ランドリールームの設計でよくある失敗6選!後悔しないための注意点を徹底解説
ランドリールームを注文住宅に採り入れたいと考えている場合、間取りや設備の選び方が失敗を避ける重要なポイントとなります。家族構成や家事の流れに合わせた設計で、日常の使い勝手が大きく変わるためです。この記事では、ランドリールームのメリット・デメリットだけでなく、6つのよくある失敗例を紹介し、後悔しないための対策や注意点を解説します。理想のランドリールームを実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
ランドリールームとは?失敗しないために知っておきたい基礎知識
ランドリールームは、洗濯にかかわる以下の作業を1か所で効率良く完結できる部屋です。
- 洗う
- 干す
- 取り込む
- 畳む
- しまう
家の中の移動を減らし、洗濯にかかる時間を短縮できます。しかし、ランドリールームの設計に失敗すると、動線が悪くなったり、換気不足で湿気がこもるなどの問題が生じるので注意が必要です。
ランドリールームのニーズが高まっている理由
共働き世帯の増加に伴い、日中は外に洗濯物を干せない家庭が増えています。室内干しの需要の高まりや家事効率を上げたいという要望が、ランドリールームが注目を集める理由の1つです。時間や心に余裕を持ちたいという理由からも、ランドリールームは人気があります。
さらに、外干しに対するリスクを懸念して、ランドリールームを検討する人も少なくありません。日本では、スギやヒノキ、ブタクサ、イネなどの花粉が一年を通じて飛散しています。春には黄砂やPM2.5による大気汚染が問題となり、1年を通して洗濯物を室内に干す家庭が増加傾向です。家族に花粉症の方がいる場合や、健康を守りたいという考えも、ランドリールームの需要拡大に影響しています。
注文住宅の設計ポイントについては、『間取りを自由に選べる注文住宅で後悔しないポイントと7つの具体例を徹底解説』をご覧ください。
ランドリールームとサンルームの違い
ランドリールームとサンルームは、洗濯に使われるスペースとして比較されるものの用途は大きく異なります。サンルームは、洗濯以外にも日向ぼっこや植物の栽培のように多目的に使えるのが特徴です。一方、ランドリールームは洗濯専用のスペースとして設計されており、家事を効率的にこなすために最適化されています。
家事の効率を重視するならランドリールームを、汎用性を求めるならサンルームを選ぶと良いでしょう。それぞれの特徴を理解し、ご自身のライフスタイルに合った選択をすることが大切です。
ランドリールームのメリット・デメリットと設置時の注意点
注文住宅にランドリールームを設置する際は、メリットとデメリットを理解しておくと失敗を防ぎやすくなります。家事を効率良く進めるためにも、以下のポイントを押さえておくのがおすすめです。
ランドリールームのメリット
注文住宅にランドリールームを設置する主なメリットは以下の通りです。ただし、メリットだけに注目して設計すると、使い勝手や動線に問題が生じる恐れもあります。失敗を避けるためには、しっかりとした計画と設計が重要です。
家事の効率が上がる
洗濯には多くの工程があり、すべてを終えるまでには時間がかかります。ランドリールームがあれば、洗濯から畳むまでの作業を1か所で完結できる点がメリットです。作業ごとに移動する手間が減り、家事にかかる負担が軽減されます。時間の節約にもなるため、家族との時間やリラックスタイムに充てられるのが魅力的です。
天候に関係なく洗濯できる
ランドリールームには洗濯物を干す専用スペースがあり、天候に左右されず、好きなタイミングで洗濯できます。急な雨や強風で洗濯物が濡れたり飛ばされたりする心配もなく、花粉やPM2.5、排気ガスが洗濯物につく心配もありません。さらに、夜間でも洗濯物を干せるため、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に家事をこなせるのもメリットです。
防犯になる
