ハウスメーカーと工務店の違い徹底比較!家づくりのポイントを詳しく解説
ハウスメーカーと工務店の社員3名

家づくりコラム

ハウスメーカーと工務店の違い徹底比較!家づくりのポイントを詳しく解説

家を建てる際に、ハウスメーカーと工務店の違いがわからずに悩んでいませんか。漠然とした印象で選んでしまうと、入居後に後悔する可能性があります。この記事では、ハウスメーカーと工務店の特徴と違いを9つのポイントに絞って解説します。マイホームの依頼先をどちらにしようか迷っている方は、判断の参考にお役立てください。

ハウスメーカーとは?

ハウスメーカーの住宅展示場

ハウスメーカーは、全国に展開し、住宅の建設や販売を行っています。正式な定義はないものの、「全国規模で住宅を大量生産しているメーカー」を指すのが一般的です。高度経済成長期に工業化や大量生産のニーズに応える形で誕生し、品質を一定に保ちながら多くの住宅を供給できるメリットがあります。また、展示場を持ち、テレビCMなどを通じて認知度が高いというのも特徴です。従業員数は数千人におよび、年間に建てる住宅の数も数千棟に達します。

工務店とは?

工務店で話し合う建築士

工務店は、設計と施工の両方を請け負い、職人の手配や管理を行うのが特徴です。ハウスメーカーとは違い、特定の地域に密着して家づくりを担います。会社の規模や営業スタイルは多岐に渡り、社長と職人で構成される昔ながらの工務店もあれば、フランチャイズに加盟している工務店などさまざまです。従業員数は数人から100人以上と幅広く、建てる家の数も年間数棟から100棟以上となっています。工務店を選ぶ際には、会社の安定度やアフターメンテナンスの質など、多方面からの比較検討が必要です。

ハウスメーカーと工務店の比較ポイント9選

注文住宅のリビングダイニング

ハウスメーカーと工務店の違いを理解したら、ご自身がマイホームに求める項目の優先順位に従って検討を進めます。比較しながら決めていくと、入居後の後悔を減らせるのでおすすめです。

金額の違い

見積もり金額を比較すると、ハウスメーカーよりも工務店の方が安い傾向にあります。ハウスメーカーは広告宣伝費がかかるだけでなく、下請けに依頼することで中間マージンが上乗せされるためです。ただし、キッチンやお風呂、断熱材などを一括で大量に仕入れられるので、高品質な設備や建材を低コストで使用できます。

一方、工務店の金額が低めに抑えられる理由は、予算に合わせて費用をかけるポイントが選べるためです。たとえば、断熱性能にお金をかけたらキッチンは標準仕様にするなど、自分好みに調整できます。ハウスメーカーの家づくりは全般的に高品質で金額が高めなのに対し、工務店の家づくりは予算に応じたカスタマイズが可能です。

どちらにもメリット・デメリットがあるため、理想の間取りと予算のバランスを取りやすい方に依頼すると良いでしょう。

建物の品質

いくらデザインがおしゃれでも、家が傾いていたり、ドアや窓の開け閉めがスムーズにできなかったりしたら、住み心地は悪くなってしまいます。欠陥住宅に値するほど大きな問題がなくても、品質の低い家は避けたいものです。

建物の品質を考えると、ハウスメーカーはマニュアル化が進んでいて安定しています。材料は共通のものを使い、職人の腕に関わらず均一な仕上がりを実現できるためです。同様の取り組みをしている工務店もありますが、ハウスメーカーと比べると職人の質に差が生じやすい傾向もあります。

素人が職人の腕前を見分けるのは難しいため、決して品質を落としたくないという方はハウスメーカーへの依頼がおすすめです。

間取りの自由度

省エネ住宅の推進や大規模な地震の影響で、断熱性や耐震性を重視した家づくりが注目を集めています。ハウスメーカーでも断熱性や耐震性を高めるよう努力している一方で、間取りが制限されるというのが課題です。たとえば、断熱性能を高めるために大きな窓を使用しなかったり、耐震性を維持するために吹き抜けのサイズを抑えたりするケースがあります。

