【2023年最新】太陽光発電の設置にかかる費用はいくら? 補助金や必要設備の種類もあわせて解説
2022年12月、東京都では2025年4月から新築戸建て住宅に太陽光パネルの設置を義務付けする条例案が可決されました。
今後、住宅への太陽光発電の設置は政府や自治体の手動によって、さらに促進されることが予想されます。
これからご自宅の新築を機に太陽光発電の設置を検討される方が、最も気になるのがその設置費用ですよね。
そこでこの記事では、太陽光発電の設置費用をはじめ、導入するメリットを詳しく解説します。
さらに、設置にあたって利用できる補助金についてもご紹介します。これからご自宅への太陽光発電の設置の参照にしてください。
太陽光発電とは
太陽光発電とは、シリコン半導体を用いた太陽電池を組み込んだ太陽光パネルを設置して、太陽光エネルギーを直接電気に変換し利用する仕組みです。
太陽電池から得られる電力は直流電流のため、家庭内で使用する場合には交流電流に変換する必要があります。そのため、直流電流を交流電流に変換する「パワーコンディショナー」とセットでのシステム運用が必要になります。
太陽光発電を住宅に導入するメリット
戸建住宅の屋根に設置する小型の太陽光発電設備は「住宅用太陽光発電」に分類され、出力10 kWh未満と定められています。
住宅用太陽光発電のメリットとしては、発電分を家庭内の照明や家電製品などの電量に使用する「自家消費」に充てられ、使いきれなかった余剰分を、送電網を介して電力会社に売電し収益を得られることです。
また、太陽光発電でつくられた電気は二酸化炭素を排出せず環境負荷の少ない「再生可能エネルギー」であるため、補助金など様々なかたちで国や自治体から導入によるインセンティブを得られます。
太陽光発電の設置費用
ここでは、太陽光発電を実現するために必要な設備と費用の目安について解説します。
太陽光発電のシステム構成
住宅用太陽光発電の一般的なシステム構成は下記のとおりです。
- 太陽光パネル(太陽電池モジュール)
太陽の光エネルギーを電気に変換する装置。 - パワーコンディショナー
太陽光パネルで発電した直流電流を家庭で使える交流電流に変換する装置。 - 発電用ブレーカー
安全に電気を運用するための専用ブレーカー。 - 蓄電池
電気をためる装置。 - V2H充電器
「Vehicle to Home」の略で、電気自動車に搭載された電池から家庭に電力を供給できる装置。
太陽光発電の工事費用
太陽光発電を設置するには、システムを構成する機器のほかに、各種の工事費がかかります。
- 設置工事費
太陽光発電を設置するための工事費用です。
「太陽光パネル」は、専用の取付け金具を使用して屋根に設置します。「パワーコンディショナー」は外壁面に取付けされるケースが多いでしょう。「蓄電池」や「V2H」を導入する場合は、重量物ですので沈下しないようにコンクリート基礎を設ける費用も加算されます。 - 電気工事費
太陽光パネルから発電された電気をパワーコンディショナーへ集め、住宅内の分電盤まで接続するための配線工事です。太陽光発電用のブレーカー設置費用も含まれます。 - 仮設工事費
太陽光パネルを屋根に荷揚げするクレーン費用や、足場代が該当します。新築工事と同時に太陽光発電を設置する場合は、仮設工事が共有されるのでこの費用が安価になります。
太陽光発電の設置費用
経済産業省の調査によると、2021年の住宅用太陽光発電について、設置費用の平均値は1kWあたり約28万円でした。
設置費用の内訳は、太陽光発電を構成するシステム機器(太陽光パネルやパワーコンディショナー)と取付部材(取付架台や副資材)の価格が8割、設置工事費が2割の配分です。
参照:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」について(P21-22)
住宅用の太陽光発電の場合は10kW未満の規制があり、3~6kW程度の出力で運用するケースが多いようです。
参照に一般的な住宅の場合での出力別の設置費用を試算すると、下記のようになります。
太陽光発電出力(kW) | 調達単価(万円) | 設置費用(万円) |
---|---|---|
2.0 | 28.0 | 56.0 |
3.0 | 28.0 | 84.0 |
4.0 | 28.0 | 112.0 |
5.0 | 28.0 | 140.0 |
