固定資産税を節約したい!注文住宅で注意したい設備と材料10選を具体的に解説
マイホームを建てると物件を手放すまで、固定資産税の支払いが続きます。金額は家の評価額によって決まるため、思わぬ金額が請求されないように注意が必要です。この記事では、固定資産税を高くする可能性がある要注意な設備を10個紹介し、節約のための具体的な対策ポイントについても解説します。固定資産税を抑えたい方や、無駄な支払いを避けたい方は最後までお読みください。
固定資産税について
固定資産税とは、毎年1月1日時点で家や土地などの不動産を所有している人が納める税金です。住宅の場合、評価額に1.4%を掛けた金額が基本的な請求額となります。
固定資産税の評価額の確認方法
家の評価額は、市区町村から発送される固定資産税の納税通知書の「家屋の価格」または「評価額」の欄で確認が可能です。たとえば、評価額が2000万円の家の場合、2000万円 × 1.4% で28万円が1年間の固定資産税額となります。
新築住宅の特例措置
令和8年3月31日まで、新築住宅にかかる固定資産税が3年間にわたり2分の1に減額される特例措置があります。認定長期優良住宅については、期間が5年間と長く、税金の支払い額をさらに節約できる仕組みです。
(出典:国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」)
固定資産税を安くする方法
固定資産税を安く抑えるには、税額の基準となる家の評価額を抑える方法があります。建物の構造や設備によって評価額が異なるため、家の設備を選ぶ際は注意が必要です。高評価の設備や装飾については慎重に検討し、無駄な支払いが生じないように工夫しましょう。
家の評価額を高くする10の要素とその影響
固定資産税を決める評価額は、国や自治体の基準に基づいて決定されます。どのような家が高評価を受けやすいのか、注文住宅で検討されることが多い設備や項目を10個例に挙げて解説しましょう。
家屋の構造
家の構造は大きく分けると、木造、軽量鉄骨造、鉄筋コンクリート造に分類されます。建物も経年劣化するため、固定資産税は年々下がるのが一般的です。しかし、鉄筋コンクリートは木造や軽量鉄骨に比べて丈夫であるため、評価額が下がりにくいという特徴があります。そのため、木造と軽量鉄骨造は評価点数に大差がないものの、鉄筋コンクリート造は高めの設定です。マイホームを鉄筋コンクリート造で検討する場合は、評価額について住宅会社に確認してみましょう。
なお、家屋の評価点数は材料の価格や工事費用などの建築費用を基に定められています。耐震性や耐久性といった家の性能を高めても、固定資産税が上がるわけではないので安心してください。
ホームエレベーター
3階建て住宅を検討している方や老後の生活を考慮して家を建てたい方にとって、注文住宅でも人気があり、階段での移動が難しい方には導入をおすすめします。しかし、ホームエレベーターは固定資産税の評価点数が高いというのが問題です。大まかに試算すると、年間で約25,000円の税金がかかる可能性もあります。
さらに、2人乗りタイプの本体価格は約300万円と高く、工事費を加えると初期費用は決して安くありません。入居後も定期的なメンテナンスや点検が必要で、専門業者に委託すると1度に約5万円の費用がかかります。ホームエレベーターの設置は、固定資産税だけでなく、初期費用や維持費についても慎重に検討しましょう。
浴室の広さ
一戸建て住宅の浴室には、ユニットバスを採用するケースが多く見受けられます。浴室の評価には広さが大きく影響し、具体的には以下の通りです。
ユニットバスの広さによる評価の変動
増点補正率 | 標準 | 減点補正率 |
1.25(1.5坪タイプ) | 1.0(1坪タイプ) | 0.9(0.75坪タイプ) |
1坪タイプの広さが基準となるため、1.25坪や1.5坪のゆったりサイズのユニットバスを設置する際は、固定資産税が上がると覚えておきましょう。
注文住宅ではユニットバスではなく、他の部屋と同様に浴室をつくる在来浴室にする場合もあります。在来浴室では、120cm×75cm×60cmの浴槽を基準とし、それより大きいと1.5倍、小さければ0.8倍の評価点数となります。さらに、施工の質が上がるほど加点されるため、檜風呂のようなこだわりの浴室を希望される方は注意が必要です。
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キッチンの仕様
