注文住宅のコストダウンを実現!予算オーバーを防ぐ8つの方法と節約ポイント
注文住宅を建てる際に理想の家を追い求めるあまり、予算をオーバーしてしまうというケースは少なくありません。いくつかのポイントを押さえれば、無駄な費用を削減し、コストダウンを実現可能です。この記事では、予算オーバーを防ぐ8つの効果的なコストダウンの方法を紹介します。無駄な出費を抑え、賢い家づくりを進めるヒントとして最後までおよみください。
注文住宅でコストが上がってしまう5つの原因
注文住宅で予算オーバーを防ぐためには、費用がかさみやすいポイントを把握しておく必要があります。ここでは、注文住宅で多く見られるコストがかかりすぎてしまう5つの理由と、コストダウンを意識した計画の立て方を説明しましょう。
注文住宅にかかる費用やローンの借入額を知らない
注文住宅のコストダウンに大切なポイントの1つは、どのくらいの費用が必要で、住宅ローンの借入額を正しく理解しておくことです。家を建てるために必要な費用は、大まかに分けると次の4つとなります。
- 本体工事費
- その他の工事費
- 手続きにかかる費用
- 土地代
本体工事費だけで予算を考えてしまうと、費用が足りなくなる原因です。また、住宅ローンで借りられる金額が思っていたより少なく、予算が不足するケースも少なくありません。早めにローンの事前審査を受け、ご自身が借りられる金額を確認しておきましょう。
フラット35を検討している場合は、住宅金融支援機構の「住宅ローンシミュレーション」から試算できます。
優先順位が決まっていない
注文住宅を建てる際は、デザインや設備、性能、間取りなどを決めていきます。選択肢が増えるほど、こだわりたいポイントも出てくるものです。具体的な理想があるのは良いことなものの、優先順位が決まっていないと予算がオーバーしたときに困ってしまいます。何を削るか判断できないため、コストダウンが難しくなってしまう原因です。
費用を節約しながら理想の家を建てるためには、「どうしてもに譲れない部分」と「多少は譲歩できる部分」について家族で話し合っておくことが大切です。自分たちで判断できないときは、注文住宅を依頼するハウスメーカーや工務店からのアドバイスも役立ちます。
間取りを計画する際の注意点や優先順位の付け方については、「間取りを自由に選べる注文住宅で後悔しないポイントと7つの具体例を徹底解説」で詳しく解説しています。
入居後の費用を考慮していない
注文住宅を建てるにあたって、初期費用だけに注目してしまうと予算が足りなくなる原因です。家を建てた後も、毎月の電気代や修理費のようにランニングコストがかかります。初期費用が少し高くても高断熱・高気密住宅であれば、毎月の光熱費を削減可能です。工務店のアフターサービスが充実していれば、メンテナンスコストも削減できます。入居後の費用についても考慮して家を建てると、結果的にコストダウンにつながるのがポイントです。
入居後のランニングコストを抑えるためには、ZEH(ゼッチ)のような高性能な住宅を選ぶ方法があります。断熱性や耐震性の高い住宅は、従来の住宅より初期費用がかかるものの、補助金や助成金を利用できる場合がほとんどです。
補助や助成金制度を活かせていない
注文住宅でコストダウンを実現するためには、補助金や助成金制度の活用が大切です。条件を満たせば、家づくりの際に大きな力になってもらえます。補助金や助成金を利用できれば、予算オーバーを防げる可能性が一気に高まるでしょう。
また、控除制度として、「住宅ローン控除(減税)」や「登録免許税の軽減」などもあります。補助金や助成金の申請とともに、控除制度を適切に利用して、トータルの費用を抑えられます。補助金や助成金の申請はハウスメーカーや工務店を通じて行うこともあるので、事前に詳細を確認してみるのがおすすめです。
住宅ローン減税については、「2024年は住宅ローン減税に注意が必要!制度改正で失敗しないマイホームを建てよう」をご覧ください。
安くて良い土地を見つけられない
注文住宅を建てるために土地を買う場合、建築費の予算とは別に土地代がかかります。家づくり全体の30~40%を占めるともいわれているので、安い土地に出会えれば大幅なコストダウンが可能です。安い土地には以下の特徴があるので、条件に加えて探してみましょう。
- 日当たりが悪い
