戸建て住宅のメンテナンス費用とランニングコストを節約する方法!修繕費から税金まで抑えるコツ
戸建て住宅のメンテナンス費や維持費は、家を長く快適に保つために欠かせない重要な要素です。主な費用には、「修繕費」「税金」「保険」の3つがあり、事前に知っておくと計画的に家を管理できます。
この記事では、戸建て住宅にかかる具体的な費用やメンテナンスのタイミング、コストを減らす方法についてわかりやすく説明します。これからマイホームを購入する方や、出費を抑えたいと考えている方におすすめの内容です。
戸建て住宅の維持費とは?
新築の注文住宅を検討中の方は、戸建てのメンテナンス費用について理解しておく必要があります。修繕費、税金、保険といった必要経費の内訳や支払いのタイミングを把握しておくと、入居後の家計管理がスムーズに進むのでおすすめです。
メンテナンス費
戸建て住宅の維持費の中で、とくに多くを占めるのがメンテナンスにかかる費用です。修繕費とは、家の壊れた部分を直したり、不具合を改善したりして快適に住み続けるために必要な費用を指します。たとえば、外壁の塗直しや屋根の修理、古くなった設備の交換などが含まれます。新築の家では、住み始めてから10年目以降に大きな修繕が必要になるケースが一般的です。
税金
マイホームに課せられる税金には、固定資産税と都市計画税があります。どちらも、1月1日時点で土地や建物を所有している人が支払う税金です。ただし、固定資産税と都市計画税
には、次のような違いがあります。
固定資産税 | すべての土地や建物にかかる |
都市計画税 | 市街化区域(市街地として計画された場所)の土地や建物にだけかかる |
【関連記事】
固定資産税を節約したい!注文住宅で注意したい設備と材料10選を具体的に解説
保険
マイホームの保険は、主に火災保険と地震保険が該当します。最近は自然災害が増えているため、火災保険に地震保険をセットで契約する人が増加傾向です。保険料は、住宅を建てる土地や建物の作り、補償の内容によって異なります。
戸建て住宅のメンテナンス費用とタイミングを解説
住宅は築年数が経つと外壁や設備が劣化し、修理や交換が不可欠です。劣化の進み具合は環境や建材、ライフスタイルによって左右されます。メンテナンスを怠ると修理の必要な範囲が広がり、結果的に修繕費が増える原因です。余計な出費を防ぐためにも、戸建て住宅のメンテナンス時期と費用の目安を確認しておきましょう。
外壁材の種類とメンテナンス費用
戸建て住宅のメンテナンス費用に大きく関わる外壁材には、サイディングやモルタル、ガルバリウム鋼板など、さまざまな種類があります。それぞれの外壁材によって、必要なメンテナンスの内容や費用が異なるため、選ぶ際は長期的な費用を考慮することが大切です。以下に、主な外壁材とメンテナンス費用の目安を紹介します。
外壁材の種類 | メンテナンス内容 | 費用の目安(35坪の場合) | メンテナンスのサイクル |
サイディング | 塗装 | 80~150万円 | 10~20年ごと |
高耐久サイディング | 塗装 | 80~150万円 | 40年ごと |
タイル | 目地・シーリング補修 | 30~50万円 | 10年ごと |
モルタル | 塗装 | 80~150万円 | 10~20年ごと |
ガルバリウム鋼板 | 塗装 | 80~150万円 | 10~20年ごと |
マイホームに住む年数を40年と仮定した場合、トータルのメンテナンス費用には以下のような違いが生まれます。
外壁材の種類 | メンテナンスの推奨年数 | 40年間のトータル費用 |
サイディング | 10年 | 320~600万円 |
高耐久サイディング | 40年 | 80~150万円 |
タイル | 10年 | 120~200万円 |
モルタル | 10年 | 320~600万円 |
ガルバリウム鋼板 | 20年 | 160~300万円 |
外壁材を選ぶ際は、メンテナンス費用だけでなく、推奨メンテナンス年数を確認しましょう。ハウスメーカーや工務店に詳細を聞いて、トータルでどれくらいの費用がかかるかをしっかり把握しておくことが大切です。外壁材の選び方次第で、将来の維持費を大きく抑えられます。
【関連記事】
ガルバリウム鋼板の特徴とは?屋根に使うメリット・デメリットとメンテナンス方法を解説
屋根材ごとのメンテナンス費用
戸建て住宅の屋根材は、主に高耐久スレート・ガルバリウム鋼板・スレート瓦です。それぞれのメンテナンス費用の目安は以下の通りとなります。
屋根材の種類 | メンテナンス内容 | 費用の目安(35坪の場合) |
高耐久スレート | 塗装 | 30~60万円 |
ガルバリウム鋼板 | 塗装 | 30~60万円 |
スレート | 塗装 | 30~60万円 |
瓦 | ずれや割れ、漆喰や板金補修 | 10~20万円 |
屋根材ごとに、推奨されるメンテナンスの頻度は異なります。40年間でのトータル費用を見てみましょう。
屋根材の種類 | メンテナンスの推奨年数 | 40年間のトータル費用 |
高耐久スレート | 30年 | 30~60万円 |
ガルバリウム鋼板 | 20年 | 60~120万円 |
スレート | 10年 | 120~240万円 |
瓦 | 20年 | 40~80万円 |
瓦やタイルは耐用年数が長いものの、防水や小さな補修は短いスパンで必要です。屋根材を選ぶ際はメンテナンス費用や頻度を考え、40年先を見据えて計画することが大切です。
バルコニーのトップコート塗替え費用
バルコニーのメンテナンス費用は、床に塗られている「トップコート」という塗料の状態が大きく影響します。
トップコートとは?
