【2023年最新】耐震等級3が必要な理由とは?耐震等級の調べ方もあわせて紹介
新築住宅を検討している方なら、工務店やハウスメーカーのホームページやパンフレットで「耐震等級3」という文字を一度ならずとも見かけたことがあると思います。
耐震等級3の文字を見かけて、「耐震等級3にするメリットはあるのかな」「取得するにはどのような手続きが必要なのだろう」と疑問に感じた人も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、耐震等級3のメリットをはじめ、耐震等級の調べ方などを詳しく解説していきます。
最後までお読みいただくと、耐震等級3の意味や仕組み、取得方法についてわかります。ぜひご自身の安全なマイホーム建築にお役立てください。
耐震等級とは
耐震等級とは、簡単に言うと「建物が地震に対してどのくらいの強さ持っているかを表したもの」です。
ほんの20年前までの日本は、住宅の耐震性能を表示する共通ルールがなく、住宅の性能を正確に把握するためには専門家の手助けが必要になるという状態でした。
不明瞭な住宅性能が原因による売買トラブルが後を絶たないことから、国は1999年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(略して品確法といいます)」を定めて、その翌年から「住宅性能表示制度」を開始しました。
住宅性能表示制度では、一戸建てマンションの建物の品質を、第三者である専門家「住宅性能評価機関」が国の定めた「住宅性能表示制度」に沿って住宅の性能を評価します。その評価のひとつで住宅の耐震性を示すのが「耐震等級」なのです。
耐震等級の区分
耐震等級は全部で3段階あり、数字が大きいほど建物の耐震性が高いことを表しています。まずは、それぞれの耐震等級について説明していきましょう。
耐震等級3とは
耐震等級3は、「極めて稀に発生する地震の1 .5 倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度 」と住宅性能表示制度で定められています。
災害時の救護や防災拠点として重要な消防署や警察署などの施設は、耐震等級3で建設されています。近年では、耐震等級3を採用する一般住宅も増えています。
耐震等級2とは
耐震等級2は「極めて稀に発生する地震の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度」と住宅性能表示制度で定められています。
耐震等級2以上の耐震性能がある住宅であれば「長期優良住宅」と認められます。長期優良住宅と認定された建物は、補助金や税の特例措置を受けられます。
耐震等級1とは
耐震等級1は「極めて稀に発生する地震に対して倒壊、崩壊等しない程度」と住宅性能表示制度で定められています。
これは、数百年に一度といわれる震度6強~7に相当する大地震に耐えられる耐震性能を持っているとされます。倒壊・崩壊などはしませんが、ある程度の損傷は想定されています。また、数十年に一度といわれる震度5程度であれば、損傷もしない強度とされています。
耐震等級1は、建築基準法で定めるすべての建物の最低限の耐震基準と同等性能と定められています。つまり、建築基準法に則って建てられた住宅ならば、耐震等級1の性能があります。
※長期優良住宅については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。ぜひご参考になさってください。
参照:「長期優良住宅で後悔しない!申請する前に抑えるべきポイントを解説」
耐震等級の調べ方
新築や注文住宅の場合は、工務店やハウスメーカーに頼めば、住宅評価機関への依頼を代行してくれて耐震等級を調べてくれます。住宅評価機関は、調査結果として住宅性能評価書が交付してくれます。
住宅性能評価書は、住宅性能表示に則って、客観的に住宅性能を審査・評価したものです。以下の10項目の評価分野があり、耐震等級は「構造の安定に関すること」で評価されます。
- 構造の安定に関すること 地震や台風、積雪による建物の倒壊・損傷のしにくさ、建物の強さを評価します。
- 火災時の安全に関すること 火災時に安全に避難するために、警報装置が適切に設置されているか、避難・脱出の対策がなされているか、建物の延焼のしにくさを評価します。
- 劣化の軽減に関すること 年月による構造の劣化の対策がどの程度なされているかを評価します。