- 複雑な形をしている
- 傾斜がある
- 道路から少し奥に入った旗竿地
安くても条件の良い土地は人気が高く、早く売れてしまいます。不動産会社に条件を伝えて、合う土地があったらすぐに連絡をもらえるようにお願いしておくのがおすすめです。ハウスメーカーや工務店にも声をかけ、多方面から情報を集める方法もあります。
注文住宅に適した土地の探し方については、「土地購入の注意点は?初心者が知っておくべき重要な8つのポイントを徹底解説」で詳しく解説しています。
注文住宅のコストダウンを実現する8つの方法
注文住宅の建築前にハウスメーカーや工務店にプランの作成を依頼し、予算を超えてしまった場合には見直しが必要です。コストダウンを実現するための方法を8つ紹介します。
ウォークインクローゼットを見直す
注文住宅のコストを減らすために、最初に考えるべきポイントはウォークインクローゼットです。ウォークインクローゼットにすると収納が増えると考えがちなものの、収納量自体は増えません。
むしろ、収納の容量は同じなのに歩くための面積が増えてしまい、費用がかさむ場合もあります。「収納量を増やす」以外に特別な理由がないようであれば、ウォークインをやめることでコストダウンが可能です。ウォークインクローゼットの中で着替えたり、アイロンをかけたりしたいという目的があればつくる意味があります。
ウォークインクローゼットを間取りに加える前に、本当に必要かどうか慎重に検討しましょう。従来のクローゼットで十分であれば、ウォークインをやめてコスト削減に努めるのがおすすめです。
2階のトイレをなくす
注文住宅のコストダウンを目指す2つ目として、2階にトイレを設けない方法があります。2階のトイレをなくすと、個室をつくる費用や設備の導入費用を大幅に削減可能です。
3人家族(夫婦とお子さん1人)の場合、1階のトイレだけで十分なケースもあります。ただし、家族の人数が多いご家庭では、朝の忙しい時間にトイレが混んでしまうと不便です。将来的に両親との同居を考えている場合は、2階にもトイレを設置したほうが、より快適な生活が送れるでしょう。
トイレの数を1つにすると掃除の手間が減るメリットもあります。2階のトイレの必要性は、コストやお手入れの煩わしさもあわせて考えてみるのがおすすめです。
建具を減らす
注文住宅のコストダウン3つ目は、ドアや収納の扉などの「建具」を減らす方法があります。建具を必要なところだけに絞ることで、家づくりのコスト削減につながるためです。
具体的には、シューズクロークやファミリークローゼットの入り口にドアの代わりにロールスクリーンを設置し、コストを削減します。寝室や子ども部屋のように、来客が目にしない部屋の収納は扉を付けないのもおすすめです。キッチンの食器棚もオープン棚にしてしまえば、おしゃれな食器を飾ってインテリアとして楽しめます。ただし、オープン収納は埃がたまりやすいので、出し入れの頻度が高い場所にしておくと掃除の手間が省けて便利です。
建具は1つひとつの費用は小さくても、家全体で見ると大きな金額になります。コストダウンを考える際は、外せる部分がないかどうかチェックしてみましょう。
窓は必要な場所だけに設置する
注文住宅のコストダウン4つ目の方法は、窓を本当に必要な場所にだけ設置することです。窓の数が多ければ多いほど、建築費用は高くなります。
たとえば、洗面所やトイレ、お風呂に窓を付けなくても照明でも明るくでき、換気も換気扇で十分です。共働きのご家庭では、日中は窓を開けられず、あまり活用できないケースもあります。リビングの窓も、庭の景色を楽しみたいという目的がなければ減らしても問題ありません。家全体の窓を少なくすると外気温の影響を受けにくくなるため、冷暖房費用が節約できるのもメリットです。
光熱費削減以外にも、空き巣の侵入を防げるなど防犯面でも安心できます。窓の配置を考える際は、本当に必要かどうかをよく考えてみましょう。
注文住宅の窓設計で失敗しないためのポイントは、「注文住宅の窓設計でよくある失敗6選と後悔しないために知っておきたいポイントを徹底解説」をご覧ください。
建物の形をシンプルにする
注文住宅のコストダウン5つ目の方法は、建物の形をシンプルにすることです。多くの住宅会社では、凹凸(でこぼこ)のないシンプルな形が基本の値段となっています。そのため、家の形が特徴的だったり、1階と2階の大きさが違ったりすると、費用が高くなるケースも少なくありません。