洗濯物を外に干すと、サイズや色から家族構成が推測されるという可能性があります。また、急な雨でも洗濯物をそのままにしておくと、周囲から不在だとわかってしまい空き巣に狙われるリスクが高まるのも課題です。昼間は留守にしがちで、お子さんが留守番をしているご家庭では、外から洗濯物が見えないランドリールームは防犯面でも役立ちます。
ランドリールームのデメリット
ランドリールームは便利なものの、設計や使い方に失敗してしまうと、次のようなデメリットが生じる可能性もあります。事前にデメリットを理解し、設置後の後悔を避けましょう。
一定のスペースが必要
ランドリールームは、一般的に3~4畳の広さが求められます。注文住宅の延べ床面積によっては、他の部屋が狭くなるというのがデメリットです。間取りを考える際は、ランドリールームを設けるだけの余裕があるか確認しましょう。生活に支障をきたさないサイズや配置を検討しないと、失敗の原因となります。
湿気対策が不可欠
ランドリールームは室内で洗濯物を干すため、湿気がこもりやすいというのが問題です。通気性が悪いと洗濯物が乾きにくく、カビの原因にもなります。そのため、除湿機や換気設備の設置、窓を設けるなどの対策が必要です。注文住宅の設計段階で解決できるデメリットですので、ハウスメーカーや工務店の担当者に相談しましょう。
将来的に使わなくなる可能性もある
お子さんがいると洗濯物が多く、ランドリールームは非常に役立ちます。しかし、成長して家を出ると、使用頻度が減ってしまうでしょう。ご家庭によっては、まったく使わなくなってしまうケースもあります。デッドスペースにならないように将来を見据えて検討し、他の活用方法も視野に入れておくのがおすすめです。
ランドリールームの設計でよくある失敗例6選と対策
注文住宅にランドリールームを設置したにもかかわらず、後悔してしまうケースは少なくありません。よくある失敗を事前に把握しておけば、適切に対処できます。ランドリールームの設計でありがちな失敗例6つと、対策方法を紹介しましょう。
動線の設計を失敗してしまった
1つ目のよくある失敗例は、干した洗濯物が邪魔になってしまう問題です。ランドリールーム内の動線を考慮せずに設計したことが原因で、出入り口や洗濯機の位置を考慮すれば防げます。たとえば、浴室や脱衣所とランドリールームが一体化している場合は、洗面台やお風呂を使用する際に洗濯物が邪魔にならないような間取りを考えましょう。
どうしても洗濯物の近くを通る必要がある場合は、大人の肩幅を目安に40~45センチメートル程度の通路を確保します。腕が洗濯物に触れる可能性はあるものの、顔がぶつかるようなストレスは避けられるためです。
湿気対策が不十分でカビや臭いが発生してしまった
2つ目の失敗例は、カビや部屋干し特有の嫌な臭いが発生する問題です。室内で洗濯物を干すと湿気がこもりやすいため、窓を開けて換気すると対策できます。しかし、日中は不在がちだったり、夜遅くに洗濯物を干したりするご家庭では難しいでしょう。窓を開放できない場合には、換気扇を設置するのがおすすめです。換気扇なら、天候や時間帯に関係なく換気ができ、防犯面でも安心です。
換気扇を選ぶ際は、洗濯物の量を基準にします。将来的に家族が増える可能性のある場合は、パワーのあるタイプを選んでおくと性能に困りません。
洗濯物が丸見えになってしまう
3つ目の失敗例は、洗濯物が人目に触れてしまう問題です。ランドリールームに洗面台を設置している場合、お客さんが手を洗う際に洗濯物を目にしてしまう恐れがあります。急な来客が多いご家庭では、日常的な室内干しがしにくくなる原因です。
最も手軽な対策として、洗面台と洗濯物を干すスペースの間に目隠しを設ける方法があります。ロールスクリーンなら簡単に上げ下げでき、入浴中の家族がいても気にせず洗面台を使えて便利です。とくに思春期のお子さんがいるご家庭では、目隠しの設置をおすすめします。
家事全体の効率が下がってしまった
4つ目の失敗例は、家事全体の効率が悪くなってしまう問題です。よく考えずにランドリールームを配置してしまうと、家事動線がスムーズにいかなくなります。たとえば、洗濯物を干した後に掃除機をかけたい場合でも、ランドリールームと掃除機の収納場所が離れていると無駄な動きが増えてしまいます。