- 維持管理・更新への配慮に関すること 水道管やガス管など、配管類の点検・清掃・補修のしやすさを評価します。
- 温熱環境・エネルギー消費量に関すること 外の気温変化によって、室内の温度が影響されにくいかどうか、建物の断熱性能と冷暖房の省エネ対策を評価します。
- 空気環境に関すること 室内のホルムアルデヒドや化学物質の濃度が人体に影響を与えないか、換気対策が十分かなどを評価します。
- 光・視環境に関すること 床面積に対する窓の大きさと方角による窓の大きさを計算し、室内の明るさを確保できているかを評価します。
- 音環境に関すること 共同住宅において、床や壁などの遮音性を確認し、上下または隣接する部屋同士の音の伝わりにくさを評価します。戸建ての場合は、屋外からの音の伝わりにくさを評価します。
- 高齢者等への配慮に関すること 高齢者や障碍者の住みやすさとして、床の段差の少なさや階段の勾配の緩さなどを評価します。
- 防犯に関すること 外からの侵入を防ぐために、ドアや窓などの開口部に侵入防止対策がなされているかを評価します。
また、住宅性能評価書には、「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の2種類があります。
評価機関によって、料金は異なりますが、相場は以下のようになります。
- 設計住宅性能評価書 10万円程度
- 設計住宅性能評価書+建設住宅性能評価書 20万円程度
耐震等級3の証明は、「設計住宅性能評価書」のみで可能です。審査は着工前に行われる必要があるので、事前に建築を依頼する工務店やハウスメーカーに相談しておきましょう。
「建設住宅性能評価書」は、実際に設計通りの建設が行われているかを評価します。
「建設住宅性能評価書」まで取得するかどうかは、メリットと照らし合わせて検討してみてください。取得すると、当事者間で契約トラブルが起きたときに、国土交通省が指定した紛争処理機関に相談できるなどのメリットがあります。
ご自身で住宅性能評価機関を探すことを希望される方は、下記の国土交通省ホームページから検索できますので参考にしてください。
関連リンク:「登録住宅性能評価機関の検索」
耐震等級3は意味がない?本当に必要?
耐震等級1で国が定める建築基準はクリアしています。それなのに、わざわざ申請にお金をかけてまで耐震等級3を取得する必要はあるのでしょうか?その疑問を解消するために耐震等級3を取得するメリットをご紹介しましょう。
地震保険の保険料が割引に
耐震等級3の住宅では、地震保険料が50%割引になります。耐震等級の等級によって、その割引率が大きく異なります。
- 耐震等級1 10%割引
- 耐震等級2 30%割引
- 耐震等級3 50%割引
基本的に、保険は保険金を受け取る可能性や額が低くなるほど、収める保険料が安くなります。地震保険も同様に、耐震等級が高いほど地震による損壊リスクが低くなるため、より大きい割引が受けられるのです。
また、2~5年の長期契約で保険料が安くなる、といった制度もありますので、そちらも合わせてご検討ください。
地震保険は生涯にわたって加入するものです。できるだけ毎月の支出を抑える方法として、耐震等級3を取得するのは有効な方法といえるでしょう。
地震に強い家を手に入れられる
耐震等級3の家を建てることで、安心した生活を送れるようになります。
耐震性能の高い住宅を建てることは、地震に強い住宅を手に入れる安心感や、被災後の負担を軽減できるメリットがあります。
耐震等級3の性能を有名にしたのは、平成28年4月に発生した熊本地震です。震度7が2回観測されるという過去に例を見ない大地震でしたが、耐震等級3住宅の倒壊数が0棟との国土交通省の報告書があります。
参照:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因 分析を行う委員会」報告書のポイント
残念ながら耐震等級1、2では倒壊を免れなかった住宅も多かったとのこと。震度7を2回受けても倒壊しない耐震等級3の住宅を手に入れることで得られる安心感は計り知れません。
また被災したとしても、1日でも早く日常生活に復帰するために住宅の耐震性は重要でしょう。
倒壊すると自宅に住めなくなり、避難生活を余儀なくされてしまいます。環境の変化や不便な生活のストレスは日常生活への復帰の障害となってしまいます。
