IHクッキングヒーターとガスコンロを徹底比較!ライフスタイルに合ったキッチン選びに役立てよう
IHクッキングヒーターとガスコンロを比較して、注文住宅のキッチン選びに悩んでいませんか。それぞれの機器の特徴は異なるので、違いを理解した上で選ぶのが大切です。
本記事では、IHクッキングヒーターとガスコンロのメリットとデメリットを詳しく解説します。仕組みや特徴の比較、選び方のポイントも紹介しますので、家族構成や暮らしに合ったキッチンづくりの参考にしてください。
IHクッキングヒーターとガスコンロの違いとは?
オール電化の流行とともに、ガスコンロからIHクッキングヒーターへ変える家庭が増えています。メリット・デメリットについてお伝えする前に、2つの機器の特徴を知っておきましょう。
IHクッキングヒーターの仕組み
IHとは、Induction Heating(電磁誘導加熱)の略称です。磁力発生コイルから発せられる磁力線が鍋底を通過することで、うず電流が生じます。この電気抵抗によって鍋自体が発熱する仕組みであり、火を使わなくても調理が可能です。
(参考:Panasonic「電気をムダなく使うIH | おしえて!IH | IHクッキングヒーター」)
IHクッキングヒーターの種類
「ビルトインタイプ」と「据え置きタイプ」の2つのタイプがあり、注文住宅のシステムキッチンでは主にビルトインタイプが利用されています。ビルトインタイプのほうが多機能な商品は多く、幅は60cmか75cmが主流です。3つ口タイプが多く、1口あたりの最大火力はメーカーによって異なります。
IHクッキングヒーターのグリル
上下のヒーターで加熱するのが基本なものの、ヒーターの数は1つだけではありません。複数のヒーターを使って最適な火力を調整できるように工夫されているためです。グリル機能には、「水あり片面焼き」「水無し片面焼き」「水無し両面焼き」の3種類があります。「水無し両面焼き」タイプが人気の傾向で、グリルを気軽に使えるのが特徴です。
ガスコンロの仕組み
ガスコンロの点火プラグは、バーナーキャップの近くにある先端がとがった部品です。点火プラグから出る火花を使ってガスが着火する仕組みで、回転式のツマミとプッシュ式のボタンがあります。
ガスコンロの種類
「ビルトインタイプ」と「据え置きタイプ」の2つがあり、サイズは幅60cmか75cmの2種類です。注文住宅のシステムキッチンに合わせるなら、キッチンの天板にはめ込む「ビルトインタイプ」をおすすめします。ただし、ビルトインガスコンロは掃除が簡単なものの、取り外しはプロしかできないので注意が必要です。
ガスコンロのグリル
高温で調理できるのが特徴で、食材の旨みを閉じ込めてヘルシーに仕上げられます。肉や魚だけでなく、フライやお惣菜の温め直しにも使えて便利です。直火と対流熱を使って食材をジューシーに焼き上げ、ニオイ移りも心配ありません。水無し両面焼きグリルが主流のため、手間なく使用できます。
光熱費の違いを比較
ガスコンロの場合、「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類があります。プロパンガスは専用の容器に充填して配送されるため、都市ガスよりも使用量は高いのが特徴です。一方、IHクッキングヒーターの場合は、電気を使う時間帯によって電気料金が変化します。
4つのパターンを元に、IHクッキングヒーターとガスコンロの光熱費を比較します。1kWhあたりのランニングコストは次の通りです。
都市ガス | 15.34円 |
プロパンガス | 23.55円 |
電気(7~23時) | 31.39円 |
電気(23~7時) | 17.96円 |
(引用:ほかほかアカデミー(石油連盟)「1kWhあたりのエネルギー別単価比較!!」)
上記を参考にすると、ランニングコストが安い順に、ガスコンロ(都市ガス)>IH(夜間)>ガスコンロ(プロパンガス)>IH(昼間)となります。早朝や夜間に調理する場合は、都市ガスと電気代の差はあまり大きくありません。IHの光熱費は調理する時間帯、電気料金のプラン、オール電化の有無によっても変わります。太陽光発電を導入している場合は、電気代を気にせずに調理できるのがメリットです。
光熱費の差だけでは決定打にはならないので、コンロの種類はライフスタイルに合わせて選びましょう。
【関連記事】
光熱費の基本を学んで高騰に負けない対策を!節約ポイントと新築住宅の省エネ設備
IHクッキングヒーターのメリットとデメリット
IHクッキングヒーターは火を使わないのが特徴で、注文住宅のキッチンでも人気が高まっています。省エネや使い勝手の良さなどに焦点を当て、メリットとデメリットについて紹介しましょう。
IHクッキングヒーターのメリット
IHクッキングヒーターを注文住宅のキッチンに設置するメリットを5つ紹介します。
火を使わずに調理できる
