新築住宅では石油やガスファンヒーターは使えない?高気密住宅を安全に暖める暖房器具
新築住宅のファンヒーター

家づくりコラム

新築住宅では石油やガスファンヒーターは使えない?高気密住宅を安全に暖める暖房器具

新築住宅のファンヒーター

新築住宅の暖房としてファンヒーターを検討している場合は、酸欠や一酸化炭素中毒のリスクに注意が必要です。最新の住宅は気密性が向上しているため、石油やガスファンヒーターの利用は安全性が課題となっています。

この記事では、気密性の高い新築住宅でも安全に使用できる暖房器具や、おすすめのファンヒーターを具体的に紹介します。暖房器具の検討は間取りや家の設計にも影響を及ぼすので、安全で快適な家づくりの参考にお役立てください。

新築で人気の高気密住宅とは?

冬のリビングで過ごす家族

高気密住宅をシンプルに表現すると「隙間を極力減らした住宅」となります。古い木造住宅では、窓や壁の隙間から外気が侵入してくるのが難点です。高気密住宅では隙間を極力減らし、特別な断熱材や窓を用いているのが特徴です。

室内の温度が外気温に左右されにくい構造で、夏はエアコンの涼しい空気が逃げにくく、冬は冷たい外気が室内に侵入しにくくなります。多くの方が感じる「一軒家は寒い」という原因の1つを解消できるのが、高気密住宅の魅力です。

高気密住宅は一年中快適な温度を維持しやすく、冷暖房を効率的に活用できます。気密性能を表す指標として「C値」があり、値が小さいほど気密性が高い住宅です。ハウスメーカーや工務店のホームページにはC値が掲載されているので、暖房効率が良い家をお探しの際は参考にしましょう。

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高気密住宅で石油やガスファンヒーターの使用は危険

部屋に取りつけられたガスの元栓

気密性の高さは新築住宅で人気がある一方で、暖房器具の使用には細心の注意が必要です。気密性が高いほど家の隙間が少なくなり、室内が密閉状態に近づく傾向があります。そのため、高気密住宅では、石油やガスファンヒーターの使用を控えるよう警告されているのが一般的です。高気密住宅で石油やガスファンヒーターを使う危険性について解説しましょう。

一酸化炭素中毒の危険性

石油やガスファンヒーターは、室内の空気を取り込み、ガスを燃やして室内を温める暖房器具です。燃焼の過程で発生する排気ガスも、熱とともに室内に排出されるため危険性が高くなっています。石油やガスファンヒーターを使う際は、室内の酸素不足による不完全燃焼と一酸化炭素中毒のリスクは否めません。

通常の木造住宅では隙間を通じて一定の空気が入れ替わるため、数時間おきの換気でも石油やガスファンヒーターを安全に使用できます。しかし、高気密住宅では室内が密封状態に近く、酸素不足に陥りやすい危険な状態です。一酸化炭素中毒だけでなく、酸欠のリスクも考慮しましょう。

24時間換気システムが導入されていたとしても、換気が追いつくとは限りません。高気密住宅で石油やガスファンヒーターを利用する際は、1時間に2〜3回ほど窓を開けて換気することが必要です。換気のたびに室内の温かい空気が逃げるため、経済的な観点からも効率は悪くなってしまいます。

結露の原因

安全性とは直結しないものの、高気密住宅で石油やガスファンヒーターの使用を控えたい理由の1つが結露です。ファンヒーターは空気を燃焼させる際に、熱とともに大量の水蒸気を発生させる仕組みとなっています。1時間あたりの水蒸気量は、小型の加湿器と同等の量ともいわれるほどです。

高気密住宅では空気の通り道がほとんどないため、湿気の逃げ場が限られてしまいます。対策を講じないと、室内の湿度が上昇しやすいというのが課題です。湿度が高くなった部屋では結露が発生し、天井や壁、床などのカビや腐食の原因となります。

カビや腐食は家の耐久性や性能を低下させ、健康にも悪影響を及ぼす恐れがあるので注意が必要です。カビは喘息や気管支炎、アトピー性皮膚炎の原因物質ともされています。家の耐久性や健康面から見ても、高気密住宅で石油やガスファンヒーターの使用はおすすめしません。