大地震に被災しても家が住み続けられる状態であれば、それらのストレスから解放されて日常生活を送り続けることができ、1日も早い社会復帰を叶えることができます。
ありきたりの言葉になってしまいますが、「備えあれば」の言葉どおり、耐震等級3は地震大国に日本において必要な住宅性能ではないでしょうか。
耐震等級3相当に注意
ハウスメーカーや工務店の広告などで、「耐震等級3相当」という言葉を謳っていることがあります。
これは、”耐震等級3に相当する耐震性がある”というただの宣伝文句です。正式な耐震等級3の認定はされたものではないので注意しましょう。前述したように、建物が耐震等級3の評価を得るには、第三者機関の審査が必要になります。
ただ、耐震等級3の認定には、建築費用とは別に認定費用がかかります。「認定費用をかけたくない」「耐震等級3相当なら問題ない」と考える方もいるでしょう。
しかし、耐震等級3の認定を受けていない限り、本当に耐震性があるかどうかわかりません。
耐震性を審査するには、使用している建築部材や間取りの調査と緻密な計算で求められていなければなりません。耐震等級3相当を謳う物件を取り扱うハウスメーカーや工務店には、その理由を聞いてみましょう。
また、前述した地震保険の割引の利用には、正式な耐震等級3の認定が必要です。耐震等級3によって、金利を優遇する住宅ローンもあります。これらの優遇を受けたい場合には、耐震等級3相当の物件でも住宅性能評価書を取得する必要があります。
耐震等級3の住宅を取得するには
新築で耐震等級3の耐震性能を持つ家を建てたいときには、工務店やハウスメーカーに相談します。相談のタイミングと費用について解説していきます。
住宅プランより前に早めの決断を
新築で耐震等級3の家を建てたい場合、工務店やハウスメーカーに契約前の相談の段階で希望を伝えておきましょう。
そうすることで、設計段階で耐震性能を高める間取りや住宅設備を取り入れることができます。
設計が進んだ段階で、耐震等級を高めようとすると設計自体がやり直しとなる可能性があるので注意しましょう。
取得費用はいくらかかるのか
耐震等級3の家を建てるために必要な費用は、以下の2つになります。
- 計算費用
- 追加の施工費用
計算費用は、建物が耐震等級3を満たせるように、建物の強度を計算するための費用です。
追加の施工費用は、一般の住宅より耐震性を高めるために行う施工費用です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
計算費用
耐震等級3を満たす計算費用は10〜30万円程度かかります。
計算方法は、「性能表示壁量計算」と「許容応力度計算(構造計算)」の2種類があり、それぞれの相場は以下のようになります。
- 性能表示壁量計算 10万円程度
- 許容応力度計算(構造計算) 20~30万円
同じ耐震等級3の建物でも、構造計算の方がより緻密な計算がなされます。耐力壁の量や配置バランスを細かく計算するため、安全で頑丈な家を建設できます。
そのため料金も高くなります。また、構造計算は難しく、専門的な知識を必要とするため、工務店やハウスメーカーが外部の構造設計事務所に委託するケースが多いです。
家を建てる工務店に頼めれば、20万円程度ですが、外部に頼むときには申請手数料も合わせた結果30万円程度になるのが一般的です。
追加の施工費用
耐震等級3の住宅は、耐震性を高めるために、追加で設計料と工事費用が必要になります。
それぞれの相場は以下のようになります。
- 追加の設計料 20~30万円
- 追加の工事費用 100万円~
工事費の内訳は主に、「基礎工事」、「耐力壁」、「構造材」となります。
建物の面積が大きいほど、耐力壁や構造材の量が増えて、料金も高くなります。
まとめ
今回は住宅の性能の中でも関心度の高い耐震等級3についてご紹介しました。
耐震等級3を満たす住宅を手に入れるには、耐震性を高める建築費用も認定をもらうための認定費用もかかります。
一般的な住宅を建てるよりも手間や費用がかかりますが、安心した暮らしを得られるメリットがあります。
ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、耐震等級3の建物を検討してみてください。
姫路市で耐震等級3の新築をご検討されている方は、当社「アイフルホーム姫路店」までご相談ください。
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