、経済的なメリットもあるとお伝えしました。より恩恵を受けられる方法として、おすすめの設備を3つ紹介します。
蓄電池
蓄電池は太陽光パネルで発電した電気を蓄えておく設備です。容量いっぱいに発電しても、蓄電池がなければ電気は貯めておけません。売電収入を考える方にとっても大切なポイントです。
蓄電池を設置すると、昼間の発電で余った電気を夜間に使用できます。太陽の出ない夜間や悪天候の日に、電力会社から電気を買わなくても大丈夫です。電気代の節約にも役立ちますね。
また、停電時にも蓄電池は活躍します。災害時に慌てないためにも、同時に設置しておくと安心です。
おひさまエコキュート
太陽光発電と相性が良い給湯システムとして、「おひさまエコキュート」があります。従来のヒートポンプ式給湯器「エコキュート」と似ているものの、仕組みが異なります。
エコキュートでは、電気料金の安い深夜の時間帯にお湯を沸かしていました。 おひさまエコキュートでは、太陽光発電の余剰電力を利用してお湯を沸かします。
おひさまエコキュートは、エネルギー消費量を最小限に抑えるのが特徴です。光熱費の削減にも効果的なため、注文住宅でも人気があります。給湯器は新築時に必須の設備なので、太陽光発電とあわせての導入がおすすめです。
高気密・高断熱住宅
省エネ性能に特化した注文住宅は年々増え、高気密・高断熱住宅も人気があります。優れた断熱性と気密性を備え、冷暖房に頼り過ぎずに快適な温度で室温を保てるのが特徴です。
電気代の節約になるだけでなく、二酸化炭素の排出量も減らせます。電力の自家消費量を減らして、余剰電力を増やせるのもメリットです。
高気密・高断熱の住宅を建てるためには初期費用が必要となります。太陽光発電と同時に施工する場合、決して安くはありません。しかし、長期的に見ると省エネによるメリットは多く、売電収入も見込めます。
太陽光発電システムの初期費用と回収期間のシミュレーション
太陽光発電のメリットを理解し、前向きに検討しようとすると収支の問題が出てきます。初期費用を必要とする設備なので、導入後に回収できるかどうかは重要です。ここでは、費用や回収期間についてシミュレーションしてみましょう。
初期費用を確認しよう
太陽光発電システムの初期費用は、太陽光パネルやパワーコンディショナの購入費だけではありません。架台の取り付けや配線の工事費、補助金の申請手続きなどの諸費用がかかります。
経済産業省が算出したデータによると、2022年に設置されたシステム費の平均費用は1kW当たり26.7万円でした。2023年度の予測では、1kW当たり25.9万円です。
太陽光発電は、容量やメーカーによって初期費用が異なります。2023年度の予測平均値を基に計算すると、1kW当たりの初期費用は約26万円です。たとえば、5kWの太陽光発電を設置する場合、初期費用の目安は約130万円となります。
(参考:経済産業省「令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)」)
設置費用は約9年で回収可能
上記の初期費用を参考に、何年で設置費用を回収できるのか試算してみましょう。総務省統計局のデータを元に、「兵庫県姫路市在住の4人家族で毎月の電気代は13,000円」とします。
(参考:総務省統計局「家計調査(家計収支編)2022年 調査結果4人世帯(有業者1人)」)
月の平均電気代13,000円の家庭がシステム容量 5.37kWkWの太陽光発電を導入した場合
年間発電量目安 | 5,890kWh |
設置費用目安 | 130万円(15年後のパワコン買い換え費用:20 万円) |
導入前電気代 | 13,000円/月 |
導入後電気代 | 1,883円/月 |
補助金 | 10万円(姫路市家庭用蓄電システム普及促進事業補助金(令和5年度)) |
設置費用の償却年数 | 9年 |
(引用:LIXIL「太陽光発電システム導入シミュレーション」)
上記のシミュレーション結果によれば、太陽光発電システムの設置費用は約9年で償却可能です。予想年間節約額は13.34万円となり、25年後には178万9,200円の収益が見込めます。
シミュレーションの結果は、屋根の向きや発電効率の条件によっても変わります。参考程度にご覧いただき、ご自身でメーカーや住宅会社の担当者にお問い合わせください。
尚、当社ではアイフルホームとの企業連携により相場よりも抑えた価格で提供可能です。短期間での初期費用回収をご希望の方は、ぜひ一度ご相談ください。
太陽光発電のメリットで快適な注文住宅を実現しよう
太陽光発電には、電気代削減や売電収入など多くのメリットがあります。導入には初期費用がかかるものの、十分に回収できる金額です。環境に配慮した家づくりは、注文住宅の主流となっています。経済的なメリットだけでなく、これからの時代にふさわしい暮らしの一環として、太陽光発電を考えてみませんか。