注文住宅の諸費用を徹底解説!土地購入から住宅ローンや税金まで知っておきたいポイント
注文住宅を建てるには、建築費だけでなくさまざまな諸費用がかかることをご存じですか?注文住宅の諸費用には、土地購入費・設計費用・住宅ローンにかかる手数料・建築後に支払う税金など、幅広い項目があります。この記事では、注文住宅の諸費用に関する詳しい内訳や費用の目安、節約のコツを解説します。無理のない資金計画で理想の家づくりを叶えたい方は、ぜひ最後までお読みください。
注文住宅にかかる諸費用の種類と費用の目安は?
注文住宅を新築する際の諸費用は、主に以下の4つの項目に分けられます。
- 土地の購入に必要な諸費用
- 家を建てるための建築関連諸費用
- 住宅ローンに関連する諸費用
- 住宅購入後にかかる税金
注文住宅の諸費用は、建築費の約10%が目安とされることが一般的です。たとえば、建築費が2,000万円から4,000万円の場合、諸費用の目安は次のようになります。
建築費の総額 | 諸費用の目安 | 建物工事費用の目安 | 付帯工事費用の目安 |
2,000万円 | 200万円 | 1,400万円 | 400万円 |
3,000万円 | 300万円 | 2,100万円 | 600万円 |
3,500万円 | 350万円 | 2,450万円 | 700万円 |
4,000万円 | 400万円 | 2,800万円 | 800万円 |
それぞれの項目で必要となる注文住宅の諸費用について、詳しく見ていきましょう。
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土地購入に必要な注文住宅の諸費用
注文住宅を建てるには、まず土地を用意する必要があります。土地を持っていない場合は、不動産会社などから購入するのが一般的です。注文住宅の諸費用として、土地購入時にかかる費用には以下のものがあります。
- 仲介手数料
- 契約書印紙税
- 所有権移転登記費用
それぞれの内容について、詳しく解説しましょう。
仲介手数料
仲介手数料とは、土地の購入にあたって不動産会社に支払う費用を指します。不動産会社は、土地の所有者と購入希望者の間に入って手続きをサポートしてくれるためです。
仲介手数料の金額は、「土地の価格×3%+6万円」で計算できます。たとえば、1,000万円の土地なら、手数料は36万円です。
仲介手数料が無料の不動産会社もありますが、土地の価格が割高に設定されている可能性があります。土地を購入する際は、周りの土地価格と比較することがおすすめです。周辺の土地に対して高い場合は、詳細を十分に確認しましょう。
契約書に貼る印紙税
土地を購入するにあたって作成する契約書には、契約金額に応じた印紙税を払う必要があります。平成26年4月1日から令和9年3月31日までは、印紙税の軽減措置が適用される期間です。印紙税は、契約書に書かれた金額によって以下のようになっています。
契約金額 | 通常の税額 | 軽減後の税額 |
500万円を超え1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
契約金額が大きくなるほど、軽減措置によって印紙税を節約可能です。契約書を作成する際は印紙税を考慮し、必要な金額を準備しておきましょう。
所有権移転登記費用
所有権移転登記費用とは、土地を購入するにあたって所有者の名義変更をする際に必要な費用です。固定資産評価額と呼ばれる土地の価値によって金額が変わるので、注文住宅を建てる立地によって支払額は異なります。
- 都市部の利便性の良い土地:評価が高いため、登記費用は20万円〜30万円が目安
- 山間部の土地:評価が低めのため、登記費用は10万円ほどで済む
土地購入の際に発生する諸費用は、地域や土地価格によって大きく異なります。都市部では登記費用が高くなるという傾向があるため、土地選びの際に不動産会社へ事前に確認しておくことが重要です。
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注文住宅の建築時にかかる諸費用
注文住宅の諸費用の中でも、建築にかかる費用は多岐にわたります。とくに家づくり初心者にとって注意が必要な項目は5つあり、費用を把握しておくと予算を決める際にスムーズです。
契約書印紙税