新築住宅におすすめの安全な暖房器具

リビングをハイハイする赤ちゃん

住宅の構造や間取りによって、暖房の効率は大きく変わります。かつての木造住宅は、鉄筋コンクリートのマンションに比べて気密性が低く、冬の暖房が十分に効かないとされていました。しかし、高気密住宅の普及によって、一軒家のデメリットでもある「冷え込み」から解放され、冬でも快適な生活が実現されつつあります。

ただし、気密性の高い住宅には、石油やガスファンヒーターのような暖房器具はあまり適していません。新築住宅において、安全かつ効果的に使用できる暖房について解説しましょう。

エアコン

エアコンのスイッチを入れる女性

高気密な新築住宅で、ガスストーブや石油ファンヒーターよりも安全に使えるのがエアコンです。主なメリットを3つ解説しましょう。

安全性が高い

エアコンは高い位置に取り付けられるため、床に設置する必要がありません。小さなお子さんやペットがいても火傷や事故のリスクが少なく、安心して使用できます。また、可燃性の燃料や火を使用しないため、火災への不安も軽減されるのがメリットです。

空気がキレイ

エアコンは室内にCO2を排出しないため、こまめな換気は必要ありません。石油やガスも使わず、不快な臭いが発生しないのも魅力です。一部の製品には加湿機能が搭載されており、部屋を温めながら快適な空気を保てます。

部屋が迅速に暖まる

エアコンは素早く部屋全体を暖められるため、帰宅や起床時のストレスを最小限に抑えられるのが強みです。風向きや風量を細かく調整でき、部屋で過ごす人に合わせて暖房を効かせられます。足元や一部のスペースを重点的に暖かくできる性能を備えたエアコンもあり、暖房効率はアップしています。

便利な機能を搭載

最近のエアコンには、スマートフォンや音声で遠隔操作できるモデルも登場しています。外出先からでも部屋の温度を調整でき、ペットが留守番している家庭や共働き世帯にも人気です。技術の進歩によって利便性が向上し、快適な生活をサポートしてくれます。

エアコン暖房のデメリットは「電気代がかかる」という点です。暖房使用時の電力消費は高いものの、省エネ性能は進化しています。環境省によると、2010年と2020年のエアコンを比較すると、消費電力が約12%も削減され、年間電気代は約2,920円も節約可能です。
(参考:環境省「2020年 VS 2010年 最新家電と10年前の家電どのくらいおトク?」)

床暖房(温水式)

床暖房の上を裸足で歩く足元

床暖房には「電気式」と「温水式」の2種類があります。電気式は床材の下に発熱体を内蔵し、電気を通して発熱させる仕組みです。温水循環式は電気やガスで温水を生成し、床下に敷いたマットに循環させて部屋を暖めます。広い面積を暖房したり、長時間使用したりする場合は、経済的には温水式がおすすめです。

高気密住宅に床暖房を導入すると、主に3つのメリットがあります。

温風による乾燥が防げる

エアコンやファンヒーターのような暖房器具から発せられた温風は、直接顔に当たると肌の乾燥を招いてしまいます。インフルエンザなどの感染症予防の観点からも、部屋の乾燥は避けたいものです。床暖房なら完全に乾燥しないわけではないものの、石油やガスファンヒーターと比べると湿度は高く保てます。

ホコリが舞い上がりにくい

風の出る暖房器具は、床のホコリやハウスダストを舞い上げてしまうのが難点です。床暖房は温風を送り出さないので、部屋の空気を汚さずにクリーンな空間のまま部屋を暖められます。ハウスダストが原因のアトピーや喘息が気になる方も安心して使え、アレルギー体質の方にもおすすめです。

手入れが簡単

床暖房はエアコンのフィルター掃除のように、定期的な手入れを必要としません。石油やガスファンヒーターのように床置きしないので、日々の掃除もスムーズです。お掃除ロボットを使用しているご家庭の場合、掃除のたびに床を片づけずに済みます。暖房器具の掃除ではなく、通常の床掃除と一緒にキレイにできるのは手軽で簡単です。

家族全員が快適に過ごせる

室内の温かい空気は上部にたまりやすく、同じ部屋にいても大人と子どもで体感温度に差が生じる場合もあります。床暖房は部屋全体を均一に暖められるので、身長に関係なく快適に過ごせるのが魅力です。ただし、小さなお子さんや赤ちゃんは体温が高いので、大人よりも薄着にさせるなどの工夫をしましょう。