ところが、工務店であれば、お客様のニーズに合わせた間取り設定が可能です。マイホームに強いこだわりを持ちながらも、住宅性能も求めたいという希望も叶えられます。ただし、断熱性や耐震性には断熱等級や耐震等級という基準が設けられている点に注意が必要です。柔軟な間取りに対応してくれるだけでなく、住宅性能においても信頼がおけるかどうかを必ず事前に確認しましょう。

会社の安定度

マイホームの建築を依頼したハウスメーカーや工務店が倒産しても、法律上はアフターメンテナンスや保証を継続して受けられます。しかし、引き継ぎがスムーズに行われるとは限らず、不便が生じるリスクは高くなるので注意が必要です。なお、建築会社は、お客様から代金を受け取る前に材料代や業者への支払いを行うことが多く、資金繰りが厳しくなりがちとされています。

ハウスメーカーは企業価値が高く、他企業との資本提携などで倒産を回避しやすい傾向があります。しかし、工務店は経営が苦しくなった際に資本援助を受ける可能性が少ないため、ハウスメーカーと比べると倒産のリスクが高いでしょう。そのため、工務店を選ぶ際は、経営が安定しているかどうかの確認が重要です。年間で一定の棟数を建てており、継続して実績を残している工務店は、安定していると判断できます。

アフターメンテナンス

マイホームは30年以上住むことを前提に建てるため、完成後の不具合に対してのメンテナンスは不可欠です。ハウスメーカーではアフターメンテナンス専門の社員を配置している場合があり、依頼があった際に迅速に対応できます。

一方で、小規模の工務店では、建築担当者がアフターメンテナンスの初期対応を行うのが一般的です。そのため、新築工事が立て込んでいると、「修理を頼んだのに、なかなか来てくれない」といった事態になりかねません。ただし、中規模以上の工務店では、ハウスメーカーと同様にアフターメンテナンス担当者が配属されていることもあります。

ハウスメーカーや工務店を選ぶ際は、アフターメンテナンスの体制や内容について確認しておくと安心です。

断熱性と気密性

省エネ住宅が注目を集める中、断熱性と気密性は家づくりに欠かせない要素です。地球温暖化防止だけでなく、光熱費を安く抑えるのにも役立ちます。

多くのハウスメーカーは断熱性と気密性に優れた住宅を謳っていますが、各社の取り組み方には違いがあるので注意が必要です。国が定めた断熱等級を例に見ると、7段階のうち最高レベルの断熱等級7をクリアしているハウスメーカーもあれば、さらに低い等級の住宅を「断熱性のある家」と宣伝している場合もあります。

工務店でも最高レベルの断熱性や気密性を実現することが可能なため、ハウスメーカーの知名度だけで判断しないようにしましょう。たとえば、断熱性能については等級4(今後は等級5)以上が省エネ基準を満たしています。各社のホームページや担当者に確認し、数値で比較検討するのがおすすめです。

(参考:国土交通省「断熱性能ラベル項目の解説」)

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高気密高断熱住宅の基準とは?家を建てる前に知っておきたいポイントと省エネ住宅の将来

耐震性

地震の多い日本では、耐震性は家を建てる際に重要なチェックポイントです。断熱性と同じく、耐震性も国が定めた耐震等級を目安に確認できます。

耐震等級は1~3まであり、等級1は震度6強から7程度の地震でも倒れず、震度5強程度の地震でも損傷しない耐震性です。等級2は等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍の強さを持つ家となります。東日本大震災や熊本地震、能登地方の地震のように震度7クラスの地震が頻発していることを考えると、今後は等級3をクリアした家がおすすめです。

実際、ハウスメーカーの多くが耐震等級3の家を建てていますが、工務店によっては「耐震等級3相当」と曖昧な表現を使っているケースがあります。耐震性は住む人の命に関わる重要な要素なので、工務店選びの際は国の定めた基準で耐震性を確認しましょう。

(参考:国土交通省「耐震性能を等級で確認して、 安心の住まいづくり」)

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【2023年最新】耐震等級3が必要な理由とは?耐震等級の調べ方もあわせて紹介

保証期間

家は経年劣化によってメンテナンスが必要となるため、住宅会社にできるだけ長く保証してもらえると安心です。ハウスメーカーでは、10年ごとに有償メンテナンスを行い、最長30年の長期保証を提供しているところが多く見受けられます。工務店でも長期保証を提供しているケースが増えているものの、国で定められた瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)の10年のみという保証期間も少なくありません。

