予算2,000万円で注文住宅を建てる!間取りの設計方法を徹底解説
予算2,000万円で注文住宅を建てる!間取りの設計方法を徹底解説

家づくりコラム

予算2,000万円で注文住宅を建てる!間取りの設計方法を徹底解説

予算2,000万円で注文住宅を建てる!間取りの設計方法を徹底解説

全国の注文住宅の相場は、2021年の住宅金融支援機構の調査によると3,572万円。2014年以降、8年連続で上昇しているとのこと。
今後、世界的な木材の供給不足によって、ますます注文住宅の相場が高くなる見込みです。
ですが、このような状況であっても、できるだけ安い予算で家を建てたいと願うものです。

そこで今回の記事では、相場よりも低い予算2,000万円と想定した場合に、どのような間取りなら家が建てられるのか、またどのように建築費用を抑えればマイホーム建築が叶うのか紹介していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の注文住宅設計の参考にしてください。

参照:住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」
https://www.jhf.go.jp/files/400361622.pdf

注文住宅とは?

最初に分譲住宅と注文住宅の違いについて解説します。

分譲住宅と注文住宅の違い

分譲住宅はハウスメーカーやビルダー、不動産デベロッパーが自社で仕入れた土地に住宅を建て、完成品として売りに出す住宅のことを言います。
それに対して、注文住宅は施主が自分の希望に合った土地を購入して、その土地に自分たちの希望に沿った住宅を建築する住宅のことを言います。
注文住宅の建設にあたっては、ハウスメーカーや工務店へ依頼することになります。

注文住宅を建てるメリット

注文住宅を建てるメリットとしては、下記のことが挙げられます。

このように注文住宅には施主が建設の細かいプロセスに積極的に関われるというメリットがあります。

2,000万円で建てる注文住宅の間取りの考え方

2,000万円で注文住宅を建てるためには、家族が生活するのに必要十分な間取りを確保するために、余分なスペースをなくすことが重要です。
そのための間取りの考え方を解説します。

世帯人数から間取りを考える

新築一戸建てにおける世帯人数別の坪数を、国土交通省の資料を参考に計算してみました。
日本における戸建て住宅面積の「誘導居住面積水準」は下記の計算式で表されます。
「25 ㎡×世帯人数+25 ㎡」
※誘導居住面積水準…世帯人数に応じて豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積です。

世帯人数が3人、4人、5人とした場合、上記の計算式に当てはめるとそれぞれの誘導居住面積水準は以下のようになります。

3人世帯…100㎡(約30坪)
4人世帯…125㎡(約38坪)
5人世帯…150㎡(約45坪)

核家族の居住を前提とすると、戸建て注文住宅の必要坪数の目安は30~45坪であることが分かります。

参考:国土交通省「住生活基本計画」 別紙3 誘導居住面積水準
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000032.html

2,000万円を実現するための坪単価と建物の大きさを考える

注文住宅の建設費は下記の計算式で求められます。
「建物坪単価×建物坪数=建設費」
2,000万円で注文住宅の建設を目標とするため、坪単価から建物の大きさを逆算してみます。

坪単価50万円の場合…2,000÷50=40坪
坪単価60万円の場合…2,000÷60=約33坪
坪単価70万円の場合…2,000÷70=約28坪

2,000万円の予算で注文住宅を建てるためは、この3パターンの組み合わせが基本となるでしょう。

家族構成から間取りを考える

家族構成から間取りを考える

参考に両親+子供2人の4人家族の場合の所要室と必要面積を検討します。
個室としては、夫婦寝室と子供室が必要となるでしょう。
夫婦寝室にベッド2つを置く場合は、少なくとも8畳は必要です。

子供が小さいうちは両親の寝室で一緒に寝ることになりますので、最初から子供用の個室を用意する必要はありません。
ですが、10~12畳程度の広さの部屋を用意しておき、将来的に間仕切りを設置して2部屋にするのもよいでしょう。

キッチンは5畳、リビングダイニングは14~20畳あれば4人でゆったりと過ごせます。来客対応もできるように、リビングダイニングは余裕がある広さにしておきたいものです。
水回りはトイレ、洗面脱衣室、浴室が必須です。室内物干し場を設けると夜間や雨の日でも洗濯物を干せるので、家事によるストレスが大きく軽減できるのでオススメです。

