2024年は住宅ローン減税に注意が必要!制度改正で失敗しないマイホームを建てよう
住宅ローン減税の説明を聞く夫婦

家づくりコラム

2024年は住宅ローン減税に注意が必要!制度改正で失敗しないマイホームを建てよう

住宅ローン減税の説明を聞く夫婦

2024年から住宅ローン減税の制度が改正され、一部から「改悪だ」「減税が受けられなくなる」との声が上がっています。マイホームを建てても1円も控除されないというケースもあるので、正しい知識を身につけておくことが重要です。

今回は、住宅ローン減税を受けるために抑えておきたいポイントをわかりやすくお伝えします。2023年に国土交通省から発表された最新情報や過去との違いを交えて解説しますので、家づくりの参考にご一読ください。

住宅ローン減税とは?

住宅ローン減税のイメージ

住宅ローン減税は、住宅購入者の負担を軽くするための税制優遇制度です。1970年代に導入され、家を建てやすくする目的だけでなく、家具や家電の消費を促進し、景気を刺激する狙いもありました。

何度かの改正を経て、2024年現在、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が、所得税や住民税から13年間にわたって控除される仕組みとなっています。たとえば、年末に3000万円のローン残高があれば、「3000万円×0.7%」で、控除金額は最大21万円です。

所得税からの控除ができない場合は、翌年の住民税からも引かれます。ただし、金額には上限があるため、注意が必要です。

2024年の住宅ローン減税の注目ポイント

注目ポイントを説明する女性

2022年の税制改正では、住宅ローン減税の控除率が1%から0.7%に引き下げられました。他にも住宅ローン減税が2025年まで延長されたものの、2024年からは内容が一新しています。過去の情報に振り回されないよう、変更点を確認しておきましょう。

2024年改正ポイント1:借入限度額の変更

2024年の住宅ローン減税で最も注目したいのが、借入限度額の変更です。借入限度額は、控除の対象となるローン残高の上限で、超過分は減税の対象にはなりません。借入限度額は住宅の省エネ性能によって異なり、新築戸建て住宅の場合、具体的な金額は以下の表の通りとなります。

住宅ローン残高と控除額の関係

住宅の種類借入限度額(2024・2025年入居)
長期優良住宅・低炭素住宅4500万円
ZEH水準省エネ住宅3500万円
省エネ基準適合住宅3000万円
その他の住宅0円
※2023年までに建築確認を受けた場合は借入限度額2000万円、控除期間は10年間に短縮
(出典:国土交通省「住宅ローン減税」を参考に作成)

年末に5000万円の住宅ローンが残っていた場合、ZEH水準の家であれば3500万円が控除の対象金額です。そのため、3500万円に0.7%をかけた額、24万5000円が所得税から還付されます。一方、長期優良住宅であれば、4500万円に0.7%をかけた額、31万5000円が控除金額です。住宅ローンの残高が多いほど、省エネ性能の高い家を建てると減税額が多くなるとわかります。

住宅の省エネ性能と断熱性能

住宅の省エネ性能とは、断熱性能の高さと大きく関係しています。高断熱住宅であれば、室内の温度を一定に保ちやすく、冷暖房による消費エネルギーの削減が可能です。また、エコキュートや太陽光発電を導入して電気代を減らす方法もあります。

【関連記事】
光熱費の基本を学んで高騰に負けない対策を!節約ポイントと新築住宅の省エネ設備

2024年改正ポイント2:子育て世帯・若者夫婦世帯への借入限度額優遇

2023年に国土交通省から発表された最新の改正で加わった注目ポイントが、子育て世帯や若者夫婦世帯に対する借入限度額の優遇です。

優遇対象の世帯と内容

子育て世帯とは18歳以下のお子さんがいる世帯を指し、若者夫婦世帯とは夫婦のうちいずれかが40歳未満の世帯を指します。これらの世帯が2024年に入居する場合に限り、借入限度額は2023年までの控除限度額が適用されます。

2024年の借入限度額一覧

住宅の種類借入限度額
長期優良住宅・低炭素住宅5000万円
ZEH水準省エネ住宅4500万円
省エネ基準適合住宅4000万円
その他の住宅3000万円
(出典:国土交通省「住宅ローン減税」を参考に作成)

