新築一戸建てにおすすめの暖房とは?種類や特徴から選び方のポイントを解説
新築住宅では、暖房の種類によって住まいの快適さや光熱費の節約効果が大きく変わります。
寒い季節でも暖かい室内を保つためには、適切な暖房機器の選択が欠かせません。
暖房器具の種類によっては備え付けとして長期間使うため、後悔しないように正しい知識を身につけておきましょう。
この記事では、寒さ対策だけでなく、注文住宅で人気の暖房システムや光熱費削減の方法についても解説します。
選び方のポイントも紹介しますので、寒さに負けない家づくりの参考にお役立てください。
新築住宅で人気の暖房3種類とメリット・デメリット
注文住宅を新築する際に人気がある暖房の種類は、「エアコン」「ガスファンヒーター」「床暖房」の3つです。
エアコンや床暖房は設計の時点で導入を決める方も多く、早い段階で特徴やメリット・デメリットを知っておくと役立ちます。
それぞれの特徴とメリット・デメリットについてお伝えしましょう。
エアコンのメリットとデメリット
エアコンとは、air conditioner(エア・コンディショナー)の略称です。
「空調機器」の意味があり、室内の温度や湿度を調整する働きがあります。
エアコンのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット |
・二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないため、室内の空気を清潔に保ちやすい ・火傷やケガの心配が少なく、子どもやペットのいる家庭でも安心して使用できる ・電力を使用するため、灯油などの燃料の調達が不要 ・部屋全体を素早く暖められるので効率がいい ・空気清浄や加湿といった機能が搭載されている種類もあり、複数の電化製品を購入せずに済む |
デメリット |
・エアコン使用時には室内の空気が乾燥しやすい ・本体の購入や設置には高額な初期費用がかかる場合もある ・極端に気温が下がる日にはエアコンのみでは室内が暖まらない可能性もあるので、寒冷地では対策が必要 |
ガスファンヒーターのメリットとデメリット
ガスファンヒーターは壁にあるガス栓(ガスコンセント)に、ガスコードを接続するだけで使えます。
温風を利用して室内を暖められるファンヒーターですが、石油ファンヒーターのように灯油を必要としません。
ガスファンヒーターのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット |
・スイッチを入れてから約5秒で温風が出るため、室内の温度が素早く上がる ・床に置いて使うため、足元まで温風が届く ・灯油の供給が要らないので、手軽に使える ・ガスの燃焼によって水蒸気が発生し、室内の湿度が下がりにくい ・外気温の影響を受けないため、寒冷地でも問題なく使用できる |
デメリット |
・ガス栓の設置が必須 ・不完全燃焼による一酸化炭素(CO)中毒を防ぐため、1時間に1〜2回の換気が必要 (参考:日本ガス石油機器工業会「ガスファンヒーター・ガスストーブの安全な使い方」) ・吹き出し口周辺が熱くなるため、火傷や転倒のリスクがある |
床暖房のメリットとデメリット
床暖房は、あらかじめ住居の床に設置してしまう暖房設備です。
床から直接伝わる「伝導熱」と床から部屋全体に広がる「ふく射熱」の組み合わせによって、足元と部屋全体を暖めます。
床暖房のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット |
・床から部屋全体を暖めてくれるので、足元が冷えにくい ・通常の床と同じように掃除でき、手入れが簡単 ・熱源機が床下にあるため、収納場所が不要 ・風が発生しないため、ほこりが舞い上がる心配はいらない ・火を使わないので安全 |
デメリット |
・スイッチを入れてから部屋全体が暖まるまでに時間がかかる ・1畳あたり5〜10万円程度かかり、初期費用が高め ・床の温度が高くなるため、長時間床に触れていると低温火傷のリスクがある |
床暖房の温め方は温水式と電気式の2種類
床暖房には大きく分けて2つの種類があり、温水式と電気式です。
発熱の方式が異なるため、新築住宅に床暖房の導入を検討される方はそれぞれの特徴を知っておきましょう。
温水式と電気式の違いについて解説します。
温水式
温水式とは、お湯を使って床を暖める方法です。