注文住宅を新築する際の契約書には、「印紙税」という税金がかかります。契約金額によって決められた額の印紙を契約書に貼って、納める仕組みです。土地の購入と同様に、令和9年3月31日までは軽減措置が適用されます。
最近は、紙の契約書にハンコを押すのではなく、パソコンやスマホで契約する「電子契約」が増加傾向です。電子契約の場合、印紙税が不要なので諸費用の節約になります。電子契約はハウスメーカーでも徐々に広まっており、当社では既に電子契約を基本としています。
マイホームを建てる諸費用を少しでも抑えたい方は、住宅会社に電子契約ができるかどうか確認してみるのがおすすめです。
各種申請手数料
申請手数料とは、注文住宅を建てるために必要な手続きにかかる費用です。手数料は家の大きさや建てる場所によって異なるため、事前にわかりにくいという課題があります。
多くの人が支払う手数料は主に2つで、30万円〜40万円くらいが目安です。
- 確認申請(家の設計が法律に合っているかのチェック)
- 完了検査(建物が完成した後の最終確認)
また、地域のルールや補助金の申請により、追加の費用が発生する可能性もあります。
申請手数料の確認を後回しにしてしまうと、支払い時に予想より高く感じられるかもしれません。予算が不足しないよう、早めにハウスメーカーや工務店に確認しておきましょう。
設計料
注文住宅を建てる際は、家を設計してもらうための費用が必要です。設計料は依頼する会社によって異なり、住宅メーカーと設計事務所では次のようになります。
- 住宅メーカーの場合:建物価格の2〜5%が相場。3,000万円の家なら、設計料は60万円〜150万円が目安。
- 設計事務所の場合:建物価格の10〜20%が相場。3,000万円の家なら、設計料は300万円〜600万円が目安。
一方で、工務店やローコストメーカーでは、設計料が家の価格に含まれている場合もあります。
設計料は依頼する会社によって大きく異なるため、事前に確認し、見積もりを比較することが大切です。
地盤調査費
地盤調査費用とは、地盤の状況を調べるために支払う費用です。地盤調査を行わずに家を建てると、建物の傾きや沈下のリスクが高まるという可能性があります。めまいや吐き気のような健康被害の原因ともなるので、必ず建築予定地の地盤調査を行いましょう。
地盤調査の費用は約5万円~10万円が一般的で、調査自体の費用はそれほど高くありません。しかし、地盤が弱いと判明した場合は補強工事が必要で、100万円以上かかる場合もあります。
地盤が弱いとされる地域に家を建てる予定がある方は、補強工事にどれくらいの費用がかかるか確認しておくことが大切です。最初から予算に組み込んでおくと、後で慌てずに済みます。
登記費用
登記費用とは、不動産の登記手続きを行う際に発生する費用です。土地や家の正式な所有者であることを証明する、非常に重要な手続きとなります。
一般的な一戸建ての家なら、登記費用は20万円が目安です。ただし、司法書士に手続きをお願いすると、報酬として手数料が加算されます。
登記費用を節約したい場合は、登記申請を自力で行うことも可能です。ただし、自分で手続きする場合は、登記申請書の作成や必要な書類の収集を行わなければなりません。登記は法律に関係する手続きなので、専門的な知識が必要となります。時間や手間を考えると、専門家に依頼するのがおすすめです。
住宅ローンに関連する注文住宅の諸費用
注文住宅の諸費用には、住宅ローンを利用する際に発生する費用も含まれます。主な項目は4つあり、住宅ローンを選ぶ際の重要なポイントです。諸費用が総額にどれだけ影響するかを確認し、最適なプランを選びましょう。
保証料
住宅ローンの保証料とは、万が一返済できなくなった際に、保証会社に代わりにローンの支払いをしてもらうための費用です。
保証料の支払い方法には、次の2つがあります。
- 一括払い:最初にまとめて支払う方法です。3,000万円を35年ローンで借りる場合、保証料は60万円が目安となります。
- 金利に上乗せして少しずつ払う:金利に約0.2%が加算され、毎月の返済額が増える仕組みです。3,000万円を35年ローンで借りる場合は、合計で100万円以上になるケースもあります。
一括払いと金利上乗せの総支払額は異なるため、ご自身のライフプランに合った支払い方法を選びましょう。
事務手数料
住宅ローンを借りる際は事務手数料がかかるものの、銀行や金融機関によって金額が大きく異なります。