優遇世帯への影響

該当しない世帯に比べて500万円から1000万円も限度額が上乗せされており、非常にお得な状況です。ローンの負担が大きい世帯の税金を減らそうという措置であり、子育て世帯や若い夫婦世帯にとっては、2024年はマイホームを手に入れるチャンスの年となっています。

2024年改正ポイント3:省エネ基準を満たさないと住宅ローン減税の対象外

2024年の改正で重要なのは、「その他の住宅」の限度額が0円になるという点です。省エネ基準を満たさない住宅が該当し、住宅ローンをどれだけ借りても1円も減税されません。

地球温暖化防止の一環

省エネ性能が低い住宅は電気の使用量が増え、二酸化炭素の排出量も多くなる傾向があります。世界中で行われている地球温暖化防止への取り組みと逆行しており、2025年4月からは省エネ住宅以外の一般住宅は新築が禁止される見込みです。

2024年のマイホーム購入は注意が必要

マイホームの資産価値を考慮しても、2024年は省エネ基準適合住宅を建てるのが無難な選択と考えられます。また、注意すべきは、ハウスメーカーや住宅販売会社が「省エネ」と称している家が基準を満たしていない可能性があるという点です。

2025年以降は建築条件が変わる

2025年4月以降の建築条件として、省エネ基準適合が義務化されているものの、2024年時点では明確なガイドラインによる実施が行われていません。実際に、モデルハウスを見学してから話を聞いたら、「控除の対象にならない」と言われたケースもあります。マイホーム購入を考える際は、必ず住宅ローン減税の対象になるかどうかしっかり確認するようにしましょう。

住宅ローン減税を受ける省エネ性能以外の条件と注意点

条件と注意点を理解して笑顔の女性

住宅ローン減税を受けるには、省エネ性能以外にもいくつかの条件があります。主に、スケジュール・家の面積・借入期間の3つが重要です。それぞれの内容や注意したいポイントについて解説しましょう。

スケジュール

住宅ローン減税を受けるには、2024年か2025年に入居する必要があります。いつ契約すれば減税されるのかという疑問も多く見受けますが、現状では契約期間についての特別な条件はありません。減税の対象かどうかは、あくまでも入居時期によって判断されます。

また、省エネ住宅以外の住宅に関しては、2023年12月31日までに建築確認を受けたものは特例に該当します。借入限度額を2,000万円として、10年間の控除が適用されるものの、すでに締め切られているので注意が必要です。

(参考:国税庁「令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」)

面積

住宅ローン減税の対象となる家の面積は、延べ床面積が50㎡(およそ15坪)以上というのが条件となっています。ただし、所得金額が1000万円以下の方に限り、2024年中に建築確認を受ければ、延べ床面積が40㎡(およそ12坪)以上の家も減税対象です。

また、面積の1/2以上が自分で所有する住居という条件もあるため、2世帯住宅や店舗併用住宅を考えている場合は、住宅ローン減税が受けられない可能性もあります。不安な方は、間取りを工夫して面積の割合を調整できないか、住宅会社や工務店に早めに相談してみるのがおすすめです。

借入期間

住宅ローン減税の対象となる借入期間は、10年以上と定められています。そのため、10年より短い期間の住宅ローンを組む予定の方は注意が必要です。また、将来貯金がたまっても繰り上げ返済の前に、借入期間が10年未満に短縮されないか確認しましょう。返済期間が短くなってしまうと、減税の恩恵を受けられない可能性もあります。

住宅ローン減税を有利にする省エネ性能基準

省エネ基準適合住宅のリビング

より有利な条件で減税措置を受けるためには、住宅の省エネ性能は欠かせない要素です。2024年以降に入居予定の住宅を建てる際は、以下の4つの基準について理解しておきましょう。

省エネ基準

2024年時点での省エネ基準は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」によって定められています。建築物が備えるべき省エネルギー性能確保のために必要な構造や設備に関する基準で、以下の2点で構成されています。

「一次エネルギー消費量」とは、空調・換気・照明・給湯などに使われるエネルギー消費量から、太陽光発電設備等による創出エネルギーを差し引いたものです。一次エネルギー消費量はBEIと記され、基準となる数値は1.0以下となります。