一戸建て住宅ではシステムキッチンを導入するケースが多く、固定資産税の評価基準にも含まれています。間口サイズによって点数が異なり、具体的には以下の通りです。
システムキッチンの間口寸法による評価の変動
増点補正率 | 標準 | 減点補正率 |
1.15(300cm) | 1.0(255cm) | 0.8(180cm) |
評価倍率の差は比較的小さいため、ユニットバスほど金額に大きな差が生じないという点は安心材料です。また、システムキッチンのグレードに関しては、極端にハイクラスにしない限り評価への影響は少ないとされています。SNSやインターネット上では「キッチンの評価を抑えるためにステンレスにすると良い」という意見も見かけますが、これはシステムキッチンではなく、ステンレスの流し台を指しています。
固定資産税の節約は気になるテーマなだけに多数の主張があるものの、信ぴょう性に欠ける情報には注意が必要です。契約後に後悔しないためにも、必ず住宅会社の担当者に確認し、専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。
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給湯器
給湯器は家庭にお湯を提供するための設備で、熱源にはガスと電気の2種類があります。戸建てではガス給湯器が主流となっているものの、オール電化住宅の普及により電気式のエコキュートも人気です。エコキュートは省エネを意識し、深夜電力を利用して電気代を節約できる魅力があります。
評価点数としては電気式のほうが高くなるものの、差は金額にして100円程度です。光熱費の節約効果を考えると、エコキュートにかかる固定資産税は十分に回収できるでしょう。このように、固定資産税に大きな差が生じない場合は、光熱費を比較するのもおすすめです。
住宅購入後は、固定資産税だけでなく、毎月の光熱費や住宅ローンの返済も始まります。長期的な視野でそれぞれの出費を考慮し、総合的な判断が重要です。
【参考記事】
エコキュートとガス給湯器の比較と統一省エネラベル活用法 | 注文住宅の給湯システム選び
天窓
天窓は屋根に取り付けられた窓で、「トップライト」とも呼ばれます。採光性に優れており、北側の部屋や廊下のように暗くなりやすい場所を明るくできるため、人気の設備です。天窓には開閉式と固定式があり、評価点数は開閉式のほうが高くなっています。
開閉式の天窓は、壁面の窓に比べて風通しが良く、夏場には部屋の上部にたまった熱気を外に逃がしやすいというのがメリットです。一方で、天窓は屋根に穴を開けて設置するため、雨漏りのリスクが高まるという問題があります。開閉式の天窓は、窓枠の隙間を塞ぐパッキンの経年劣化の影響を受けやすいため、定期的な点検と早めのメンテナンスが欠かせません。そのため、固定式よりも手間と費用がかかるでしょう。
なお、断熱性に優れた住宅であれば、夏でも室温を涼しく保てるため、天窓は不要と考える人も増えています。住宅性能は日々進化しているため、時代に合わせて設備を選ぶことが重要です。
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外壁の種類
戸建て住宅の外壁材には多くの種類があり、中でもタイルは最も点数が高く設定されています。住宅の外装をタイルにすると高級感が演出できるだけでなく、耐久性が上がるというのもメリットです。タイル自体が丈夫な素材のため、ほかの外壁材と比べてメンテナンスの頻度は低く、維持費を抑えられるのも魅力です。
しかし、住宅の屋根として定番のサイディングと比べて固定資産税は約1.6倍とされています。30坪の家の外壁で固定資産税を比較してみると以下の通りです。
外壁材の種類 | 固定資産税 |
サイディング | 20,000円 |
タイル | 12,500円 |
1年間の差額は8,000円弱となるものの、10年、20年先を考えると大きな額となります。タイルの耐久性に魅力を感じているようであれば、サイディングの最新情報をチェックしてみるのもおすすめです。最近では、40年以上美しさが持続するものも登場し、タイルの耐久性に近づいています。
外壁タイルを検討する際はほかの外壁材とも十分比較し、固定資産税やメンテナンス費の節約が可能かどうかも検討しましょう。
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太陽光パネル
建築物省エネ法が改正され、2025年4月以降に着工するすべての住宅に省エネ基準適合が義務付けられます。太陽光パネルへの注目がますます高まり、注文住宅でも太陽光発電は人気のシステムです。
