一戸建て住宅のメンテナンスの時期と費用
家を長持ちさせる!一戸建て住宅のメンテナンスの時期と費用を徹底解説

家づくりコラム

家を長持ちさせる!一戸建て住宅のメンテナンスの時期と費用を徹底解説

家を長持ちさせる!一戸建て住宅のメンテナンスの時期と費用を徹底解説

「日本の戸建て住宅の寿命は平均30年」という事実をご存じでしょうか?

国土交通省の調査によるもので、アメリカの戸建て住宅は55年、イギリスは77年が平均とされていますので、日本の戸建て住宅の寿命は極端に短いことが分かります。

ですが、維持管理計画としっかりと立てて適切な時期にメンテナンスを実施すれば、30年をはるかに超えて戸建て住宅を長持ちさせることも可能です。

この記事では、戸建て住宅を長持ちさせるためのメンテナンス方法について解説します。

メンテナンスが必要な時期と部位、費用の目安についても詳しく解説しますので、戸建て住宅にお住まいの方、ご検討中の方はぜひご参考にしてみてください。

参照:国土交通省ホームページ「長持ち住宅の手引き

戸建て住宅の築年数別メンテナンス内容と標準的な費用

戸建て住宅の築年数により発生するメンテナンスの内容と、標準的な費用の目安について解説します。

2年目~10年目のメンテナンス費用

戸建て住宅の引き渡し後10年目までは、通常に使用している限りメンテナンスは発生しにくいです。

半年、1年、2年、5年、10年と施工業者が定期点検を実施し、その都度プロのチェックが入るので安心できます。

メーカー製の住宅設備の多くは2年保証が付いている場合が多いので、保証期間内に不具合を感じたら放置せずにすぐにメンテナンスを依頼するように心がけましょう。

内外装の仕上げについても工務店やハウスメーカーの工事保証が付く場合があります。

その場合は、通常の使用状況化で2年~3年の保証とする会社が多く、定期点検のタイミングで無償メンテナンスに対応できる範囲を確認するようにしましょう。

10年目~20年目のメンテナンス費用

10年目~20年目のメンテナンス費用

引き渡し後10年のタイミングで、建設会社に加入が義務付けられている「瑕疵担保保険」が失効します。

瑕疵担保とは、建設業や不動産業界などで用いられる、建物や設備などの完成後に生じる隠れた欠陥(瑕疵)に対して、保険会社が一定期間内に修繕費用を負担する保険のことです。

10〜20年の築年数で構造体の損傷や劣化は考えにくいですが、床下に潜っての基礎や土台の確認、小屋裏に入っての梁や屋や柱の健全性の確認はするべきでしょう。

外装の施工不良による雨漏りについても瑕疵担保保険が失効しますので、屋根裏や室内天井に雨浸みが無いかのチェックします。

外部の塗装やコーキングに関しては、10年を超えると劣化が急速に進行しますので、20年が経過するまでに上塗り塗装のメンテナンスを実施しましょう。放置してボロボロになっなったあとでは、部材ごとの交換になるとメンテナンス費用が非常に高くついてしまいます。

給湯器やエアコンなどの設備機器は設計寿命を10年としているメーカーが多く、その期間を超えるとメンテナンス用の部品在庫が無いなど、修理対応が難しくなります。機器が壊れて動かなくなる前に、余裕をもって交換したいところです。

部位メンテナンス内容費用(35坪程度の戸建て住宅を想定)
外装(板金屋根)塗装30~40万円
外装(外壁)塗装・コーキング打ち替え80~150万円
基礎・土台防蟻薬剤処理10~20万円
内装部屋ごとの壁紙貼り替え8帖部屋:6~10万円
ガス給湯器交換(設計寿命10年)30万円
エアコン交換(設計寿命10年)8帖部屋:10万円

20年目~30年目のメンテナンス費用

築20年を超えると、外装材に不具合が生じた場合は塗装では対応しきれず、原則として交換が必要になります。

キッチンやユニットバス、トイレなどの水回りの住器も痛みが進行していることが多く、入替を検討するタイミングになります。

部位メンテナンス内容費用(35坪程度の戸建て住宅を想定)
外装(スレート・瓦屋根)葺き替え50~100万円
外装(外壁)貼り替え150~250万円
キッチン交換30~60万円
ユニットバス交換40~80万円
トイレ交換10~30万円
内装家全体の壁紙貼り替え30~60万円

