建売住宅の購入で後悔しないために知っておきたい5つのチェックポイントと注意点
建売住宅を購入したものの、「慎重に選べば良かった」と後悔する声を耳にする機会があります。価格が手頃で完成済みの家にすぐ住めるという魅力がある一方で、選び方によっては住み始めた後に問題に気づくケースがあるためです。この記事では、建売住宅でよくある失敗と、後悔しないための5つのチェックポイントを徹底解説します。マイホームの購入を考えている方や、注文住宅と迷っている方はぜひ参考にしてください。
建売住宅とは?後悔しないために知っておきたい基礎知識
建売住宅とは、住宅メーカーや建築会社が土地と一緒に販売している物件を指します。
完成済み状態で販売されている場合が多く、『分譲住宅』としても知られています。未完成のまま売られていても、プランやデザインは決まっている場合がほとんどです。細かい変更ができないという点が後悔の原因になりやすく、購入後に「よく考えれば良かった」と後悔する人も少なくありません。建売住宅を検討している方は、購入前に注意すべきポイントをしっかり確認しておきましょう。
建売を購入して後悔するのは本当?失敗しやすい理由と対策
SNS上では「建売住宅を購入して後悔した」という失敗例も多く、慎重になっている方もいるかもしれません。建売住宅の購入を後悔してしまうのは、どのような理由なのでしょうか。建売住宅を選ぶ際に注意したいデメリットとなりがちなポイントについて解説します。
断熱性能が低い
「建売住宅はやめたほうがいい」と言われる理由の1つに、断熱性能が低いという問題があります。分譲住宅では、費用を抑えるために断熱性能に十分なお金をかけられないケースも少なくありません。そのため、外の気温に影響を受けやすく、エアコンや暖房の電気代が高くなりやすいという傾向があります。
断熱性が不十分だと、分譲住宅を購入してローン返済額を抑えられたとしても、毎月の光熱費が増えてしまうというのが問題です。生活費が増えてしまえば、建売を選んだ意味がなくなってしまう可能性もあります。たとえば、国が定めた断熱性能の基準で最も高性能の等級7の家だと、1年間の電気代は約16~18万円とされています。断熱等級4の家の目安が20~22万円と考えると、断熱性の高い家ほどランニングコストが削減可能です。
断熱等級は1から7まであり、数字が大きくなるほど断熱性能が上がります。2025年には断熱等級3以下の家は建てられなくなり、2030年には断熱等級5が最低基準となる予定です。断熱性能が低い家は需要がなくなり、マイホームの売却を考えた際も資産価値が下がると推測できます。住宅販売会社によっては、断熱等級4でも「高断熱住宅」と宣伝しています。実際には最低限の性能となるため、建売住宅を購入する際は断熱等級の確認を必ず行いましょう。
(参考:国土交通省「家選びの基準変わります」)
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間取りの変更ができない
「建売住宅はやめたほうがいい」と言われる理由の2つ目は、プランの変更ができない点です。すでに完成しているか、工事が始まっている状態で販売されるため、基本的に間取りの変更はできません。そのため、「注文住宅にして自分好みに間取りを決めたほうが便利な家になったのでは?」と、住居後に後悔するケースが多く見受けられます。
建売住宅は幅広い層に対応できるよう、間取りの設計が無難な場合がほとんどです。強いこだわりがない場合は、どのような家族構成であっても問題なく住める魅力があります。ただし、以下のような要望がある方には、注文住宅の検討がおすすめです。
- キッチンやランドリールームの使い勝手をカスタマイズしたい
- 収納を多くしたい
- 趣味のスペースをつくりたい
- ペットと暮らしやすい家にしたい
- ライフスタイルに合わせた間取りにしたい
イメージしている間取りがあるのに建売を購入してしまうと、毎日の生活がストレスとなります。少しでも「こうしたい」という希望がある場合は、注文住宅のプランと比較した上で建売を検討しましょう。
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手抜き工事が心配
