家づくりで予算オーバーする5つの原因とは?失敗しないための対策と費用を抑えるコツ
家づくりで理想のマイホームを実現したいなら、予算オーバーを防ぐためのポイントを押さえておくことが重要です。多くの人が注文住宅を建てる際に、「気づいたら予算オーバーしていた」という失敗を経験しています。家づくりはこだわりが増えるほど費用が膨らみやすく、計画通りに進めるのが難しくなるためです。予算オーバーの原因を事前に理解しておけば、正しい資金計画を立てることで無駄な出費を抑えられます。
この記事では、家づくりで予算オーバーしやすい5つの原因と対策、コストダウンのコツについて詳しく解説します。予算内で理想の家づくりを実現するためのヒントが満載ですので、ぜひ参考にしてください。
家づくりで予算オーバーする5つの原因と対策
注文住宅を建てる上で、理想を追い求めるうちに予算オーバーしてしまうことは珍しくありません。しかし、事前に予算オーバーの原因を知っておけば、無理のない家づくりができます。ここでは、予算オーバーの主な5つの原因と対策方法を紹介しましょう。
1:費用やローンの借入限度額を把握していない
家づくりにかかる主な費用は、以下の4つです。
- 本体工事費
- 付帯工事費
- 諸費用
- 土地代
本体工事費だけで予算を立てると失敗しやすいだけでなく、ローンの借入額が想定より少ない場合もあります。注文住宅を検討中の方は、附帯工事や事務手続き手数料まで考慮し、住宅ローンは早めに事前審査を受けて資金計画を立てることが重要です。
2:優先順位が決まっていない
家づくりを進めていく中で、デザインや設備にこだわりすぎると予算が膨らんでしまいます。予算オーバーを防ぐためにも、家族で「絶対に譲れない部分」と「妥協できる部分」を話し合いましょう。すべての希望を書き出してから、優先順位をつけていくのがおすすめです。
【関連記事】
間取りを自由に選べる注文住宅で後悔しないポイントと7つの具体例を徹底解説
3:入居後のランニングコストを考えていない
マイホームを新築しても、生活していく上でお金はかかります。たとえば、光熱費は家の断熱性や気密性によって大きく異なります。断熱性や機密性が低い住宅では、光熱費が高くなってしまうというのが問題です。初期費用は多少高くなっても、省エネ住宅(ZEH住宅など)を選ぶと、長期的なコスト削減が期待できます。
4:補助金や助成金制度を知らない
一戸建て住宅を新築する場合、条件を満たせば補助金や助成金が受け取り可能です。住宅ローン減税や登録免許税の軽減のように、国が用意している制度もあります。活用できる制度を事前に確認し、予算オーバーを防ぎましょう。注文住宅の場合、設備に対して補助金が出る可能性もあります。
5:安くて良い土地の探し方を知らない
土地を所有していない場合、家づくりに土地代は欠かせません。地域によるものの、土地代は家づくりの30〜40%を占めるケースがほとんどです。しかし、以下のような土地は比較的安く購入できます。
- 日当たりが悪い
- 形が複雑
- 傾斜地にある
- 道路から少し奥まっているL字型の旗竿地
ただし、人気があるため、不動産会社やハウスメーカーに相談して情報収集するのがおすすめです。
【関連記事】
土地購入の注意点は?初心者が知っておくべき重要な8つのポイントを徹底解説
予算オーバーの原因を理解することで、無理のない家づくりは実現できます。しかし、実際に家づくりを進める中で、「気づいたら予算をオーバーしていた…」というケースも少なくありません。予算オーバーしてしまっても慌てずに対処できるよう、予算を調整するための6つのテクニックを以下で紹介しましょう。
予算オーバーを解決するテクニック1:減額工事の見直しでコストダウン
家づくりで予算オーバーしてしまったとき、最初に確認したいのが「減額工事」です。減額工事とは、家づくりにおいて設備や材料を別のものに変更したり、不要なものを省いたりする工事を指します。
減額工事の具体例
- 子ども部屋のクローゼットの扉をなくして、ハンガーラックと棚だけにする
- 和室をやめる
- あまり開けない窓を、開かないタイプの「FIX窓」に変更する
