注文住宅の土地選びで後悔しない!コスパと住みやすさを両立する7つのポイントを解説
注文住宅を建てる際に最も重要なのが「土地選び」です。土地選びを誤ると、理想の家が建てられなかったり、想定外の追加費用が発生したりすることもあります。
今回の記事では、注文住宅の土地選びで後悔しないための7つの条件をくわしく解説します。価格だけでなく、住みやすさや維持費とのバランスも考えながら、最適な土地を選びましょう。
注文住宅の土地選びで失敗しないために重視すべき2つの視点
コスパの良い土地かどうかを判断するためには、初期費用と維持費のバランスを考えることが重要です。
- 初期費用(イニシャルコスト):土地代、登記費用、地盤改良費など
- 維持費(ランニングコスト):固定資産税、水道整備費、メンテナンス費など
注文住宅を建てる土地が安く買えても、維持費が高くなると結果的に負担が増える場合もあります。「土地代+維持費」の総額を意識したうえで、コスパの良い土地を選びましょう。注文住宅に最適な土地を見極めるためのポイントを、次でくわしく解説します。
注文住宅の土地選びは「形が整った土地を選ぶ」ことが重要
注文住宅を建てる土地は、できるだけ四角に近い形をおすすめします。土地の形状は注文住宅の間取りに大きく影響するだけでなく、余計な工事費や税金を払わずに済むためです。
不整形地のデメリット
三角形やL字型、台形のような形をした不整形地は、家を建てるのが難しくなります。たとえば、物置や駐車場が作れないというのがよくある問題です。何にも利用できない部分をそのままにしておくと雑草が生えてしまうため、コンクリートや砂利を敷いて対処します。下地を均して水たまりを防ぎ、雑草が生えないように防草シートを敷く作業が必要となり、家づくりの費用が膨らむ原因です。
使えない部分にも税金がかかる
さらに、不整形地の一番の問題は固定資産税です。
- 家を建てられない部分にも税金がかかる
- 土地の評価が高い地域では、長期間で見ると納税の負担が大きくなる
一見、土地の価格が安いように見えても、税金や追加工事費がかかるため、長い目で見るとお得ではない可能性があります。
四角形の土地のメリット
注文住宅を建てるために四角に近い形の土地を選ぶと、次のようなメリットがあります。
- 敷地を無駄なく使えて、家を建てやすい
- 余計な工事費がかからない
- 税金やメンテナンスの費用を抑えられる
土地を選ぶときは、できるだけ形が整ったものを選び、余計な出費を抑えましょう。
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注文住宅の土地選びで後悔しないためには「水道が引き込み済みの土地」を選ぶ
家の水道に水を通すためには、道路の水道管から敷地内に引き込む必要があります。土地を購入した時点で水道が引き込まれていないと、ご自身で工事をして水道を通さなければなりません。
水道が未整備の土地のリスク
新築の水道管工事の費用は、給水管引き込み工事で約30万円~50万円、屋内配管工事で約10万円~20万円が相場です。水道管が近くにあれば30万〜50万円ほどですが、水道本管から敷地内までの距離が長いほど費用が高くなります。1m引き込むのに約1万5,000円程度が目安とされ、場合によっては100万円以上かかるので注意が必要です。
水道が近くても油断できない!
水道引き込み工事の詳細は素人にはわかりにくく、土地を見ただけで工事費を計算することは難しいでしょう。たとえば、隣に家が建っている売地を見つけ、水道管が目の前にあると思ったものの、実際は100mも離れた道路から水道を引いていたという事例があります。この方は見積もりの結果、200万以上かかるとわかり土地購入は諦めたそうです。
土地を買う前に水道の状況を確認しよう
また、水道管が近くにあっても、道路のアスファルトが頑丈だと工事費は高くなります。さらに、水道管がすでに引き込まれていても、老朽化していたり口径が小さかったりすると、新しく引き直しが必要です。水道工事が不可欠な土地や築年数の古い土地を検討する場合は、ハウスメーカーや工務店に相談し、費用をしっかり確認してから購入を決めましょう。
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注文住宅の土地選びで成功するためには「整地済みの土地」を選ぶ
整地済みの土地とは、地面が平らに固められていて、そのままの状態で家を建てられる土地です。分譲地は最初から整地されて売りに出されることが多く、余計な工事費がかからず、お得な土地とされています。
整地されていない土地のデメリット
注文住宅の土地探しで注意したいのは、田んぼや畑のような土地は整地に多くの費用がかかる点です。これらの土地は地盤が柔らかく、そのままでは建物が沈むため、砕石や土を大量に入れて地盤を固める必要があります。土が崩れないようにコンクリートの擁壁を作る費用だけでなく、水道や排水管の新設が必要になることも考慮しなければなりません。追加工事が増えると、当初の予算を大幅に超えてしまう可能性が高いため、事前の確認が重要です。
田畑をもらって家を建てるのは本当にお得?