「建売住宅はやめたほうがいい」と言われる理由の3つ目は、建築中の過程を確認できない点です。建売住宅は完成してから売られるケースがほとんどなので、壁の中や床下など、見えない部分の様子がわかりません。そのため、「見えない部分で手抜き工事をしているのでは?」「安い材料を使っているのでは?」と心配する人もいます。
こうした不安を解消するためにおすすめなのが、長期優良住宅の認定を受けているかどうかの確認です。長期優良住宅は耐震性や断熱性が高く、長く安心して住めるように国の基準を満たしています。認定を受けるためには、建築および維持保全の計画を作成し、管轄の行政機関への申請が必要です。そのため、長期優良住宅の認定を受けている建売住宅なら、一定の品質が保証されています。
残念ながら、コストを減らすために見えない部分の材料を安くしている建売住宅もゼロではありません。「価格が安いけれど大丈夫かな?」と不安を感じたら、長期優良住宅かどうか質問してみましょう。
建売住宅を購入して後悔しないための5つのチェックポイント
分譲住宅の購入で失敗を避けるには、いくつかの事前確認が欠かせません。ここでは、購入前に確認すべき5つのポイントを紹介します。
家具の配置や生活を考えて間取りを確認する
建売住宅を買って後悔しないためには、入居後の生活を具体的にイメージしながら間取りを確認することが大切です。たとえば、家具を置いても生活スペースが確保できるか、扉や窓が邪魔にならないかをシミュレーションします。1日の家族の動線を考えながらチェックすると、入居後に「思っていたよりも住みにくい」という後悔が減るのでおすすめです。
収納スペースを確認する
建売住宅を買って後悔しないためには、あらかじめ収納したいアイテムを把握しておきます。収納量がわかれば、必要なスペースを確保できるためです。どこに何を収納するか決めておけば、入居後もスムーズに暮らせます。可能であれば、収納スペースの大きさを測らせてもらうと確実です。
立地条件を確認する
建売住宅を買って後悔しないためには、立地条件を事前に確認します。生活する上で、交通の利便性やスーパーまでの距離は非常に重要です。実際に歩いてみると坂道が多くて不便に感じることもあるので、実際に歩きながら周辺環境をチェックしましょう。病院や学校に通う家族のいる場合、本人が確認すると入居後に後悔しにくくなります。
時間を変えて日当たりを確認する
建売住宅を買って後悔しないためには、さまざまな時間帯で日当たりを確認することが大切です。物件によっては、朝・昼・夕方で日当たりが大きく変わります。購入前は時間を変えて現地を見学し、日の当たり具合を確認しましょう。事前にチェックしておけば、入居後に「思ったより暗い」という後悔を減らせます。
建具や見えない部分を確認する
建売住宅を買って後悔しないためには、窓やドアのような建具や見えない場所も確認することが大切です。たとえば、窓やドアは使いやすいか、設備は古くないかをチェックしましょう。床下や天井裏のようにパッと見できない箇所も確認し、不具合があれば早めに伝えると後悔を防げます。
建売住宅のメリットも知ろう!
建売住宅の購入は後悔しがちという内容を紹介しましたが、メリットも多くあります。良い点も理解した上で、慎重に物件を選びましょう。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
価格が明確で安心
建売住宅の大きなメリットの1つは、価格がはっきりしている点です。土地と建物がセットで販売されており、金額の変動はほとんどありません。予算が立てやすく、追加費用の心配が少なくて安心です。予算計画をしっかり立てたい方に、建売住宅は適しています。
早く入居できる
建売住宅のメリットの2つ目は、早く入居できる点です。住宅ローンの手続きがスムーズに進めば、契約から1か月くらいで住み始められます。転勤やお子さんの転校に合わせて家を探している方にとっては、非常に魅力的な選択肢です。また、引き渡しまでの期間が短いので、現在の家賃を節約できるというメリットもあります。
実物を確認できる
建売住宅のメリットの3つ目は、実際に完成した家を見てから購入できる点です。部屋の広さやデザインを実際に見て判断できるため、「住んでみたら思っていたのと違った」という後悔を防ぎやすくなります。契約後に家を建て始める注文住宅とは大きく異なり、家づくりの経験がない初心者でも安心です。
注文住宅と建売住宅の違いとは?