バルコニーの床には、雨水が漏れないようにするための防水層(ウレタン塗料やFRP、塩ビシートなど)が施されているというのが特徴です。防水層を守るために塗られているのがトップコートで、紫外線や雨から保護する役割を果たします。防水層があることで、バルコニーの寿命を20年以上に延ばせる仕組みです。
トップコートの寿命と費用
トップコートは約10年ごとに塗り替えが必要で、1回の費用は10万円が目安となります。塗り替えのメンテナンスを怠ると、防水層が傷みやすくなるので注意しましょう。修理費用が20万~30万円以上かかることも多く、大きな出費につながります。バルコニーを長持ちさせるためにも、定期的な塗替えは不可欠です。
ガス給湯器とガスコンロの交換時期と費用
ガス給湯器やガスコンロなど、火を使う設備は熱の影響を受けやすい特徴があります。寿命が約10年程度と短い一方で、電気を使う設備の寿命は約15年です。それぞれの交換にかかる費用は以下の通りとなります。
工事内容 | 費用相場 |
ガスコンロへの交換 | 10~15万円 |
IHへの交換 | 10~18万円 |
ガスボイラーへの交換 | 20~35万円 |
エコキュートへの交換 | 40~50万円 |
ガスコンロとIHの交換費用はほぼ同じなものの、IHは火を使わず安全で省エネ効果が高いため、リフォームでIHを選ぶ人が増加傾向です。エコキュートの交換費用はガスボイラーより高いものの、省エネ性能が高く、ランニングコストが抑えられるというメリットがあります。
ガスと電気、どちらを選ぶ?
ガス設備は寿命が比較的短く、交換の時期は早く訪れる可能性が高いという点に注意が必要です。電気設備は省エネ性能が高く、長く使えるため、ランニングコストも抑えやすいという魅力があります。設備を選ぶ際は、寿命や初期費用だけでなく、長い目で見たときのコストも考慮しましょう。
防蟻処理のポイントと費用
防蟻処理とは、シロアリが家の床下や土台に侵入して木材を食べないようにするための処理です。床下や基礎のまわりに薬剤を散布して、シロアリの侵入を防ぎます。「鉄骨やコンクリートの家ならシロアリ被害はない」と考えるかもしれませんが、木材が床下に使われていると防蟻処理は必要です。実際、鉄骨の家でも防蟻処理が行われています。
現在使われている薬剤は人体への影響が少ない反面、効果の持続期間が10年程度です。そのため、10年ごとに再処理が必要で、費用の目安は35坪の家で1回あたり15~20万円となります。防蟻処理をしないでシロアリに木材を食べられると、大がかりな修理が必要です。メンテナンス費用よりも高額となる可能性があるため、10年ごとに防蟻処理を行と良いでしょう。
壁や天井のクロス(壁紙)のメンテナンス費用
壁や天井に貼られたクロスは、時間が経つと汚れや日焼けで傷んできます。張り替えのタイミングは、約20年が目安です。リビングやダイニングは、使用頻度が高いため汚れやすく、日焼けにも注意する必要があります。
クロスの張り替え費用は以下の通りです。
リビング・ダイニング | 約20万円 |
リビング・ダイニング・キッチン | 約25万円 |
玄関まわりの部分補修 | 数万円 |
子ども部屋や寝室は人目につかない部屋のため、汚れや傷があっても張り替えない人もいます。
張り替えの頻度に注意
インターネット上で「5~10年で張り替える」という情報を目にする機会があるものの、実際には必要ないケースがほとんどです。20年は使えるのが一般的なので、間違った情報に惑わされないようにしましょう。ただし、ペットを飼っていて壁紙がひどく傷んでいる場合は、早めに張り替えが必要な場合もあります。
戸建て住宅の固定資産税と都市計画税にかかる費用は?