家事動線の失敗を防ぐためには、洗濯の前後や同時に行う家事をリストアップするのがおすすめです。リストに基づいて配置を検討すれば、効率的に家事を進められる間取りとなります。ランドリールームは洗濯だけでなく、他の家事とのバランスを考慮することが重要です。
快適に家事ができずに使わなくなってしまった
4つ目の失敗例は、快適に家事ができない問題です。洗濯物を畳んだりアイロンをかけたりしていると、孤独を感じやすくなります。入居当初はランドリールームを活用していたものの、次第にリビングでテレビを見ながら洗濯物を畳むようになったというケースも少なくありません。解決策として、スマホやタブレットを置けるスペースやコンセントの設置があります。動画を見ながら作業できれば、リラックスできる空間としても活用できます。
また、エアコンがないと、夏は暑く、冬は寒い中での作業が負担となる原因です。「なくても良かった」と後悔しないためには、高気密・高断熱の注文住宅をおすすめします。外気温に影響を受けにくく、年間を通じて快適にランドリールームを使用可能です。
高気密・高断熱住宅について詳しく知りたい方は、『高気密高断熱住宅の基準とは?家を建てる前に知っておきたいポイントと省エネ住宅の将来』をご覧ください。
物干し金具の高さが調整できない
6つ目の失敗例は、物干し金具の高さが調整できずに使い勝手が悪くなる問題です。天井から吊り下げるタイプの物干しは、高すぎると干しにくくなり、低すぎると洗濯物が邪魔になります。そのため、高さを調節できるタイプの物干し金具を選ぶと便利です。
たとえば、川口技研の「ホスクリーン」は高さを数段階で調節でき、使わないときは取り外せます。パナソニックの「ホシ姫サマ」は竿を手元まで下げられ、重たい洗濯物をかけるのが簡単です。ご自身に合った物干し金具を選ぶと、ランドリールームの使い勝手がさらに向上します。「どれも同じ」と考えず、製品を比較した上で検討しましょう。
ランドリールームで失敗しない設計のポイント
ランドリールームのメリット・デメリットやよくある失敗例を踏まえた上で、失敗を防ぐためのポイントを紹介します。注文住宅の設計や間取りを決める際に参考にし、後悔しないランドリールームをつくりましょう。
間取りと動線を工夫する
ランドリールームの設置で失敗しないためには、間取りと動線の工夫が必要です。普段の生活を振り返り、洗濯以外の家事や家族の動きを時間帯ごとに書き出すとわかりやすくなります。たとえば、料理の合間に洗濯をするご家庭では、キッチンの近くにランドリールームがあると便利です。広さを確保するためには、洗面所とランドリールームを一緒にする方法もあります。
注文住宅の洗面所づくりについては『注文住宅の洗面所デザインと配置のポイントは?おしゃれで使いやすいを叶えよう』をお読みください。
ランドリールームに便利な設備をつける
ランドリールームに必要な設備は家庭によって異なるものの、以下の3つの設備があると便利です。
- 天井から吊るすタイプの物干しユニット:風通しの良い場所に設置すれば、洗濯物が乾きやすくなる
- 腰高の作業台:立った姿勢で洗濯物を畳んだり、アイロンをかけたりできるため、家事がスムーズに進む
- 収納スペース:ハンガーや洗濯ばさみ、洗濯ネットなどの小物を整理しながら収納できる
インテリアは好みのテイストに仕上げる
ランドリールームは、家事が楽しくなる空間に仕上げるのがおすすめです。洗濯は毎日のことなので、部屋に入るだけでテンションが上がるとやる気も出ます。リビングやダイニングのようにゲストが入る機会は多くないので、人目を気にせずにインテリアコーディネートを楽しみましょう。SNSや雑誌を参考に、お気に入りのアイデアをまとめてみるのもおすすめです。
まとめ
ランドリールームを注文住宅に設置すると、家事が楽になる、雨の日でも洗濯物が干せる、花粉がつかないなどのメリットがあります。しかし、間取りに失敗してしまうと、湿気でカビが生える、他の部屋が狭くなるというのが問題です。記事で紹介した失敗例を参考にし、快適で使いやすいランドリールームをつくりましょう。