IHクッキングヒーターは電磁誘導加熱を利用するため、火災や火傷のリスクがほとんどありません。周囲に燃え移ったり、袖口に火が移って火傷したりする心配がないため、お子さんや高齢の方でも安心して使えます。
掃除が簡単
IHクッキングヒーターは天板がフラットなので、掃除が簡単です。調理後の汚れも、サッと拭くだけでキレイになります。お手入れのストレスがないのは、キッチンを使う人にとって魅力的です。
キッチンが暑くなりにくい
IHクッキングヒーターは周囲に熱がほとんど逃げないため、キッチンが暑くなりにくい特徴もあります。夏場でもコンロ周りに熱がこもらず、快適に料理を楽しめるでしょう。
便利な機能が豊富
IHクッキングヒーターには便利な機能が豊富に搭載されています。温度設定を細かく調整できたり、吹きこぼれを防止できたりする機能が代表的です。ガスコンロと比較して、調理がより便利に行えるのがメリットです。
太陽光発電や蓄電池と組み合わせられる
IHクッキングヒーターは、太陽光発電や蓄電池と組み合わせて利用できます。太陽光発電を活用すれば、省エネ性能が上がり、電気代を節約可能です。
【関連記事】
太陽光発電の仕組みとは?導入前に知っておきたい基礎知識を初心者向けに解説
IHクッキングヒーターのデメリット
注文住宅のキッチンにIHクッキングヒーターを設置するデメリットは以下の通りです。
使えない調理器具もある
従来のアルミや銅、土鍋などの調理器具はIHクッキングヒーターでは使えない場合があります。ガスコンロからIHに取り替える際は、底面に金属をコーティングしたIH対応の器具かどうかを確認しましょう。使い慣れた鍋をそのまま使用したい場合は、オールメタル対応の製品を選ぶのがおすすめです。
停電時に使用できない
IHクッキングヒーターは電気を使用するため、停電中は動作しません。万が一に備えて、カセットコンロなどの代替手段の準備が必要です。ただし、太陽光発電や蓄電池を導入しておけば、停電時でも調理できる可能性もあります。オール電化住宅の場合は、とくに事前の対策が重要です。
慣れるまでに時間がかかる
IHクッキングヒーターは、慣れるまで時間がかかるかもしれません。火が見えないため初めは戸惑う可能性があるためです。最近では、赤いライトで火力を示す工夫がされた機種も増えてきています。チャーハンやパスタなどを作る際には鍋を振っても問題ない機能もあるため、ガスコンロに近い使い勝手が期待できるでしょう。
ガスコンロのメリットとデメリット
ガスコンロは昔から使用されているため、火力の調整や使いやすさに信頼があります。時代と共に進化しており、便利な機能も増加傾向です。新築住宅を建てるにあたって、メリットやデメリットについて考えてみましょう。
ガスコンロのメリット
ガスコンロを注文住宅のキッチンに設置するメリットを5つ紹介します。
直感的に火加減を調節できる
火の強さが見た目でわかるため、直感的に料理が行えます。また、フライパンや鍋をコンロから離した状態で大きく振る調理もできて便利です。
停電の影響を受けない
ガスコンロは乾電池で点火するため、停電中でも使用できます。災害や計画停電の際もお湯を沸かしたり、ご飯を炊いたりできて安心です。ただし、ガス供給が止まってしまった場合は、復旧まで使用できないので注意しましょう。
さまざまな素材の調理器具が使える
鉄やステンレス・ホーロー・アルミ・土鍋など、さまざまな素材の鍋やフライパンが使えます。お気に入りの鍋で料理を楽しみたい方や、新しい調理器具を買おうかためらう方にもガスコンロはおすすめです。
高火力の調理が可能
ガスコンロの最大のメリットは、高火力の調理が可能なところです。2口でも3口コンロでも強火の調理ができ、IHクッキングヒーターには難しいとされる部分もカバーできます。
ガス代は時間帯に関係なく同じ料金
電気代は時間帯によって料金が変わる一方、ガス代は昼夜関係なく同じ料金です。時間帯を気にせずに料理できるだけでなく、節約へのストレスが少ないという魅力もあります。
ガスコンロのデメリット
注文住宅のキッチンにガスコンロを設置するデメリットは以下の通りです。
火傷や火災の危険性がある
ガスコンロでは火を使うため、火傷や火災の危険性があります。一部の製品には安全装置がついているものの、お子さんや高齢者のいるご家庭では注意が必要です。安全性に配慮して使える環境かどうかを確認しましょう。
キッチンの温度が上がる
夏場にガスコンロを使用すると、キッチン全体に熱がこもってしまいます。キッチンの温度が上がるとエアコンの効きが悪くなるため、電気代が高くなる原因です。暑さに弱い方や省エネを意識する方には不向きな一面もあります。
掃除が大変
五徳は複雑な部分があるため、コンロの掃除に手間がかかります。放置してしまうと、油汚れや焦げを落とす時間もかかるでしょう。掃除が大変になるのをさけるためにも、定期的なお手入れが必要です。
注文住宅のキッチンに合わせる選び方のポイントとは?