「外皮」とは、外壁や屋根、窓など建物を覆っている部分のことです。外皮にあたる部分の断熱性能が高いと、外気温の影響を受けにくくなるため、省エネ性能が高まると評価されています。外皮性能はUA値で表わされ、地域によって基準値は異なるというのが特徴です。兵庫県をはじめ、日本では0.87となっている地域が多くなっています。

2025年からは住宅の建築条件として、省エネ基準への適合が義務化されます。つまり、上記の基準は最低ラインとなるため、特別高性能というわけではないことに注意しましょう。

(参考:国土交通省「省エネ基準の概要」)

【関連記事】
高気密高断熱住宅8つのメリットと注文住宅新築の際に注意すべきポイントを解説

ZEH水準

ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称です。外皮の断熱性能を向上させ、効率性の高い設備やシステムを導入した省エネルギー住宅に対して使います。再生可能エネルギーを活用して、一次エネルギー消費量の収支をゼロにするというのも大きな特徴です。

具体的には、以下のような設備を搭載した家となります。

・太陽光発電システム
・家庭用蓄電池
・高性能断熱材
・高断熱なサッシ
・高効率な給湯器

2025年の省エネ基準適合の義務化に加えて、2030年度以降に新築される住宅はZEH水準の省エネ性能が最低ラインとなる予定です。

(参考:国土交通省「ZEH・LCCM住宅の推進に向けた取組」)

長期優良住宅

長期優良住宅とは、長期間にわたって良好な状態で住み続けるための対策が講じられた家です。省エネ性だけでなく、劣化対策・耐震性・バリアフリー性・メンテナンスのしやすさなどの基準も設けられています。

建築や維持管理の計画を作成し、所管の行政機関に申請すると認定を受けられる仕組みです。新築住宅の認定制度は2009年6月から開始されているものの、認定基準は随時改定されています。2022年の改定では、省エネルギー性能が向上し、断熱等性能等級が4から5に、一次エネルギー消費量等級が6に引き上げられました。

(参考:国土交通省「長期優良住宅のページ」)

低炭素住宅

低炭素住宅とは、生活に伴って発生する二酸化炭素を抑制するための取り組みが行われている住宅です。ZEH水準の省エネ性能に加え、再生可能エネルギー利用設備と低炭素化に役立つ措置の導入、または所管行政機関の認めるものが必要です。

低炭素住宅も、高性能な断熱材や窓、エコキュートなどの省エネ設備、太陽光発電などを活用してエネルギー消費量を大幅に削減します。長期優良住宅と同様に省エネ性能が高いものの、低炭素住宅のほうが省エネに特化しているというのが特徴です。

総合的には長期優良住宅ほど機能は高くない一方で、認定のハードルは低めとなっています。

(参考:国土交通省「エコまち法に基づく 低炭素建築物の 認定制度の概要」)

住宅ローン減税は今後どうなる?

マイホームの今後をは話し合う夫婦

2024年時点で発表されている住宅ローン減税は2025年までの入居を条件としているため、2026年以降の動向はわかりません。今後、減税条件が良くなるようであれば、マイホームの新築を待つという選択肢もあります。ただし、正確な情報がない以上、補助金などが減ってしまう可能性も考えておいたほうがいいでしょう。

賃貸とマイホーム購入を比較してみる

賃貸住宅にお住いであれば、毎月の家賃が10万円なら年間で120万円の支出となっています。マイホーム購入はタイミングも大切で、お子さんの進学や成長に伴う引越しも重要なターニングポイントです。家を建てたい理由があるのなら、現時点での住宅ローン減税や優遇措置を活かして早めに快適なマイホームを手に入れるのも1つの方法です。

省エネ性能を意識して住宅会社を選ぶ

マイホームを建てる際には、省エネ性能の高い住宅を多く扱う住宅会社や工務店を選びましょう。住宅ローン減税を申請するための証明書や必要書類を準備してもらう必要があるため、実績のない会社を選んでしまうと控除の対象外となってしまうためです。最悪の事態を避けるためには、知識と実績は重要な判断材料となります。

まとめ

住宅ローン減税が改正され、2024年は省エネ性能の低い一般住宅は控除の対象外となりました。2025年4月からは新築基準として省エネ基準適合が義務化されるため、今後は省エネ住宅が最低ラインとなります。これからマイホームを建てる方は、環境にやさしく、光熱費削減にもつながる省エネ性能に注目した家づくりを目指しましょう。

家づくりコラム一覧へ戻る