注文住宅を建てるにあたって、「身内が持っている田んぼや畑なら、土地代がかからないからお得」と考える方もいるでしょう。しかし、整地や水道工事にかかる費用が高額になることもあり、それなりの金額が必要となります。土地の価格が安い地域では、最初から整地済みの土地を買うのと費用があまり変わらないケースもあるほどです。
整地済みの土地のメリット
マイホームの土地として分譲地がコスパに優れている理由はいくつかあります。とくに、多くの分譲地では以下の問題が解決されているという点が大きな魅力です。
- 整地済み
- 水道が引かれている
- 排水設備も整っている
土地の購入後に追加工事がほとんど必要なく、余計な出費を抑えられるのが魅力です。
注文住宅の土地選びで維持費を抑えるためには「下水道供用区域内の土地」を選ぶ
下水道とは、家の生活排水や汚水を道路の下にある下水管に流し、下水処理場できれいにする仕組みです。下水道が整備された地域の土地なら、汚水処理のための設備(浄化槽)の工事費や維持管理費がかかりません。
下水道が未整備の土地のリスク
下水道がない地域では、各家庭で浄化槽を設置し、汚水をためてバクテリアで浄化してから排水する必要があります。この場合、以下のような費用が発生します。
- 設置工事費:単世帯向けで70~80万円、二世帯住宅では100万円以上になることもある
- 維持管理費:定期的な清掃や点検が必要で、年間10万円以上かかる場合がある
つまり、浄化槽が必要な土地は、初期費用も維持費も高くなる可能性があるという点に注意が必要です。
下水道ならコスパが良い理由
下水道を使う場合も最初に「負担金」がかかり、毎月の使用料が発生します。しかし、負担金は浄化槽の工事費より安いケースが多く、一度支払えばそれで終わる自治体が多いというのがポイントです。すでに負担金が支払われている土地を購入すれば、毎月の使用料だけで済むので、長期的に見てコストを抑えられます。
下水道が整備された土地のメリット
下水道が整備されている地域は、住宅地や市街地に多いのが特徴です。土地の価格はやや高めなものの、次のようなメリットがあります。
- 汚水処理の手間がかからない
- 周囲の環境が整っていて住みやすい
- 住宅地として開発されていることが多く、便利な立地が多い
土地を探す際は、希望エリアに下水道が整備されているかを確認し、トータルコストや生活環境を考慮して選ぶのがおすすめです。
注文住宅の土地選びでコストを抑えるためには「広すぎない土地」を選ぶ
理想的な間取りを確保するためにも、「できるだけ広い土地を買いたい」と考える人は多いでしょう。広い土地があれば、ゆとりのある生活ができそうに思えます。しかし、広い土地は家を建てるときに余計な費用がかかりやすいため、コスパを重視するなら注意が必要です。
広い土地のデメリット
たとえば、道路から遠い土地に家を建てると、以下の理由で給排水管の工事費が高くなります。
- 水道や排水の配管を長く伸ばす必要がある
- 配管の距離が長くなると、工事費が高くなる
排水が自然に流れるように「排水勾配」と呼ばれる傾斜をつけるため、場合によっては電動ポンプをつけなくてはなりません。 ポンプを設置すると設備費や電気代がかかるので、敷地の広さによってはコストパフォーマンスが悪くなってしまいます。
外構工事の費用も増える
広い土地では、家の周りを整える外構工事の費用も増えやすいというのが課題です。アプローチ(玄関までの道)が長くなると工事費が増え、塀やフェンスが長くなると材料費や施工費もかかります。建物だけでなく、家周りの工事についても考えてコスパの良し悪しを判断しましょう。
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事前に住宅会社に相談するのがおすすめ
広い土地に家を建てると、ゆったりとした暮らしができるという魅力があります。「多少費用がかかっても、広い土地に住みたい」と考えるなら問題ありません。しかし、不動産会社は建築の専門家ではないため、広い土地に家を建てたときの具体的な工事費用まではアドバイスできない可能性があります。コスパを重視するなら購入前に住宅会社に相談し、工事費用の見積もりを見てから判断するのがおすすめです。
注文住宅の土地選びで「建築条件付きの土地」は慎重に選ぶ
建築条件付きの土地とは、指定の建築会社で一定期間内に住宅を建てるという条件を元に販売される土地です。ハウスメーカーや工務店が土地を仕入れ、建物とセットで販売することで、自社の住宅を建ててもらいやすくする目的があります。
なぜコスパが良いのか?