30年目以降

築30年以降は、地震などの災害に対する安全性を最優先に考えます。

基礎や木構造などの、戸建て住宅の構造体が健全性であるかをチェックします。

著しい劣化が見受けられる場合は、内外装材を取り外して構造材を裸にしてのフルリフォームも視野に入れてのメンテナンスを検討するべきでしょう。

その場合は数百万円から一千万円を超える規模の大規模メンテナンスも想定されます。

戸建て住宅をメンテナンスで長持ちさせるためには

戸建て住宅を定期的なメンテナンスでしっかりとケアし、長持ちさせるためのコツについて解説します。

耐久性に優れた製品を採用する

戸建て住宅の内外装材の仕様や設備は、イニシャルコスト(初期費用)を重視する考え方と、ランニングコスト(維持費用)を重視する考え方があります。

イニシャルコスト重視で初期建設費を安くしても、早期にメンテナンスが発生してメンテナンス費用が高くついては意味がありません。

内外装材の仕様や設備の選定にあたっては、工務店やハウスメーカーに必ずランニングコストとメンテナンスのサイクル、費用についても質問するようにしましょう。

計画的な修繕計画を立てメンテナンス予算を積み立てる

戸建て住宅であっても、分譲マンションのように「修繕積立金」の考え方を持ちましょう。

戸建て住宅には定期的なメンテナンスが必ず必要です。

必要な時期に必要なメンテナンス資金を用意できるように、前項の築年数別メンテナンス内容と標準的な費用を参考にして、メンテナンス予算を積み立てするようにしましょう。

ハウスメーカーや工務店の保証制度をよく確認する

戸建て住宅を建てるにあたっては、工務店やハウスメーカーの保証範囲および期間、定期点検制度をよく確認しましょう。

法律によって戸建て住宅に加入が義務付けられている10年間の「瑕疵担保保険」は、構造体と雨水の浸入(施工不良による場合のみ)に適用されるもので、戸建て住宅のメンテナンス全般をカバーするものではありません。

保証期間の年数だけでなく、定期点検でしっかりと戸建て住宅のコンディションをチェックし、適切なメンテナンスのアドバイスをしてくれる工務店やハウスメーカーを選ぶことが、戸建て住宅の寿命を伸ばす最大のコツです。

認定長期優良住宅で建てる

戸建て住宅を「認定長期優良住宅」で建てることも、非常に有効です。

認定長期優良住宅は、30年以上の維持保全計画の策定と10年ごとの点検が義務付けられており、地震・台風時には臨時の点検も必要となります。

必要なメンテナンスを放置して、戸建て住宅の寿命を縮めてしまうリスクが減り、建物を長寿命化できます。

認定長期優良住宅として認定されるためには、住宅性能評価制度の維持管理対策等級(専用配管)は最高ランクの等級3が必要で、点検口を多く設置し、配管設備の交換が用意になる設計がされています。

耐震等級も最高ランクの等級3で、建築基準法レベルの1.5倍の耐震性能があります。

これは、東日本大震災や熊本地震レベルである震度6強~7の地震力の1.5倍の力に対して、倒壊・崩壊しないような非常に頑強な強度を持つことを意味します。

あわせて読みたい家づくりコラム「【2023年最新】長期優良住宅で後悔しない!申請する前に抑えるべきポイントを解説

参照:国土交通省「長期優良住宅認定制度概要

戸建て住宅にはどのようなメンテナンスが必要?チェックするポイントをご紹介

戸建て住宅にはどのようなメンテナンスが必要?チェックするポイントをご紹介

戸建て住宅で定期的なメンテナンスが必要な部位と、確認するポイントについて解説します。

日常的にご自分でチェックできるものも多くありますので、戸建て住宅のメンテナンスに大いに役立ててください。

戸建て住宅のメンテナンス部位①外部

【外壁・コーキング】

窯業系サイディングなど、表面に塗装が施している外壁の場合は、表面を手でこすって白い粉(チョーキング)が付着する場合は塗装メンテナンスの頃合いです。

コーキングは戸建の隙間やつなぎ目を埋める施工技術で、シリコン、ポリウレタン、アクリルなどの素材からできています。紫外線による劣化で徐々に硬化していきます。弾力性が失われるとひび割れ、防水効果が無くなってしまいます。