熱源機で水を温め、お湯をポンプで床暖房に送ります。
床の下に配置されたパイプの中をお湯が循環し、その熱で床全体が暖まる仕組みです。
主な特徴
- エコキュートやガス給湯器などと組み合わせて使用できる
- 設置にかかる費用は高めなものの、運用コストは低め
- 寒冷地域では凍結に対しての対策が必要
【関連記事】
エコキュートとガス給湯器の比較と統一省エネラベル活用法 | 注文住宅の給湯システム選び
電気式
電気式とは、床の下に設置した発熱線や面状の発熱体に電気を流して部屋を温める方法です。
いくつかの種類に分かれ、「蓄熱式」「PTCヒーター式」「電熱線ヒーター式」があります。
それぞれ違う仕組みを使って部屋を暖かくするため、詳細は専門家に確認しましょう。
主な特徴
- 部分的に設置できるので、キッチンの足元のみなどに対応できる
- 温水式に比べると、給湯にかかる設備が必要なく設置費用は安い
- 床暖房の稼働中は電気代がかかるため、ランニングコストに注意が必要
どちらの種類も床暖房としての快適さは同じです。
費用やライフスタイルによって、設置する種類を選びましょう。
温水式と電気式で迷った場合、初期費用に余裕がある方には温水式をおすすめします。
ランニングコストが抑えられ、電気代が高騰しても慌てません。
【関連記事】
光熱費の基本を学んで高騰に負けない対策を!節約ポイントと新築住宅の省エネ設備
新築住宅の暖房を選ぶポイント
新築住宅を新築するにあたって、暖房の種類を決める基準は人によって異なります。
後悔しない暖房設備を選ぶためには、ご自身の基準を決めるのが大切です。
暖房選びに必要な基準を決めるポイントについてお伝えします。
優先順位を決める
暖房に何を求めるかによって、種類を選びやすくなります。
暖房の種類や機能は多岐に渡り、何が最適かは一概には言えません。
家族構成やライフスタイル、予算、環境への配慮など暖房に求める条件を書き出しましょう。
いくつかの条件を優先したい順に並べると、ご自身に合った暖房の種類が見えてきます。
地域や住宅設備の特性を考える
新築住宅に適した暖房選びとして、お住まいの地域や購入予定の住宅設備もポイントの1つです。
地域によって気温やガスの供給が異なったり、住まい環境によって省エネ性に差が生じたりします。
都市ガスの供給がない地域では、ガスファンヒーターの電気代は高くなり、断熱性や気密性が低い住宅では、ハイパワーの暖房器具が必要です。
注文住宅を新築する場合は、家づくりの段階で暖房施設について設計しておくと失敗のリスクが減ります。
部屋の広さや用途を確認する
適切な暖房機器の種類は、部屋の広さや使用場所によっても異なります。
製品によって想定している部屋の広さや用途は違うため、目的に合ったものを選ばないと十分な効果を得られません。
たとえば、広いリビングに6畳用のエアコンを設置すれば、部屋を暖めるのに大量のエネルギーを消費します。
寝室でガスファンヒーターを使用したら、一酸化炭素中毒の恐れがあり危険です。
新築住宅の間取りや部屋の用途によって暖房の種類を選べば、省エネや快適で安全な使用につながります。
新築住宅で試したい光熱費節約の5つの方法
新築住宅でも、ほとんどの地域では冬季に暖房が欠かせません。
しかし、エアコンやガスファンヒーターの使用が増えるほど、電気代やガス代も上昇してしまいます。
経済的に冬を乗り越えるための5つの節約方法を紹介しましょう。
こまめに電源を切る
暖房器具の電源はこまめにオフにするのが、節約へのポイントです。
ただし、エアコンに関しては、「つけっぱなし」の運転方法が電気代の節約につながる場合もあります。
ダイキン工業の調査によれば、一部の場合では「つけっぱなし」のほうが効果的です。
上記の図を参考に、9〜18時の時間帯では、30分以上使用しない場合は電源を切りましょう。
室温を20℃に保つ
環境省は省エネルギーを意識するための室温として、冬季は20℃を推奨しています。
あくまでも室温であって、設定温度ではないので注意が必要です。
快適な温度を保ちつつ、省エネや光熱費削減に努めましょう。
暖房器具は、電源を入れる際に最もエネルギーを消費します。
暖まりすぎたと感じる場合は、設定温度を下げるのがおすすめです。
(参考:環境省「エアコンの使い方について」)
定期的なメンテナンスを行う
暖房機器は種類にかかわらず、ホコリや汚れがたまると本来の性能を発揮できません。