建築条件付きの土地は、土地と建物をセットで販売しているというのが特徴です。建築条件付きの土地がコスパに優れている理由は、以下のような点があります。
- 土地と建物をセットで購入できるため、コストを抑えられる
- 建物と併せた利益を見込んだ価格設定が可能なため、土地の価格が比較的安くなる
- 建築費用があらかじめ決まっているので、資金計画が立てやすい
特定のハウスメーカーや工務店にこだわりがなく、希望の間取りやデザインが実現できる場合は、建築条件付きの土地は大きなメリットです。
注意すべきポイント
建築条件付きの土地に注文住宅を建てるにあたって、注意したいポイントもあります。建てる住宅会社が決まっているため、家の仕様や性能もほぼ決まってしまうという点です。たとえば、断熱性や気密性が低い家では、電気代が高くなるという可能性があります。土地や建物の費用を抑えられても、電気代を含むランニングコストが高くなってしまうと、長期的な負担が増える点に注意が必要です。
本当にコスパが良いかは事前確認が大切
コスパを重視して家づくりを進めるなら、住宅性能や仕様をしっかり確認しましょう。たとえば、建築条件のない土地を選び、断熱性能の高い家を建てるほうが、長期的に見ると経済的な場合もあります。初期費用だけでなく、光熱費や維持費などのランニングコストも考慮し、慎重に判断することが大切です。
注文住宅の土地選びで追加費用を抑えるためには「高低差の少ない土地」を選ぶ
注文住宅の土地は、周囲との高低差が少ないほうがコスパに優れています。地盤を整える工事が不要なため、余分な工事費がかからないためです。
周りより低い土地のデメリット
購入する土地が周囲より低いと、雨水が流れ込むというリスクがあります。対策として土を入れるかさ上げ工事が必要になり、追加費用がかかります。また、道路との高低差が大きいと、車や人の出入りが不便になるのがデメリットです。
周りより高い土地も要注意
「では、周りより高い土地なら問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、以下のような理由から注意が必要です。
- 駐車場を作るために、余分な土を削る工事が必要
- 家の位置が高くなるため、階段を設置する費用がかかる
- 土が崩れないようにするため、擁壁を作る工事が必要
このように、高い土地でも追加の工事費がかかる可能性はあります。
コスパを考えるなら高低差の少ない土地を選ぼう
高低差が少ない土地なら整地にかかる費用を抑えられるため、結果的にコスパが良い土地になるというのが魅力です。土地を選ぶときは周囲との高低差が少なく、敷地内の段差が少ない土地を選ぶと無駄な出費を防げます。
まとめ
注文住宅の土地選びは、価格の安さだけで決めるのではなく、初期費用と維持費のバランスを考えることが大切です。コスパの良い土地とは、単に安いだけでなく、追加の工事費が抑えられ、長期的に見ても経済的な負担が少ない土地のことを指します。事前にハウスメーカーや工務店に相談すれば、総合的に判断しやすくなるのでおすすめです。専門家のアドバイスをもらいながら、理想のマイホームに最適な土地探しをしましょう。