全館空調

全館空調のバスルーム

全館空調は、家全体を冷暖房で一括管理するシステムとなっています。高気密住宅との相性が抜群で、導入によって得られるメリットは以下の通りです。

どの部屋も一年中快適

全館空調は24時間365日稼働しているため、一年を通じて家中の温度や湿度を快適に調整できます。エアコンとは異なり、部屋ごとではなく、家全体をコントロールできるのも特徴です。冬場のトイレや浴室も安心して利用でき、寒暖差が原因のヒートショックへの備えとしてもおすすめできます。

見た目がスッキリ

全館空調は1台で家中の空調を管理できるため、各部屋に暖房器具を設置する必要がありません。部屋がスッキリとし、インテリアも自由にコーディネートできます。室外機も1台のみなので、新築住宅の外観が美しく整うのも魅力です。生活感のない暮らしやシンプルライフを目指す方にもおすすめします。

部屋の空気をキレイに保てる

全館空調には換気機能の性能が高い製品も多くあり、空気清浄機能や家庭用除菌機能を搭載したタイプも人気です。家中の空気を清潔に保てるだけでなく、花粉症やアレルギー対策としても役立ちます。花粉やPM2.5をブロックできるフィルターが組み込まれた全館空調を選べば、花粉の季節も快適です。

注意したいのは、全館空調は建物の設計を慎重におこなう必要がある点です。入居後のライフスタイルや家族構成に合わせて計画しましょう。ほとんどのメーカーで定期メンテナンスが推奨されているため、住宅購入後もサポートしてくれる工務店を選ぶと安心です。

高気密住宅でも安心なファンヒーターならFF式を検討しよう

冬のリビングで笑顔の家族

「高気密住宅を新築してもファンヒーターを使用したい」という方には、FF式ファンヒーターをおすすめします。FF式は給排気筒を通して排気ガスを外部に排出するため、安心して利用可能です。高気密住宅でFF式ファンヒーターを使用するメリットを紹介しましょう。

1.空気が汚れない

通常のファンヒーターは室内の空気を燃焼させて、排気ガスを室内に排出します。一方、FF式ファンヒーターは外部の空気を取り込んで燃焼し、排気ガスを外に排出する方式です。強制的に給排気されるため、部屋の空気が汚れる心配はありません。

2.一酸化炭素中毒のリスクがない

FFファンヒーターは排気を外部におこなうため、一酸化炭素中毒の危険性がないのも魅力です。他のファンヒーターのように室内に排気せず、高気密住宅でも安心して使用できます。

3.結露ができない

通常のファンヒーターは燃焼時に水分を発生させるため、結露の原因となります。FF式ファンヒーターは発生した水分を排気ガスとともに外に排出してしまうので、結露の心配がありません。

4.臭わない

通常のファンヒーターは排気が屋外にできないため、燃焼系の臭いが発生してしまいます。FF式ファンヒーターは臭いも室外に排出できるので、室内では臭いが気になりません。高気密住宅でも安心して使用できるだけでなく、燃焼系の臭いが苦手な方にも適しています。

FF式ファンヒーターは、送風ファンを通じて床から温風を届けるので部屋全体が均等暖まるのがメリットです。空気が外に逃げない高気密住宅では、安全かつ効果的に使用できます。ただし、壁に穴を開ける必要があるので、設置後は簡単に動かせません。新築住宅の設計段階で、入居後の生活に最適な場所を見極めましょう。

まとめ

新築住宅の暖房器具としてファンヒーターを検討する際は、石油やガスファンヒーターの危険性に注意が必要です。一酸化炭素中毒のリスクがあり、とくに気密性が高いほど気をつけなくてはなりません。高気密住宅では、エアコンや床暖房、全館空調が安全に使用できる暖房器具です。

ファンヒーターを希望する場合は、FF式ファンヒーターをおすすめします。排気ガスを外部に排出するため、高気密住宅でも安心して使えるためです。

新築住宅の暖房設備を選ぶにあたっては、専門的な知識が欠かせません。高気密住宅の販売実績が豊富な工務店に相談すると、的確なアドバイスをもらえます。専門家の力を借りて、新築住宅の暖房環境を安全で快適に整えましょう。

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