フィルターや風向口が詰まると、その分のエネルギーを消費します。
光熱費が高くなるだけでなく、暖房機器本体への負担がかかります。
故障の修理や買い替えのタイミングを増やさないためにも、定期的なメンテナンスを大切にしましょう。
カーテンを活用
暖房の効率を上げるためには、部屋の空気を外に逃がさないのが大切です。
外から冷たい空気が入いると室温が下がり、暖かい空気が逃げると暖房の効果が一気に下がってしまいます。
窓に長さと厚みのあるカーテンを吊るすだけで、エネルギーを無駄に消費しません。
光熱費節約のためにも、適切なカーテンの設置をおすすめします。
複数の暖房器具を併用
暖房を効率的に効かせるためには、いくつかの種類を組み合わせると良いでしょう。
部屋全体を暖めるのが得意な機器もあれば、局所的に暖めるのが得意な機器もあります。
エアコンとホットカーペットやこたつを一緒に使うと、下半身が冷えません。
いくつかの器具を組み合わせることで、それぞれの消費電力を減らして節約が可能となります。
冬でも暖かい新築住宅には条件がある
注文住宅の新築にあたって、一定の条件をクリアすると暖かく快適な住まいが実現できます。
暖房の種類選びも大切ですが、それ以上に家の省エネ性能が重要です。
同じ性能のエアコンを使っても、家自体の気密性や断熱性が低いと消費エネルギーが増えてしまいます。
省エネ性能に優れた家づくりは、暖房選びに欠かせない条件の1つです。
HEAT20とG3
HEAT20とは、省エネルギー化を促進するための団体です。
専門家が参加して高性能住宅の設計や技術の開発、評価方法の研究を行っています。
高性能な住宅の実現や、住む人の健康と快適さを考慮した技術の向上を目指し、高い断熱性を持つ住宅の普及も活動の1つです。
(出典:HEAT20「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会公式サイト」)
HEAT20では、住宅の外部からの熱の逃げ方に関する基準(G1〜G3)が存在します。
国内を7つの地域に分け、地域ごとの目標に基づいてランク設定されています。
たとえば、兵庫県姫路市を含む「6地域」における、G1からG3までの違いは以下の通りです。
最低室温 | UA値 | |
G1 | おおむね10℃を下回らない | 0.56 |
G2 | おおむね13℃を下回らない | 0.46 |
G3 | おおむね15℃を下回らない | 0.26 |
UA値とは、住宅の外皮の断熱性を示す指標です。
値が小さいほど断熱性が高いことを意味します。
G3は最も高い基準で、外気温に左右されず快適に過ごせる住宅です。
省エネルギー住宅と光熱費の節約
国交省は平成25年に「住宅・建築物の省エネルギー基準」を改定しました。
新しい基準では、住宅のUA値が0.87以下です。HEAT20のG3基準のUA値は0.26で、国の基準と比較して0.61も優れています。
アイフルホームの試算によれば、UA値の違いが年間の冷暖房費用に10万円もの差を生むとわかりました。
つまり、優れた断熱性と気密性の備わった注文住宅を新築すると、暖房設備のランニングコストを大幅に削減できます。
アイフルホームの取り組み
アイフルホームでは、HEAT20のG3に準拠した省エネルギーハウスを提供しています。
高い断熱性と気密性を備える住宅のため、暖房の性能を最大限に引き出すことが可能です。
HEAT20のG3基準をクリアした注文住宅を新築すれば、地球にやさしい暮らしと光熱費の節約が実現できます。
三宅工務店はアイフルホームの加盟店として、年中快適に過ごせる高性能住宅を提案しています。
お客様の視点に立った家づくりなら、当社にお任せください。
まとめ
新築住宅において、暖房設備の種類は重要なポイントです。
種類によって機能や用途が異なり、家族構成やライフスタイルに合わせて検討しないと後悔します。
都市ガスが供給されている地域か、寒冷地で冬季は水が凍る可能性はあるか、お子さんやペットへの安全性は確保できるかなど懸念点は人によります。
また、暖房効果を最大限に活かすためには住宅の省エネ性能も重要です。
断熱性や気密性に優れた家は、空気を室内に閉じ込めておけるので経済的です。
省エネハウスの最高峰の基準としてHEAT20のG3の注文住宅があります。
新築住宅の省エネ基準にも注意を払って、より効果的な暖房の種類を選びましょう。