中庭のある平屋の間取りの種類やメリット・デメリットを解説
平屋住宅の間取りの中でも、中庭を取り入れたプランは非常に魅力的です。
中庭は外部の視線が気にならない完全なプライベート空間として活用できるのに加えて、外部から一年中自然採光があり、中庭を通して風通しも良く、家の中に居ながらにして自然を取り込んだ生活が送れます。
今回は、中庭のある平屋住宅の間取りの種類とメリット・デメリットについて解説します。
後悔しないためのポイントや中庭住宅特有の住宅規模とコスト感についても説明しますので、中庭のある平屋住宅をご検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
中庭とは
中庭とは、建物や塀などで囲われた屋根の無い庭のことを言います。
住宅業界では中庭のある住宅のことを「コートハウス」と呼び、スペイン語で中庭を示す「パティオ」という言葉で表現されるケースもあります。
平屋に中庭を作るメリット・デメリット
注文住宅は自由な間取りで設計できるのが魅力です。その中でも平屋住宅に中庭を作るケースは、プライバシーを確保しつつ、住宅内での生活環境が良くなるメリットがあります。家の中にいながらにして自然を感じることができ、雑誌に出てくるようなおしゃれなライフスタイルを実現できます。
ただし、管理面・衛生面でのデメリットもありますので、間取りの検討の際は、以下でピックアップした平屋に中庭を作る際のメリット・デメリットをよく検討しましょう。
平屋に中庭をメリット① プライバシーを確保できる
平屋に中庭を作る一番のメリットは、庭のプライバシーを確保できることです。
一般的に住宅の庭は道路や隣家に接した位置にあり、必然的に隣家の住人や通行人からの視線が注がれます。外部から視線を遮る中庭にすることによって、庭を完全なプライベート空間にできるため、他人の視線を気にせず安心して利用できます。
また外からの視線を遮ることができるだめ、中庭での洗濯の外干しも安心して行えます。
平屋に中庭を作るメリット② 自然採光を確保できる
平屋に中庭を設けると、中庭に面した窓から住宅内に自然光が差し込み、日中は家の中がとても明るくなります。
市街地の住宅密集地の立地でも、隣接する建物の影の影響を受けにくくなり、採光を得やすくなります。
平屋に中庭を作るメリット③ 中庭に隣接した部屋を広々と使える
中庭と室内の床の高さを揃えてフラットにすれば、半屋外空間として部屋を広く使えます。中庭と室内がシームレスにつながった空間となり、家の中に居ながら自然環境を採り入れた生活が楽しめます。
平屋に中庭を作るメリット④ 家の中の風通しが良くなる
中庭に面した位置に部屋を設けると、中庭側と外側に窓を二か所取ることが可能になります。風は入口と出口を設けると通り抜けやすくなりますので、窓を対面する位置で二か所開けると、非常に風通しが良くなります。
中庭を作ることで家中の通風が良くなり、自然の通風を取り込んだいつも住宅の中が新鮮な空気で満たされた生活環境を実現できます。
平屋に中庭を作るデメリット① 湿気がこもりやすい
平屋に中庭を作る際は、単純に庭を建物で囲うだけでは湿気がこもりがちになります。湿気がこもるとカビや苔が発生して不衛生でジメジメした中庭になってしまいます。
それを防ぐには、中庭に隣接する部屋に窓を設けて十分な風の通り道を作るように間取を設計しましょう。年間を通じて風の出入りできる環境を維持できる間取りが大切です。
平屋に中庭を作るデメリット② ゲリラ豪雨や積雪にも注意
近年頻度が増えているゲリラ豪雨などの集中豪雨のときには、中庭の排水量が追いつかないと冠水してしまい、最悪の場合は平屋全体が床上浸水する可能性があります。
また、積雪時にも溜まった雪を外に排出するのには大変な労力が必要です。
平屋に中庭を計画する際には、豪雨や積雪対策をしっかりと検討しておく必要があります。
平屋に中庭を作るデメリット③ 手入れが大変
夜間は平屋の中庭に漏れ出す室内の明かりに虫が寄ってくることもあります。また、中庭に植える植栽の種類によっては、落葉の片付けがとても大変ですし、芝生を植えたら定期的な刈り込みが必要になります。
中庭の自然環境を充実させるほど、その管理に労力と時間がかかることをあらかじめ理解しておきましょう。