凹凸があると追加の材料が必要になり、職人の作業が増えるためです。コストを減らすためには、複雑な形よりもシンプルなデザインを選びましょう。
外観に物足りなさを感じる場合、外壁の色を一部変える、違う素材を組み合わせるという工夫がおすすめです。費用をそれほど必要とせず、個性的な雰囲気の家づくりが実現できます。
屋根の形を切妻や寄棟にする
注文住宅のコストダウン6つ目の方法は、屋根の形を「切妻(きりづま)」や「寄棟(よせむね)」にすることです。屋根には「片流れ」や「陸屋根(ろくやね)」のように多様な形がある中で、切妻や寄棟はコスト削減に向いています。
片流れや陸屋根のほうがシンプルな見た目のため、安く感じるかもしれません。しかし、片流れは他の屋根に比べて外壁の量が増えます。陸屋根は傾斜がほとんどないため、雨水がたまらないようにフラット部分の防水対策を強化する費用が必要です。一方、切妻屋根であれば傾斜があるので水はけが良く、通常の防水施工で雨漏りを防げます。寄棟も同様に雨水がたまりにくい形状のため、全体のコストを削減可能です。
切妻や寄棟屋根は、将来的なメンテナンスの費用も少なく済むというメリットもあります。初期費用とランニングコストを抑えられるので、注文住宅におすすめです。
注文住宅の屋根選びに関しては、「屋根の形状7つの特徴とメリット・デメリットを知ってから住宅デザインを決めよう」をご覧ください。
和室をつくらない
注文住宅のコストダウン7つ目は、和室をつくらない方法となります。和室は畳を使用するため、フローリングに比べてコストが高くなるというのがデメリットです。本格的な和室の場合、白木の柱や枠材で材料費や工事費が大幅に増えます。さらに、床の間をつくると追加で費用がかかり、予算が一気に膨らんでしまうでしょう。
お子さんのお昼寝スペースとして和室を検討しているようであれば、フローリングにジョイントマットを敷けば安全に寝かせられます。老後に和室を寝室として検討しているかもしれませんが、高齢になると布団よりもベッドのほうが寝起きは楽です。そのため、必ずしも畳にこだわる必要はありません。
具体的な目的がなければ、和室ではなく洋室にしてコストダウンを目指すのがおすすめです。
廊下の面積を減らす
注文住宅のコストダウン8つ目は、廊下の面積を極力減らす方法となります。廊下を狭くすると延べ床面積が減り、材料や工事費を減らせるためです。
たとえば、リビングやダイニングと水回りを直結させた間取りにすると、廊下を大幅に減らせます。ドアの向きを工夫して視線が気にならないようにすれば、プライバシーも守れて安心です。マンションでも多く採り入れられているので、間取りの参考にしてみましょう。同様に、キッチンとランドリールーム、ファミリークローゼットを廊下ではなく、部屋同士でつなげる間取りも人気があります。
家の中での移動を短くする間取りは、家事の効率がよくなるというのがメリットです。費用を抑えつつ、家事もしやすい家づくりを目指したい方におすすめします。
注文住宅のコストダウンでどれくらいの費用を削減できるか?
ここまで紹介した注文住宅のコストダウンに役立つ方法で、どれくらい費用を削減できるか具体的な金額を表にまとめました。
ウォークインクローゼットをやめる | 10万円 |
2階のトイレをなくす | 20万円 |
ドアを減らす | 10万円 |
必要な窓に絞る | 50万円 |
建物の形をシンプルにする | 50万円 |
屋根を切妻や寄棟にする | 50万円 |
和室をつくらない | 10万円 |
廊下をつくらない | 30万円 |
合計 | 230万円 |
あくまで目安の額ではあるものの、約230万円もの出費を減らすことが可能です。少しずつの節約も積み重ねれば大きな金額となります。注文住宅を建てる際は、費用削減について前向きに検討しましょう。
まとめ
注文住宅のコストダウンを実現するためには、家づくりのさまざまなポイントで工夫が必要です。今回紹介したテクニックを採り入れると、無駄な費用を抑えつつ理想の家を建てられます。少しずつのコスト削減も積み重なれば、最終的に大きな節約につながります。ハウスメーカーや工務店担当者にも相談し、経済的かつ理想のマイホームを手に入れましょう。