戸建て住宅に住むとメンテナンス費用とは別に税金の支払いにも備えが必要です。マイホームの所有を検討中の方は、固定資産税と都市計画税費ついて理解しておく必要があります。それぞれの特徴と費用について見てみましょう。
固定資産税とは?
固定資産税は、1月1日の時点で土地や建物を持っている人が毎年払う税金です。日本全国で課税され、税額は「固定資産税評価額 × 1.4%」で計算されます。固定資産税評価額は、市町村が「固定資産評価基準」に基づき決定するものです。土地の場合は時価の約70%が目安とされ、建物は規模や築年数で変動します。
新築住宅にかかる固定資産税は、最初の3年間は税額が半分になる減額措置が令和8年3月31日まで適用されます。たとえば、新築住宅を2,000万円で購入し、固定資産税は年18.2万円だとしましょう。特例措置が適用される3年間は固定資産税が年9.1万円となるため、約27万円も減額されます。ただし、4年目以降は、本来の税額に戻るので注意が必要です。
(出典:国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」)
都市計画税とは?
都市計画税は固定資産税と同様に、1月1日時点で土地や建物を持っている人が払う税金となります。市街化区域内の土地や建物にかかるものの、課税の有無は自治体が決める仕組みです。そのため、市街化区域でも課税されない場合や、逆に市街化区域外でも課税される場合があります。戸建て住宅を建てる場所が対象になるかどうかは、自治体の課税課に確認しておくと安心です。
戸建て住宅に必要な保険と費用は?
戸建て住宅の維持費は、メンテナンス費用と税金だけではありません。住宅ローンを利用する場合、火災保険の加入が基本となります。そのため、保険料の支払いも視野に入れておきましょう。
火災保険と地震保険は家を守る保険
火災保険は、火災や風災、雪災などから家を守る保険です。地震保険は、地震や津波による損害を補償します。地震保険は火災保険とセットで契約し、単独では加入できない点に注意が必要です。補償対象は「建物」や「家財」で選択可能なものの、内容は保険会社によって異なります。
保険料は補償内容によって異なるだけでなく、建物の構造や地域、契約年数も影響します。火災保険は補償範囲が選べる一方、地震保険の補償内容は固定されているのが特徴です。ただし、地震に強い建物や耐震性能が高いと認められた住宅には、保険料が割引されるという制度があります。
保険料は簡単に試算できる
火災保険や地震保険の保険料は、保険会社のホームページで試算が可能です。たとえば、試算サイトを使い、兵庫県で木造戸建てを購入した場合の試算をしてみましょう。
検索条件
- 保険金額:建物2,000万円・家財1,500万円
- 契約期間:1年(年払い)
- 地震保険:あり
保険料は19,350円~47,050円と幅広い結果となりました。金額の違いは補償内容の差による部分が大きく、一概に安いからお得とは限りません。
※試算は、火災保険比較サイト「戸建ての火災保険の相場|火災保険料シミュレーション」に基づいています(2024年時点)
支払い方法と契約期間
保険料の支払い方法は、年払いや契約時の一括払いを選べます。契約期間は1年が基本で、どちらも5年が最長期間です。1年契約は、補償内容を見直しやすく支払い負担が軽い反面、総支払額が多くなり更新の手間がかかります。一方、長期契約は総支払額が抑えられ、更新の手間が少ないというのがメリットです。ただし、1回の支払い負担が大きく、補償内容を見直す機会が減るというデメリットがあります。
まとめ
戸建て住宅のメンテナンス費には、修繕費、税金、保険の3つが主に含まれます。修繕費では、外壁や屋根のメンテナンスが不可欠です。10年に1回を目安に行うものの、使用する材料によって費用が変わるので注意が必要です。また、固定資産税や都市計画税といった税金や保険料の支払いも住宅維持費の一部となります。これらの費用をあらかじめ理解し、無理なく家計を管理しましょう。