太陽光パネルには、屋根の上に載せるタイプと、屋根材として太陽光パネルを使用する屋根一体型タイプがあります。屋根の上に載せるタイプは家屋とは別の設備として扱われるため、固定資産税の対象にはなりません。一方、屋根一体型の太陽光パネルは、固定資産税の対象となります。ただし、屋根一体型タイプは下に屋根材がないため、将来的に塗装などのメンテナンスが不要というのがメリットです。
一体型の太陽光パネルの評価点数は非常に高く、屋根材として広く普及しているスレートの約1.74倍となります。固定資産税の節約にはつながらず、太陽光パネルの寿命が来た際の撤去方法についても考慮が必要です。そのため、注文住宅に太陽光発電を導入する際は、一体型よりも屋根にパネルを載せるタイプをおすすめします。
(出典:国土交通省「省エネ基準適合義務化」)
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床暖房
床暖房は、床下に電熱線や温水パイプを施工して床全体を温める暖房方法です。足元の冷えを解消できるため、一戸建て住宅で多く採用されています。床暖房は床と一体となっており、建物の一部としてみなされ、固定資産税の対象です。通常のフローリング材と比較して、評価点数は約2.5倍になります。さらに、床暖房の上に敷かれているフローリングも評価対象となるため、床材と床暖房の両方に税金がかかるという点に注意が必要です。
冬場の足元の冷えを解消するには、高気密・高断熱住宅を建てるという方法もあります。住宅の気密性や断熱性が向上すれば、室内が寒くなりにくく、隙間風による冷気も気になりません。注文住宅なら、お住まいの地域の気候に合わせた省エネ住宅を建てられるので、地元に詳しい地域密着型の工務店に相談することをおすすめします。
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家の広さ
家の評価額は設備だけでなく、広さも重要なポイントとなります。外壁や屋根材のように、多くの項目で面積と評価点数を掛け合わせて計算していくためです。設備のほとんどを標準仕様にしても、大きな家を建てれば固定資産税は高くなります。
また、家が広いと光熱費やメンテナンス費用がかさみ、家計に負担をかけるのが課題です。お子さんの教育費や老後の生活費を考えて、あえてミニマムな暮らしを選ぶ人も増えています。
固定資産税は設備のグレードは反映されないことが多いので、コンパクトながらもハイクラスな注文住宅もおすすめの選択肢です。マイホームは長年生活を送る場になるため、適度な節約を心がけて計画しましょう。
(参考:総務省「固定資産税の概要」)
固定資産税を節約するための具体的なアドバイス
固定資産税を節約するためには、家の評価額を抑える方法が最も効果的です。家づくりの際は、以下のポイントに注意して設備や材料を選びましょう。また、税金の支払い方法にも工夫が必要です。
材料選び
家屋の評価額は、使用する材料によって大きく変わります。外壁や屋根材は種類が豊富な反面、場合によっては税額が倍近く異なるケースもあるほどです。強いこだわりのない部分に関しては、評価点数の低さを基準に選ぶと固定資産税の節約につながります。注文住宅は自由度が高いため、メリハリをつけた設計も重要です。
設備の選定
設備選びも固定資産税の節約に役立つため、本当に必要かどうかの判断が求められます。たとえば、ホームエレベーターや床暖房は便利なものの、なくても生活できる設備です。評価点数の高さに見合った需要があるのか、住宅性能を向上させると解消できる問題ではないのかを意識しましょう。ただし、省エネ性能が高い設備は、長期的に家計を助けてくれる可能性があります。
支払い方法を工夫
固定資産税はクレジットカードでも支払え、ポイント還元で間接的に節約可能です。年会費無料のクレジットカードの場合、ポイント還元率は1%程度に設定されています。たとえば、年間20万円の固定資産税をクレジットカードで支払うと、2,000円分のポイントがたまる仕組みです。固定資産税は不動産を所有する限り支払うため、長期的にはかなりのポイントを獲得できます。
まとめ
住宅の固定資産税は使用される材料や設備に基づいて評価され、点数によって税額が決まる仕組みです。注文住宅では、評価額を意識して家づくりを行うと、毎年の支払いを節約できます。ハウスメーカーや工務店の担当者に相談しながら、満足度の高いマイホームを目指して賢い選択をしましょう。