部屋の広さだけではなく、収納スペースも大事です。各個室に1畳程度の押入れを設け、かつ共用の納戸を2畳以上確保するとシーズンオフの衣類などを収納できて便利です。

2,000万円で注文住宅を建てるためのポイント

2,000万円で注文住宅を建てるためのポイントを、坪単価と坪数の両面から解説します。

坪単価をおさえるポイント

地盤の強い敷地を選ぶ

新築一戸建ての場合は、土地の地盤の状況によって建設費が大きく変化します。
建物の沈下対策や地盤の液状化対策として、基礎の下の地盤を固く補強するための地盤改良工事が必要になると、場合によっては100万円を超える費用が発生します。
周辺の施工実績から、地盤改良工事の必要性をある程度は判断できるはずですので、新規に土地を購入する場合は不動産会社あるいは建物工事を依頼予定のハウスメーカーや工務店へ確認するようにしましょう。

総二階の箱型の家にする

建物は凹凸が少ないシンプルな箱型の形状であるほど建設コストは下がります。
コストをおさえるために、できる限り一階と二階の平面形状が同じ総二階の間取りとなるようにしましょう。
総二階にすることによって、屋根の面積が減るためさらなるコストダウン効果も得られます。

また、内部の間仕切り位置もできるだけ一階と二階でそろえるようにしましょう。
間仕切り位置がそろっていると、上部の重さが壁や柱を介して素直に下部へ伝えられますので、建物の構造梁に掛かる負担が減り、結果的にコストがおさえられます。

水回りは一ヵ所にまとめる

キッチンやトイレ、浴室などの水回りは距離をできるだけ近づけて配置しましょう。1階と2階に分かれる場合なら、上下で位置が重なるように配置します。
設備には給排水や電気などの配管や配線の接続が必要です。この距離が長くなればなるほど、設備工事費用が増えてしまうので、水回りの設備の距離を近づけることで建築コストをおさえられます。

仕上げ材はベーシックなものを選ぶ

外装、内装は長期間飽きずに使用できるシンプルな仕上げ材を選びましょう。
外壁であれば「窯業系サイディング」や「ガルバリウム鋼板」、内装であれば「合板フローリング」や「ビニールクロス」がおすすめです。

トレンドのデザインや素材を前面に出した仕上げ材は魅力的ですが、単価が高くなりがちです。また、将来的にメンテナスが発生したときに同等品や類似品が無いため、部分補修で済まずに全交換になったりするなど、維持管理コストも高くつくことがあります。
ベーシックな仕上げ材であれば、プロの手を借りずにDIYで自分好みに仕上げることも可能ですので、当初の建築費をおさえることにもつながります。

坪数をおさえるポイント

坪数をおさえるポイント

廊下を無くす

住宅内での廊下は移動のための通路でしかなくコストアップの要因になるため、ローコストの注文住宅を目指す場合は、できる限り減らすことがセオリーです。
玄関を上がってすぐにリビングに入り、そこから水回り、各個室、二階への階段へとつながる間取りにすると廊下を省略できて坪数の削減になります。

平屋建てにする

土地の広さに余裕がある場合は、平屋建てとするのがベターです。
平屋にすると二階を利用するための階段や廊下を省けるので、同じ坪数でもリビングダイニングや個室を広げたり、収納スペースを増やしたりできます。
階段が無いことはバリアフリー設計がしやすく、高齢介護対応住宅とすることも容易です。
また、二階が無いぶん建物を支える構造の負担が減るため、建物躯体の材料費が軽減されコストが下がることもメリットと言えます。

【坪数別】2,000万円の注文住宅の間取り

注文住宅を2,000万円の予算で建てるためには、想定する建物延べ坪数に応じて坪単価を調整する必要があります。
ここでは夫婦2人と子供2人の4人家族を想定して、坪数別の間取りの考え方について説明しますので、ぜひ参考になさってください。

30坪未満の注文住宅

30坪未満で建てる場合は坪単価を70万円まで想定できます。
ただし、30坪未満は狭小住宅の部類になるので、間取りに工夫が必要です。
ポイントとしては子供室の広さを4.5畳とすること。収納が確保できていれば、4.5畳でもシングルベッドと学習机を配置するのに十分な広さがあります。
また平屋にすることもおすすめです。不要になる階段や廊下の空間をリビングや個室の広さに回すことができるので、必要十分な広さを確保した間取りが実現できます。