中庭の平屋の間取りは2種類ある
中庭のある平屋の間取りは、大きく分けて「コの字型」と「ロの字型」の2種類に分類されます。
コの字型の間取り
出典:アイフルホーム姫路店 公式サイト https://www.miyakekomuten.co.jp/favo/court/
コの字型の間取りは、中庭の三方を建物で囲うタイプです。
中庭の一面が解放されているため、中庭の欠点である通風が悪く湿気がこもりやすいというデメリットを軽減できます。
通常の平屋の間取りを、中庭を囲うように折り曲げるイメージですので、設計上の制約も受けにくいと言えます。
中庭の一面が開放されていますので、プライバシーの確保には気を払う必要があります。
背丈のある植栽や目隠しフェンス等を併用し、道路や隣家など外部からの視線を遮る工夫をしましょう。
ロの字型の間取り
ロの字型の間取りは、建物の中に中庭を埋め込み、外部から遮断するかたちです。
そのメリットは、何と言っても中庭を完全なプライベート空間として活用できることです。
デメリットは、中庭を囲う分だけ建物の面積が大きくなりがちで、デッドスペースができやすいことです。中庭住宅のデザイン性とコストバランスを両立するには確かな設計力が問われるところです。
その他のタイプ
- 「L字型」…建物をL字に折り曲げたかたちで、目隠し塀を延ばして庭を囲むタイプです。
- 「C字型」…ロの字型の一部分に外部通路を設けるタイプで、外履きで屋外に出られるため機能的です。
- 「全天候型」…ややイレギュラーなタイプですが、中庭に屋根を掛けて雨や雪の日でも気軽に中庭に出られるようにするパターンです。
天窓(トップライト)を設けるか、ポリカーボネートなどの透過性のある材料で屋根を作るなどして採光を確保します。中庭に屋根を掛けると、建築基準法の床面積に参入されてしまい、建ぺい率などの法規制が厳しくなってしまうのと、固定資産税評価額が上がってしまうというデメリットもあります。
中庭のある平屋で後悔しないためのポイント
中庭のある平屋で後悔しないためには、デザイン性だけでなく実用性にも十分配慮した設計が大切です。
ここでは、中庭のある平屋を設計を検討するにあたって注意するポイントを解説します。
中庭と室内の床の高さをフラットにする
中庭の床はウッドデッキやタイルなどで仕上げて、その高さはリビングなどの室内の部屋と合わせて出来るだけ段差を少なくしましょう。
中庭と室内がフラットになることで、スムーズな往来が実現して中庭の利用率も自然と上がるというものです。
また、中庭の床の材質は室内と同じものを選ぶと部屋を広く見せる効果があります。限られた土地に中庭を作る分だけ質全摘に室内の床面積が狭くなるので、その部分をカバーする意味合いでもおすすめです。
排水・排雪計画は万全に
近年は過去に経験のない、集中豪雨、ゲリラ豪雨が頻繁に発生しています。
中庭は閉ざされた空間ですので、排水処理が間に合わないと室内に雨水が浸入してしまうことになりかねませんので、地面への雨水浸透に頼るのではなく、雨水を外部に流すための排水桝を必ず設けましょう。中庭の床が室内とフラットな場合は、掃き出し窓の手前にグレーチング側溝を設けるようにすると万全です。
ただし、排水口は放置すると落ち葉や土砂で詰まってしまい、いざというときに機能しないことがあり得ますので、定期的な清掃は欠かせません。
雪国では大雪のときに積もった雪の始末に困ります。積もった雪を屋外に排出するに部屋を通るわけにはいきません。お湯で融雪できるように給湯器直結の外水栓を設置しておくと効果的です。
窓の性能をアップグレードする
中庭のある平屋は、必然的に窓が多い間取りになるため、外気温の影響を受けやすいというデメリットもあります。
窓は「樹脂サッシ」「木製サッシ」「トリプルガラス」などの高断熱サッシの採用を検討してみてはいかがでしょうか。
(サッシ・ガラスの種類と断熱性能の比較)
断熱性能 | サッシ | ガラス |
---|---|---|
大 | 木製サッシ | トリプルガラス |
↑ | 樹脂サッシ | 真空ペアガラス |
↓ | アルミ樹脂複合サッシ | ペアガラス |
小 | アルミサッシ | シングルガラス |
中庭のある平屋の建築費用感は?