【屋根】

ご自分で戸建て住宅の屋根に上がりチェックすることは難しいため、10年点検等のタイミングで業者に屋根点検をしてもらうことをおすすめします。

最近はドローンによる撮影調査をしてくれるメンテナンス会社もあります。

【雨とい】

雨といには長年のうちに土砂が溜まり詰まっていることがあります。

積雪地の場合は雪の重みで取り付け金具が曲がってしまい、きちんと雨を受けられなくなってしまうこともあります。

【ベランダ床防水】

戸建て住宅のベランダ床には、FRP防水やウレタン塗膜防水が施工されています。

防水保証は一般的に10年ですが、排水が詰まっている状態を放置すると、ゲリラ豪雨などで一気に水かさが増えてしまい室内に漏水してしまう恐れがあります。

【基礎】

戸建て住宅の基礎の表面にひび割れがないかをチェックします。

コンクリートは竣工後も長期間に渡って乾燥が進行しますので、乾燥収縮によるひび割れ(クラック)であれば、大きな問題はありません。(髪の毛1本の太さ程度の微細なひび割れを「ヘアークラック」と言います)

0.2mm以上のクラックがある場合は、不同沈下等により基礎が沈み、折れ曲げる力がかかっている等の問題が発生している可能性があります。ので、建物全体の傾きを測定する検証をした方がよいでしょう。

基礎のクラックは、放置すると雨水が基礎のコンクリート内部に浸み込み、鉄筋を腐食させる恐れがあるので、セメントや樹脂系の補修材で埋めるメンテナンスをする必要があります。ひび割れが大きい場合は、エポキシ樹脂の注入などの構造補強もあわせて検討が必要です。

基礎の側面に、白蟻が移動した跡(蟻道)がないかをチェックします。

蟻道が発見された場合は、専門業者に床下をメンテナンス調査してもらい白蟻の食害がないかを確認してもらいましょう。

基礎の換気口が植物などでふさがれて通気が阻害されていないかを確認します。

換気が働かず床下に湿気があると、木材が腐食し白蟻の被害も受けやすくなってしまいます。

戸建て住宅のメンテナンス部位②内部

【床・壁・天井の仕上材】

内装は日常的に目に入り、触れて確認できる部位ですので異常には気付きやすいでしょう。

木造戸建て住宅の場合は竣工しても数年は木材の乾燥収縮が進行しますので、壁や天井の取り合いに隙間が空いたり床鳴りがすることがあります。木造戸建て住宅の特徴であり欠陥ではありませんので、そこまでシビアになる必要はないでしょう。

注意しなければならないのは、雨漏りの兆候です。

天井や壁の上部に黒い染みが出たり、触ると湿気を感じる場合は速やかに建設業者に点検をしてもらいましょう。

【内部建具】

引き戸の締りが極端に悪くなっている場合は、左右の床の高さに変化が生じている可能性があります。

不同沈下などの兆候の場合もありますので、放置しないようにしましょう。

【階段】

床鳴りがする場合、階段の床材と下地材の間に隙間があったり、下地材に不具合があったりすることが原因となっています。放置しておくと床材に亀裂が生じたり、壊れたりすることがあるため、早急な修理や補修が必要です。

手すりがぐらつく場合は、手すり取り付け部の緩みや、腐食が考えられます。手すりのぐらつきは、住まいの安全性に関わることなので、おかしいなと感じたら早急に修繕しましょう。

戸建て住宅のメンテナンス部位③設備

【給排水】

あまり見ることの無いキッチンや洗面台の下キャビネット内ですが、漏水がないかを日常生活の中で時折チェックするようにしましょう。

【外部配管】

排水管には植物の根が入り込み、流れを悪くするケースがあります。

放置すると下水の詰まりや逆量を招きます。

【電気設備】

部品が破損し銅線が露出している状態など、漏電につながる原因を放置すると非常に危険です。定期的に点検するようにしましょう。

【給湯器】

腐食が進行している状態ですと、内部の電子基板の腐食も疑われます。冬場に突然故障し数週間お湯が使用できないということを避けるため、早めのメンテナンスを心掛けましょう。

まとめ

ここまで、戸建て住宅を長持ちさせるためのメンテナスのポイントについて解説してきました。

戸建て住宅の維持管理計画としっかりと立てて、適切な時期にメンテナンスを実施すれば、日本の戸建て住宅の寿命とされる30年をはるかに超えて戸建て住宅を長持ちさせることも可能です。

戸建て住宅のメンテナンスの中には、日常的にご自分でチェックできることも多くあります。今回ご紹介した内容を参考にしていただき、マイホームのメンテナンスにお役立てください。

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