マイホームを購入する際に、建売住宅とよく比較されるのが注文住宅です。注文住宅とは、購入した土地や所有している土地に希望の間取りで家を建てられます。自由に設計できるだけでなく、外観やデザイン、設備も選択可能です。注文住宅には、すべてを決める「自由設計型」と、豊富なプランの中から好きな間取りや建材を選ぶ「規格型」の2つがあります。建売住宅との違いを以下に紹介しますので、ご自身の生活に合った選択をしましょう。
自由度
建売住宅と注文住宅の違いで目立つのは、自由にカスタマイズできる度合いとなります。分譲住宅は、設計やレイアウトの変更が難しいというのが一般的です。注文住宅は設備や壁、床、ドアの種類や材料までを自由に選べます。理想に近い家を建てられるため、後悔しにくいのが特徴です。
価格
建売住宅は使う設備も決まっているため、費用を抑えて建築できます。同じ5000万円の予算なら、建売住宅のほうが高品質な家になる可能性が高いでしょう。コストパフォーマンスの良さでは、後悔しにくいというのが魅力です。注文住宅は多くの人が関わるため、同じ仕様でも建売住宅より価格が高くなります。
家づくりにかかる手間
建売住宅は選べる項目が少ないため、家づくりの手間はあまりかかりません。打ち合わせの時間や労力を減らしたい人にとって、おすすめの選択肢です。注文住宅は土地を探すところからはじまり、ハウスメーカーや工務店との打ち合わせが何度もあります。設計や使う材料、設備などを一つひとつ決めなければならず、多くの手間が必要です。
入居までの時間
建売住宅は、契約をしてから住宅ローンを組んでも1か月半から2か月ほどで入居できます。短期間で住み始められるのは建売住宅の大きなメリットで、早く引っ越したい人にはおすすめです。一方、注文住宅は完成までに1年以上かかることが多く、時間をかけてじっくり家をつくりたい人に向いています。
建売住宅を購入して後悔しやすい人の特徴とは?
建売住宅と注文住宅のどちらを選ぶかで後悔しないためには、それぞれの特徴を理解しておくのがポイントです。ご自身のライフスタイルに合った家を選ぶために、建売住宅が向いている人と、注文住宅が向いている人について解説します。
建売住宅が向いている人
建売住宅は、すでに建物が完成しているので、契約後すぐに住み始めたい人におすすめです。2階からの景色や部屋の日当たり、風通しを確認してからマイホームを購入したい人にも適しています。
建売住宅は細かい打ち合わせが必要なく、手間や時間がかからないというのが特徴です。コストを抑えながらも一定の品質を重視したい方は、建売住宅を選べば後悔しにくいでしょう。
注文住宅が向いている人
注文住宅は間取りや外観、家の性能にこだわりがあり、自分の理想を叶えたい人におすすめです。ただし、建築会社や工務店担当者と何度も打ち合わせをする必要があるため、考える手間や時間を確保できる人に適しています。
注文住宅は同じ面積でもデザインや設備のグレードによって金額が大きく異なるというのが特徴です。予算の管理をしっかりとし、信頼できるハウスメーカーを選べれば後悔のリスクは減らせます。
まとめ
建売住宅は手間やコストを抑えて、すぐに入居できるというメリットがあります。ただし、断熱性能や間取りの変更ができない点で後悔するケースが多いというのがデメリットです。一方、注文住宅は自由に設計できる分、手間や費用がかかるという課題があります。建売住宅を購入して後悔しないためには、購入前に注文住宅との違いをしっかり理解しておくことが大切です。記事を参考に、ご自分のライフスタイルや予算に合った選択で家づくりを成功させましょう。