中庭のある間取りは高級で費用が高額になるイメージがあります。中庭のある平屋に必要な大きさと、中庭特有のコストアップ要因について調べ、実際にかかかる費用を算出してみました。
一般的な家と比べて広い土地が必要になる
中庭のある平屋は、通常の住宅と比較して、中央に中庭が入る分だけ建物外形が押し広げられ、面積が大きくなってしまう傾向があります。これは特にロの字型の間取りで顕著です。
建物外形が大きくなると、建築に必要な土地面積も広くなり、土地から購入を検討されている方は土地と建物合わせてトータルでのコストが増えてしまうことに注意する必要があります。
また、中庭に屋根を掛けて全天候型にすると建築基準法上の床面積に算入され、建ぺい率がオーバーとなる可能性もありますので、土地の選定の際には工務店などに相談し、建築法規を良く確認するようにしましょう。
建物のコストが上がる
中庭のある平屋特有のコストアップ要因としては、以下のものが挙げられます。
- 中庭を囲う分だけ外壁が増えるコスト
- 中庭に面した部屋の窓が増えるコスト
- タイルやウッドデッキを中庭の床仕上げとする場合のコスト
- 中庭に植栽を植えるコスト
- 中庭に排水設備を設けるコスト
- コの字型、L字型の間取りは目隠し壁や塀を設置するコスト
これらの要因によって、中庭のある住宅は一般的な住宅よりは割高になる傾向があります。
中庭のある平屋のコスト感
平屋住宅における世帯人数別の坪数を、国土交通省の資料を参考に計算してみました。
世帯人数による平屋住宅の延べ面積の目安は下記の計算式で表されます。
「25 ㎡×世帯人数+15 ㎡」
世帯人数を2人〜5人として、計算式に当てはめると下記のようになります。
2人世帯…75㎡(約20坪)
3人世帯…90㎡(約27坪)
4人世帯…115㎡(約35坪)
5人世帯…140㎡(約42坪)
参考:国土交通省「住生活基本計画」 別紙3 誘導居住面積水準
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000032.html
この面積の目安を基に、工務店に注文住宅を依頼するときの一般的な相場と言われる坪単価60万円で総額を算出し、下記の表にまとめてみました。
(一般的な平屋の坪数と金額の目安)
世帯人数 | 坪数 | 坪単価(万円) | 金額(万円) |
---|---|---|---|
2 | 20 | 60 | 1,200 |
3 | 27 | 60 | 1,620 |
4 | 35 | 60 | 2,100 |
5 | 42 | 60 | 2,520 |
中庭のある平屋の場合は、中庭を囲うために部屋や廊下が間延びした間取りになりがちで、面積が1割程度増加する傾向があります。
また、中庭を設けると先に説明したように外壁の面積や窓の増加、ウッドデッキやタイル仕上げの追加、排水処理設備の設置により坪単価も1割程度の増加を見込む必要があります。
(中庭のある平屋の坪数と金額の目安)
世帯人数 | 坪数 | 坪単価(万円) | 金額(万円) |
---|---|---|---|
2 | 22 | 66 | 1,452 |
3 | 30 | 66 | 1,960 |
4 | 39 | 66 | 2,541 |
5 | 46 | 66 | 3,049 |
まとめ
ここまで、中庭のある平屋の間取りパターンと、メリット・デメリットについて解説してきました。
中庭のある住宅は採光や通風が良く、家の中に居ながらにして自然を取り込んだ生活を送れます。
半外部空間として様々な活用方法があり、生活の幅を広げてくれることでしょう。
このように非常に魅力的な中庭のある平屋での暮らしですが、中庭には雨水や湿気が溜まりやすく、建設コストもアップするなどのデメリットもありますので、設計時によく検討して対策をしておかないと後悔することにもなりかねません。
この記事に挙げたメリット・デメリットを参考にしていただき、あなたの理想の中庭のある平屋を実現させていただけたら幸いです。
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