減額工事は、カタログには掲載されていない場合が多くあります。どのような部分で減額できるかは住宅会社によって異なるため、打ち合わせの際に具体的な内容を確認するのがポイントです。
ただし、家の「耐久性」に関わる部分は減額しないように注意しましょう。たとえば、外壁のグレードを下げると初期費用は抑えられますが、将来的に修繕費が高くなるという可能性があります。安い材料は劣化が早く、10年後・20年後に余計な出費がかさむ原因です。外壁や屋根のように家の外部に使う材料は経年劣化が避けられないので、減額しないことをおすすめします。
予算オーバーを解決するテクニック2:金利が低い住宅ローンを探す
家づくりで予算オーバーした際は、「どうにかして費用を抑えないと!」と思うものです。住宅ローンを借りる場合は、毎月の支払いが予定より多くなることが予算オーバーの原因になることもあります。
予算オーバーすると、つい「設備を安価なものに変更する」や「間取りをシンプルにしてコストを抑える」といった方法で費用を削ろうとしがちです。しかし、家づくりのプロは、「建築費はそのままにして、毎月のローンの支払いだけを減らせないか?」という点に注目します。
住宅ローンの「金利」は金融機関によって異なるため、金利が低い銀行を見つけることがポイントです。家の広さやグレードはそのままで、毎月の支払いを安くできるというメリットがあります。たとえば、「毎月8万5千円くらいの支払いに抑えたい」と考えているご家庭が、3,300万円の家を以下の金利で借りたとしましょう。
- 金利1%の住宅ローンで借りると、毎月の支払いは約9万3千円
- 金利0.5%の住宅ローンで借りると、毎月の支払いは約8万5千円
たった0.5%の差で、ほぼ予算どおりにおさまります。
住宅ローンの支払いが予算オーバーの原因となっている場合、他の銀行の金利も調べてみたり、返済額のシミュレーションをしてみたりするのがおすすめです。意外と簡単に予算内におさまる可能性があります。
予算オーバーを解決するテクニック3:家づくりのプランを見直す
家づくりで予算オーバーしてしまった際は、「プランの無駄を見直す」というのも効果的な方法です。プランの無駄とは、家の使い勝手や住み心地に影響しない部分を指します。代表的な例は、「窓」「バルコニー」「廊下」の3つです。
窓の数を減らす
一昔前は主流だった「窓を多く設けて明るい家にする」という考え方は見直されつつあります。防犯やプライバシーの保護、冷暖房費の節約を考えると、必要な場所にだけ窓をつける傾向が高まっているためです。ほとんど使わない窓や、見晴らしが良くない場所にある窓は思い切ってなくしてしまうと、家の建築費を抑えられます。
【関連記事】
注文住宅の窓設計でよくある失敗6選と後悔しないために知っておきたいポイントを徹底解説
バルコニーは本当に必要?
注文住宅には「バルコニーがあって当たり前」という時代もありましたが、共働きの家庭が増えた影響で洗濯物は室内のランドリールームに干す人が増えてきました。洗濯物を干す以外に用途が思いつかない場合、バルコニーをなくすのも1つの方法です。建築費が安くなるだけでなく、将来のメンテナンス費用も節約できます。
【関連記事】
ランドリールームの設計でよくある失敗6選!後悔しないための注意点を徹底解説
廊下を減らしてスペースを有効活用する
廊下は移動のために必要なものの、間取りによっては設置しなくても問題ありません。たとえば、部屋と部屋を直接つなげる間取りでは、廊下は不要です。余ったスペースを有効活用できるだけでなく、床面積が少なくなることで、掃除の手間も減ります。また、固定資産税が安くなるというのもメリットです。
予算オーバーを解決するテクニック4:標準仕様で再見積もりする
家づくりで予算オーバーしてしまった際は、標準仕様で再見積もりする方法があります。標準仕様とは、住宅会社が最初から用意している基本の設備や材料のことです。たとえば、キッチンやお風呂、外壁、屋根などが該当します。標準仕様からグレードアップしたり、便利な機能を追加したりするのが「オプション」です。オプションを多く追加しすぎると予算オーバーとなるので注意しましょう。
車を購入する際、オプションでカーナビや特別なシートを追加して、気づいたら予定より高くなっていたという経験はありませんか?設計の自由度が高い注文住宅でも、同様の失敗が起こりやすくなっています。