注文住宅のシステムキッチンに取り付ける場合、IHクッキングヒーターとガスコンロどちらが適切かは家庭によって異なります。安全性、お手入れのしやすさ、使い勝手などの観点から、ご自身のニーズに合ったものを選びましょう。
IHクッキングヒーターとガスコンロの比較表
ここまでお伝えしてきたIHクッキングヒーターとガスコンロの比較を以下の表にまとめました。
調理機器 | IHクッキングヒーター | ガスコンロ |
光熱費 | 電気代(太陽光発電やオール電化と組み合わせるとお得) | ガス代(都市ガスだと料金は安いが、プロパンガスだと高い) |
安全性 | 高い | 低い |
お手入れ | 簡単 | 手間がかかる |
調理器具 | IH対応の調理器具のみ | 既存のものを使用可 |
高火力の調理 | やや不向き | 可 |
おすすめの人 | ・掃除の手間を省きたい ・子どもやペットに配慮して安全性を求める ・太陽光発電やオール電化住宅で光熱費を節約したい | ・直火で調理したい ・調理器具にこだわりがある ・停電時でも調理したい |
小さなお子さんのいるご家庭やオール電化を希望される方は、IHクッキングヒーターの設置が向いています。都市ガスが配給されている地域に家を建てる場合、ガスコンロのほうが光熱費は安くなるかもしれません。お住いになる予定の地域の状況や家族構成を考慮して、どちらを選択するか決めましょう。
耐久年数と交換方法を確認しておく
IHクッキングヒーターとガスコンロの寿命は10年が目安となっています。注文住宅を新築しても、一生使えるわけではありません。原則としてサイズが同じであれば、新しいコンロへの交換は比較的簡単にできます。メーカーや製品だけでなく、IHとガスの入れ替えも可能です。
ビルトインタイプの交換は、販売店や専門業者に依頼します。その際、製品の代金とは別に工事費も必要です。新築時にオール電化住宅にした場合、コンロだけをガスに交換するのは得策ではありません。できるだけ長い目で考えて、IHクッキングヒーターかガスコンロを選びましょう。
卓上コンロで試してみるのがおすすめ
IHクッキングヒーターとガスコンロのメリットとデメリットを見てきましたが、使ってみないとわからないこともあります。どちらがいいか迷っている方や予算に不安がある方は、卓上コンロで試してみるのがおすすめです。
IHもガスも卓上コンロがあるので、ダイニングテーブルでお鍋や焼き肉を楽しめます。保管場所に問題がなければ、災害時用に持っておくと安心です。
【関連記事】
キッチンの種類からメーカーの特徴まで徹底解説!注文住宅購入者向けガイド
まとめ
IHクッキングヒーターとガスコンロの違いとメリット・デメリットについて詳しく説明しました。IHクッキングヒーターは安全性やお手入れの簡単さがメリットです。さらに、太陽光発電やオール電化と相性がいい特徴もあります。ガスコンロは火加減の調整がわかりやすく、停電の影響を受けないのがメリットです。
IHクッキングヒーターとガスコンロのどちらを選ぶかは、ライフスタイルや地域によって異なります。不明な点は工務店や住宅会社の担当者に相談しながら、後悔のない選択をしましょう。