【28坪:総二階の場合】

エリア部屋名畳数坪数
共用部玄関2.001.003.31
廊下4.002.006.62
階段4.002.006.62
リビングダイニング14.007.0023.19
水回り1Fトイレ1.000.501.66
2Fトイレ1.000.501.66
洗面脱衣室2.001.003.31
物干し場000
浴室2.001.003.31
キッチン5.002.508.28
個室個室①8.004.0013.25
個室②4.502.257.45
個室③4.502.257.45
収納押入れ2.001.003.31
納戸2.001.003.31
合計56.0028.0092.75
坪単価(万円)坪数建物金額(万円)
7028.001,960

【28坪:平屋の場合】

エリア部屋名畳数坪数
共用部玄関2.001.003.31
廊下4.001.504.97
階段000
リビングダイニング16.008.0026.50
水回り1Fトイレ1.000.501.66
2Fトイレ000
洗面脱衣室2.001.003.31
物干し場2.001.003.31
浴室2.001.003.31
キッチン5.002.508.28
個室個室①8.004.0013.25
個室②5.002.508.28
個室③5.002.508.28
押入れ3.001.504.97
納戸2.001.003.31
合計56.0028.0092.75
坪単価(万円)坪数建物金額(万円)
7028.001,960

30~35坪の注文住宅

戸建ての注文住宅ではもっともベーシックな坪数で、坪単価の目安は60万円です。
総二階と平屋の間取りパターンを下記に挙げます。
(33坪:総二階の場合)

エリア部屋名畳数坪数
共用部玄関2.001.003.31
廊下6.003.009.94
階段4.002.006.62
リビングダイニング16.008.0026.50
水回り1Fトイレ1.000.501.66
2Fトイレ1.000.501.66
洗面脱衣室2.001.003.31
物干し場2.001.003.31
浴室2.001.003.31
キッチン5.002.508.28
個室個室①8.004.0013.25
個室②6.003.009.94
個室③6.003.009.94
押入れ3.001.504.97
納戸2.001.003.31
合計66.0033.00109.31
坪単価(万円)坪数建物金額(万円)
6033.001,980

(33坪:平屋の場合)

エリア部屋名畳数坪数
共用部玄関2.001.003.31
廊下4.002.006.62
階段000
リビングダイニング18.009.0029.81
水回り1Fトイレ1.250.632.07
2Fトイレ000
洗面脱衣室2.251.133.73
物干し場2.001.003.31
浴室2.501.254.14
キッチン5.002.508.28
個室個室①10.005.0016.56
個室②6.003.009.94
個室③6.003.009.94
押入れ3.001.504.97
納戸4.002.006.62
合計66.0033.00109.31
坪単価(万円)坪数建物金額(万円)
6033.001,980

35~40坪の注文住宅

35~40坪で建てる場合は坪単価を50万円程度に抑える必要があるため、2,000万円の予算での注文住宅としては限界に近い広さになります。
平屋にするには相当な敷地の広さが必要なので、ここでは総二階の場合の間取りについてのみ検討します。
リビングダイニングや水回りなどの共用部がゆったりと取れて、個室の広さにも余裕がある間取りです。
(40坪:総二階の場合)

エリア部屋名畳数坪数
共用部玄関3.501.755.80
廊下8.004.0013.25
階段4.002.006.62
リビングダイニング20.0010.0033.12
水回り1Fトイレ1.000.501.66
2Fトイレ1.000.501.66
洗面脱衣室2.001.003.31
物干し場3.001.504.97
浴室2.501.254.14
キッチン6.003.009.94
個室個室①10.005.0016.56
個室②6.003.009.94
個室③6.003.009.94
押入れ3.001.504.97
納戸4.002.006.62
合計80.0040.00132.50
坪単価(万円)坪数建物金額(万円)
5040.002,000

まとめ

今回は、予算2,000万円で注文住宅を建てるコツと、その間取りの設計方法を解説しました。
2,000万円で注文住宅を建てるために必要なポイントとして、坪単価と坪数をおさえるポイントをご紹介しました。

【坪単価をおさえるポイント】

【坪数をおさえるポイント】

また、あわせて坪数ごとの2,000万円の注文住宅の間取りの設計方法についてもご覧いただきました。

今回ご紹介したポイントや設計方法を参考に、ぜひご自身の理想のマイホーム作りにお役立てください。
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