6.0 | 28.0 | 168.0 |
7.0 | 28.0 | 196.0 |
8.0 | 28.0 | 224.0 |
9.0 | 28.0 | 252.0 |
まずは、業者からの見積金額がこの相場価格帯に収まっているかが、設置費用を判断する目安となるでしょう。
余った電気を売れる「固定価格買取制度(FIT)」
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 公式サイト「FIT・FIP制度」より
太陽光発電は、2012年に制定された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」により、普及が促進されてきました。
住宅用太陽光発電の場合は、家庭内での電力消費を引いた余剰発電分を10年間定額で買い取ることを地域の電力会社に義務付けるものです。
電力会社が太陽光発電からの電力を買い取る原資は「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」として、毎月の電気料金と併せて全国民に使用量に応じて請求されています。
住宅用太陽光発電(10kW未満)の固定価格買取制度(FIT)単価は、2012年から下記のように推移しています。年々単価が下がっていますが、これは太陽光発電の設置費用のコストダウンに合わせて低減されているためです。
年度 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
調達 価格 (円) | 42 | 38 | 37 | 33 | 31 | 28 | 26 | 24 | 21 | 19 | 17 | 16 |
調達 期間 (年) | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
参照:経済産業省 資源エネルギー庁 公式サイト「FIT・FIP制度」
太陽光発電に蓄電池を導入してさらに有効活用
先述のように、太陽光発電の普及および設置費用のコストダウンとともに、固定価格買取制度(FIT)による買取価格が下がっています。
電気料金が高騰している現在では、売電収入よりも自家消費に回した方が得というケースが増えています。昼間の発電余剰分を売電せずに蓄電池に貯めておき、夜間に放電して家庭内の需要に回すという、完全自家消費スタイルでの太陽光発電の導入事例が増加しています。
また、固定価格買取制度(FIT)による買取期間は住宅用太陽光発電(10kW未満)の場合10年間とされています。期間の終了後は売電の停止、もしくは電力会社との交渉による任意価格(極端な安価となることがほとんどです)での売電となります。
そのため固定価格買取制度(FIT)期間終了後を見越して、自家消費用の蓄電池を導入するケースも急増しています。蓄電池を導入することにより、大規模災害時に長時間の停電が発生した場合に非常用電源として活用することも可能になります。
V2Hを導入して電気自動車の充電に利用
V2Hとは、「Vehicle to Home(ビークル・トゥ・ホーム)」の略称です。
近年急速に普及している「EV(電気自動車)」や「PHV(プラグインハイブリッド自動車)」の車載バッテリーを蓄電池として住宅用の電源としても使用できるようにするシステムです。専用の充放電機器を設置することで導入できます。
V2Hを導入すると、EV・PHVを太陽光発電の余剰電力で充電できます。夜間にはEV・PHV側からの住宅内への給電も可能で、さらに活用の幅が広がります。
太陽光発電の設置費用に使える補助金
ここでは、太陽光発電の設置費用に使える各種の補助金について解説します。
国の補助金
太陽光発電については、固定価格買取制度(FIT)自体が普及を促進する補助金的な意味合いを持つため、2022年度は国による住宅用太陽光発電システムの設置費用に使用できる補助金制度はありませんでした。
ただし、蓄電池とV2H関しては、一般社団法人環境共創イニシアチブ(Sii)による「DER(分散型エネルギーリソース)補助金」や、一般社団法人次世代自動車振興センターによる「CEV補助金」があります(どちらも予算上限に達したため、2022年度の募集は終了しています)。
人気の補助金ですので、年度初めの補助金情報の開示を注視し、早期に申し込むようにしましょう。
詳助成金の詳細について詳しくは下記リンクをご参照ください。