手数料の決め方は、借入額の約2%を手数料とする場合と、借入額に関係なく一律5万円〜10万円程度に設定する場合がほとんどです。借入額の2%を手数料としている金融機関で3,000万円を借りると手数料は60万円となるため、手数料が一律5万円〜10万円の金融機関と比べると割高になっています。
最近では、保証料が無料の金融機関が増えています。しかし、事務手数料を高めに設定したり、金利に上乗せしたりしている場合があるので注意しましょう。
団体信用生命保険料
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が亡くなったり、重い障害を負ったりした場合に、ローンの残高を返済してくれる保険です。団体信用生命保険に加入していれば、家族はローンの心配をせずにマイホームに住み続けられます。
基本的なプランであれば、ほとんどの銀行で保険料は無料です。ただし、3大疾病や5大疾病もカバーする場合は、金利が0.2%ほど高くなります。たとえば、3,000万円のローンを35年で借りた場合、金利が0.2%上がると毎月の支払いが約2,700円増えます。
住宅ローンは40代、50代まで支払いが続くため、将来の病気や万が一の事態に備えて、保障を手厚くしておくと安心です。
抵当権設定費用
住宅ローンの抵当権設定費用とは、抵当権を登記するためにかかる費用です。抵当権は、金融機関がローンを確実に返済してもらうための保証として、家や土地を担保とすることで生じます。万が一、ローンの返済ができなくなった場合、銀行は担保となる家や土地を売って残債を回収します。
抵当権を設定すると、ローンを返し終わるまでは家を自由に売れません。 しかし、ローンを完済すれば抵当権は自動的に消え、家の所有権が完全に自分のものとなります。
3,000万円の住宅ローンを借りる場合、抵当権設定費用は登録免許税が約12万円、司法書士への手数料が5万~10万円ほどかかるのが目安です。住宅ローンの借入額が高額になるほど、登録免許税も高くなります。住宅ローンを組む前に、しっかり確認しておきましょう。
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注文住宅購入後に発生する税金
最後に、建築後に支払う必要のある注文住宅の諸費用として、税金を確認しておく必要があります。固定資産税と都市計画税は家を所有している限り毎年支払いが続くため、資金計画に含めておくことが大切です。
不動産取得税
不動産取得税は、家や土地を購入した際に1度だけかかる税金です。支払額は、「固定資産税評価額× 4%」で計算されます。
土地の評価額が高いほど、税金も高くなる点に注意が必要です。ただし、不動産取得税には、税金を安くする「軽減措置」や評価額の控除もあります。条件によっては税金がかからないため、事前の確認が不可欠です。
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点で家や土地などを所有している人にかかる税金となります。家や土地の価値(評価額)をもとに計算され、お住いの市町村から請求される仕組みです。
固定資産税は、家や土地を持っている限り毎年支払いが続きます。原則として「 課税標準額 × 1.4%(標準税率)」で決まるものの、自治体によっては1.4%より高い税率が設定される場合もあるので注意が必要です。
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都市計画税
都市計画税は街づくりのためにかかる税金で、市町村が道路や公園の整備などの都市計画や、土地の区画整理を行うために課税されます。街の発展や住みやすさを維持するために使われ、土地の評価額に応じて決まる仕組みです。
都市計画税がかかるかどうかは、地域ごとの状況に応じて市町村が決めます。建物にかかる税金は、同じような工法であれば大きく変わりません。しかし、土地の税金は場所によって大きく異なり、場合によっては何倍も変わります。土地購入を検討中の方は、事前に都市計画税の金額を確認しておきましょう。
まとめ
注文住宅を建てる際は、「土地の購入費」「家の建築費」「住宅ローン関連費用」「購入後の税金」など、多くの諸費用が発生します。土地購入には仲介手数料や登記費用、建築では設計料や地盤調査費、ローンでは保証料や手数料などが必要です。さらに、不動産取得税や固定資産税を支払う必要もあります。ハウスメーカーや工務店に相談しながら、注文住宅の諸費用を把握して理想の家づくりを実現しましょう。