予算オーバーを解決するために、オプションをすべて外して標準仕様だけで見積もりを出し直すのがおすすめです。その後、「本当に必要?」「追加するといくらかかる?」と一つずつ確認していきます。必要なオプションだけ慎重に追加していくことが、予算内におさめるコツです。
「どうしても外せないオプションがある」というときは、家族や友人に相談してみましょう。実際、床暖房のオプションを外せずに悩んでいた人が友人に相談したら、「床暖房って冬しか使わないよね」という一言でハッと気づき、予算オーバーを解決できた話もあります。
予算オーバーを解決するテクニック5:利用可能な補助金の確認する
家づくりで予算オーバーしてしまったさいは、補助金の活用によって負担を減らすことが可能です。一戸建て住宅を新築する際、条件を満たせば、国や自治体から補助金や助成金を受け取れる制度があります。
2025年に国が用意している主な補助金は「子育てグリーン住宅支援事業」と「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」です。
【子育てグリーン住宅支援事業のポイント】
対象となる住宅 | GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅 |
対象となる人 | GX志向型住宅は、すべての世帯/長期優良住宅・ZEH水準住宅は、子育て世帯(18歳未満の子どもがいる世帯)または若者夫婦世帯(どちらかが39歳以下) |
補助金額 | ・GX志向型住宅:160万円/戸・長期優良住宅:80万円/戸・ZEH水準住宅:40万円/戸 |
申請条件 | 2024年11月22日以降に上棟された家が対象 |
【ZEH補助金のポイント】
区分 | ZEH | ZEH+ |
基本の補助金 | 55万円/戸 | 90万円/戸 |
追加でもらえる補助金 | ・蓄電システム:最大20万円・高度エネマネ:2万円 | ・蓄電システム:最大20万円 |
主な条件 | ・断熱等級5以上・省エネ性20%以上削減・太陽光発電の設置 | ・ZEHの条件をすべて満たす・省エネ性25%以上削減・高度なエネルギーマネジメント導入など |
自治体による補助金制度の内容は、地域によって異なります。注文住宅を建てる予定地の役所に問い合わせて確認するのが確実です。
なお、補助金の受付は先着順の可能性が高いので、募集が始まったらすぐに申請できるように準備しておきましょう。信頼できる工務店では、補助金がもらえるようにスケジュールを組み立ててくれます。
補助金とあわせて知っておきたいのが「住宅ローン控除」です。住宅ローンの残債に応じて、所得税が戻ってくる制度となります。たとえば、3000万円のローン(35年払い)を年収600万円・扶養家族2人のご家庭が借りた場合、毎年約20万円、13年間で約221万円戻ってきます。2025年末までに家を建てることが条件となっているものの、車1台買えるほどの金額です。
予算オーバーを解決するテクニック6:外構工事は後回しにする
家づくりで予算オーバーしてしまった際は、外構工事を後に回せないか検討します。外構工事の代表例は以下のとおりです。
- 塀
- ウッドデッキ
- 植木
- ライトアップ用の照明
- 物置など
外構工事の多くは、注文住宅が完成してから着手しても問題ありません。たとえば、ウッドデッキはなくても困らないので、今すぐ予算を見直したいときにおすすめです。植木やライトも予算に余裕ができてからの設置で十分間に合います。物置は実際に住んでみてから「ここが使いやすい!」と思う場所に設置したほうが便利です。スペースだけ確保して、入居後に実物を選ぶのも良いでしょう。
【関連記事】
外構工事で後悔しないためには?注文住宅でよくある7つの失敗と注意点
まとめ
家づくりで予算オーバーする主な原因を事前に理解してけば、理想の家づくりがスムーズに実現しやすくなります。万が一予算オーバーしてしまっても、記事で紹介した6つの解決法を参考にすれば調整が可能です。注文住宅を建てる際は、現実的な資金計画と柔軟な対応が求められます。信頼と実績のあるハウスメーカーや工務店を探し、後悔のない家づくりを目指しましょう。