参照:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(Sii)公式サイト
参照:一般社団法人 次世代自動車振興センター 公式サイト「補助金情報一覧」
自治体の補助金
太陽光発電や蓄電池の設置費用に独自の補助金制度を用意している自治体もあります。
例えば、東京都は電気自動車とV2Hの組み合わせで太陽光発電の設置費用にも適用できる補助金制度があります。
詳細は建築地の自治体に確認ください。国の補助金とも併用が可能なので、積極的に活用しましょう。
自治体の補助金の例は詳しくは下記リンクをご参照ください。
参照:クールネット東京 電気自動車等の普及促進事業(V2H)
ZEH補助金
太陽光発電の設置が前提となっているZEH(ゼッチ)住宅であれば、一戸当たり55万円(上位仕様のZEH+の場合は100万円)の補助金が受けられます。ZEH補助金は蓄電池やV2H設備の導入をすると、設置費用に使える補助金が増額になるケースもあります。
ご自宅をZEH仕様で建築することを検討されている方は、太陽光発電関連設備の設置費用が補助金対象になるか、ハウスメーカーや工務店に問い合わせてみましょう。
ZEH住宅の補助金について詳しくは下記リンクをご参照ください。
参照:一般社団法人環境共創イニシアチブ 経済産業省および環境省による戸建ZEH補助事業
太陽光発電の導入にあたっての注意点
住宅に太陽光発電を設置する際の注意点やチェックポイントについて説明します。
太陽光発電の注意点① 発電量が最大になる配置と屋根形状を検討
太陽光パネルは、南向きの大屋根に設置すると最も発電量が増えます。
注文住宅の場合は、建物の配置や屋根の形状を決められるので、ハウスメーカーや工務店にシミュレーションしてもらい、発電量が最大となる配置と建物形状を確認することをおすすめします。
ただし、発電量に捉われ過ぎると希望の配置や間取りが実現できなくなってしまうこともありますので、生活の快適性とのバランス感覚を大切にしましょう。
太陽光発電の注意点② 光害や落雪など近隣への配慮
住宅地に太陽光発電を設置する場合は、太陽光パネルの設置位置に関して、近隣への最大限の配慮をすることが必要です。
屋根に設置する太陽光パネルのガラス面に反射した光が、近隣の住宅やマンションに跳ね返り眩しく、場合によっては熱射により室内が熱くなった、といったクレームを受ける可能性があります。
また、降雪の可能性がある地域では、太陽光パネル面に載った雪が滑り落ちる落雪のトラブルにも注意が必要です。軒下を歩行する際にも落雪に注意が必要ですし、隣家との間隔が狭い場合は隣地への落雪トラブルも懸念されます。
太陽光発電の注意点③ 定期点検や設備の更新にかかる費用
太陽光発電を設置すると、遠隔監視によるモニタリングや保守管理の定期メンテナンス代で、設置費用とは別に月々の維持費がかかります。
また、機器の耐用年数切れによる交換費用にも費用がかかります。例えば、パワーコンディショナーの耐用年数は約10年で、その交換費用の平均は22.4万円とのことでした。
故障したときに慌てないように、太陽光発電の維持管理コストをきちんと見込んでおく必要があります。新築住宅の建築と同時に設置した太陽光発電であれば、引渡し後もハウスメーカーや工務店の定期点検のタイミングで一緒に見てもらえるため安心です。
太陽光発電の交換費用について詳しくは下記リンクをご参照ください。
参照:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」について(P23)
まとめ
ここまで、太陽光発電に必要な設備と設置費用の相場、各種の補助金情報について解説してきました。
政府目標である2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーの促進は今後のエネルギー政策においても最重要課題です。
原油やガス、石炭などの輸入燃料の値上がりに起因する昨今の電気料金の高騰に対しても、太陽光発電でエネルギーを自給することは、家計の防衛策にもなります。
太陽光発電を住宅に設置する際には、固定価格買取制度(FIT)や各種の補助金制度を賢く利用して、お得に太陽光発電を導入しましょう。
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