家の保証には、完成前に住宅会社が倒産した際に払ったお金を保証してくれる完成保証や、地盤やシロアリが原因で家が損傷した場合の保証などがあります。中でも、最も重要なのが建物本体の長期保証です。事前の打ち合わせでは、建物の保証期間を確かめた上で、その他の保証内容について検討することをおすすめします。

ハウスメーカーと工務店で迷った際の選び方

モデルハウスを案内される夫婦

ハウスメーカーと工務店の特徴を理解しても、どちらに依頼したらいいのか決めかねるケースもあります。どちらを選ぶのが正解というわけではなく、「どれだけ理想を叶えられるか」という観点で決めるのがおすすめです。

事前に確認しておきたいポイント

ハウスメーカーや工務店を選ぶ際には、「公式サイトの記載内容」と「口コミ」を事前にチェックすると客観的な判断が可能です。

公式サイトでわかること
・会社の理念や規模
・対応エリア
・過去の建築事例
・住宅プランと料金
口コミでわかること
・社員の対応
・公式サイトには掲載されないエピソード
・入居後の感想
・会社への信頼性

ただし、口コミについては利用者個人の感想となっているため、どのような傾向があるのか参考にする程度にしましょう。

ハウスメーカーがおすすめな人

工務店よりもハウスメーカーがおすすめな人の例として、以下の3つがあります。

信頼性や実績を重視する

安心感を持って家づくりをしたい人にとって、ハウスメーカーのブランド力や知名度は信頼できるポイントの1つです。受付から施工までのマニュアルが完備され、サービスの品質が保証されています。メーカーもブランドイメージを大切にするため、社員や職人の教育も行き届いている傾向があります。そのため、オペレーションが安定し、大きなトラブルが生じにくいでしょう。

アフターサポートを手厚く受けたい

ハウスメーカーの住宅は、アフターサービスが充実しているというのが特徴です。保証内容はメーカーによって異なるものの、以下のサポートは基本内容に含まれているケースが多く見受けられます。

入居後のトラブルに慌てたくない方にとって、アフターサービスの充実は安心材料です。なお、詳細については、事前にハウスメーカーに確認する必要があります。

短期間で効率的な家づくりをしたい

ハウスメーカーは工務店と比べて、効率的な家づくりが可能です。職人の数も多く、工事の流れもスムーズに進みやすいためです。転勤や進学など、環境の変わるタイミングでマイホームを建てたいご家庭にも向いています。安心して長く住み続けられる家を短期間で建てたいという方は、ハウスメーカーに依頼すると良いでしょう。

工務店がおすすめな人

ハウスメーカーよりも工務店がおすすめなのは、以下のような人です。

自由な設計の家づくりをしたい

工務店はハウスメーカーと異なり、用意されたプランに縛られる必要がありません。1から間取りを設計できるため、ライフスタイルや好みのデザインに合わせたオリジナリティの高い家に住めます。また、家族構成に応じて洗面台を並べたい、天然素材で健康に優しい家にしたいなどの要望も、工務店なら柔軟に対応可能です。

建築期間に余裕を持てる

工務店にマイホームの建築を依頼すると、場合によっては工期が長くかかる可能性もあります。デザインや素材にこだわりが強いほど長期に渡り、半年以上かかるケースも珍しくないほどです。賃貸住宅にお住いの場合、建築中も発生する家賃の支払いに注意しましょう。また、お子さんの学校の都合で期日までに転居したい方は、スケジュールを慎重に考える必要があります。

費用を抑えたい

マイホームの建築にはさまざまな費用がかかるため、予算内に収めることも重要です。工務店であれば、ハウスメーカーと同様の設計でも費用を安く抑えられます。ハウスメーカーには、1,000万円台で家が建てられるローコスト住宅もあります。しかし、断熱性や気密性を考えると、工務店を通して建てた方が安心です。

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まとめ

ハウスメーカーの家は高品質な装備や材料が使用され、安定した品質が確保されています。一方、工務店での家づくりは、価格を抑えやすく、間取りの自由度が高いというのが特徴です。それぞれの違いを理解した上で、どちらを選ぶかは「どのような家を建てたいか」という基準をもとに、優先順位をつけて比較検討しましょう。

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