小屋裏収納とは?設置に必要なポイントやメリットとデメリットを徹底解説
小屋裏収納とは、屋根裏空間を有効活用する収納方法です。季節外れのアイテムや大型グッズをしまえるため、お子さんがいるご家庭や趣味が豊富な人にとって便利だと人気があります。この記事では、小屋裏収納の設置に必要なポイントやメリット・デメリットについて詳しく解説します。ロフトとの違いについて知りたい方や物の保管場所を確保したいとお悩みの方は、ぜひ参考にお読みください。
小屋裏収納の基礎知識
小屋裏収納は、戸建て住宅に多く見られるスペースです。屋根の形状によって広さや使い勝手が大きく左右されるため、注文住宅の場合は設計段階での検討が重要となります。ロフトと似ているものの、使用目的や定義に違いがあるので注意が必要です。建築基準法に則って正しく建築するためにも、小屋裏について理解しておきましょう。
小屋裏収納とは?
屋根裏の空間を使った収納方法で、屋根が三角や斜めに傾いている住宅に多く見られます。「屋根裏収納」や「グルニエ」とも呼ばれ、注文住宅でも注目されるスペース活用法です。
建築基準法では、小屋裏は以下のように定められています。
・住宅用の建物に設ける ・存ずる階の床面積の半分未満 ・天井の高さは1.4メートル以下 ・窓や通気口を設ける場合は床面積の20分の1が上限 |
「高さが1.4m未満で、床面積が下の階の半分以下」とある通り、居住スペースとしての用途は目的としていません。自治体によって、小屋裏のサイズや利用方法に関する規定が異なります。建築予定地の役所や工務店に問い合わせると、詳細な情報を入手できるのでおすすめです。
小屋裏収納とロフトの違い
小屋裏とよく似た形状のロフトは、部屋の天井を上げてつくった中2階のような空間を指します。小屋裏と同様に居住スペースとしては認められていないものの、条件を満たせば固定階段を設置できるというのが特徴です。一方、小屋裏には固定の階段を設置できないのが原則のため、取り外し可能なはしごや折りたたみ式の階段を使用して上り下りします。
小屋裏収納5つのメリット
住宅に小屋裏を設けると、生活スペースを圧迫せずに大容量の収納を確保できて便利です。シーズンアイテムを目につかない場所にしまえるため、物が多いご家庭でもスッキリと暮らせます。他にも多くのメリットがある中から、代表的な5つを紹介しましょう。
デッドスペースを有効活用できる
土地には「容積率」というルールがあり、建物を建てる際の床面積の上限が決められています。注文住宅の設計にあたっては、容積率を考慮しながら各階の広さを調整していくことが非常に重要です。ただし、小屋裏は条件を満たせば床面積に含まれないため、見逃されがちな空間でもあります。デッドスペースになってしまう場所を収納場所として活用できるのが画期的なポイントです。
大きなアイテムも収納可能
屋根の形状によって異なるものの、小屋裏は通常の収納スペースよりも広い空間を確保しやすくなっています。そのため、以下のような大きなアイテムをしまう場所としても最適です。
- 暖房器
- 扇風機
- 雛人形や兜
- クリスマスツリー
- スキー板
- アウトドア用品など
通常の収納では収めるのが難しいサイズや使用頻度の低いアイテムも、小屋裏収納なら居住スペースを邪魔せずに片づけられます。
子どもの遊び場として使える
小屋裏は天井が低く、まるで秘密基地のように子どもたちがワクワクする空間です。身長が140cm以下であれば、おもちゃを広げて自由に遊べるでしょう。ただし、安全面を考慮しないと重大な事故につながる可能性もあるので要注意です。設計段階で工務店の担当者と相談し、転落防止などの対策を講じる必要があります。入居後も子どもだけでなく、大人が同伴するなどの安全管理は欠かせません。
雨漏りの早期発見に役立つ
小屋裏収納があると、屋根裏を観察する機会が増えます。近くで見られるので、雨漏りがあっても早めに見つけて対処が可能です。一般的な住宅の場合、屋根裏の柱や梁の腐食が発見しにくく、気づいた時には深刻な事態となってしまうケースも少なくありません。小屋裏収納は家のメンテナンスに役立ち、外観を美しく保ちたい人にもおすすめです。
固定資産税を減らせる
小屋裏は、建物全体の床の広さを合計した延床面積に含まれないという特徴があります。高さや面積の制限があり、居住スペースとして適切ではないためです。建物の固定資産税は広さによって決まるため、延床面積は小さいほうが安くなります。押し入れやクローゼットのような収納スペースは延床面積に含まれるのに対して、小屋裏収納は含まれないため、税金の支払額を減らせます。
小屋裏収納のデメリットと対処法
小屋裏収納にはメリットがある一方で、デメリットとなる問題もいくつかあります。とくに注文住宅の場合は、屋根の形状も影響してくるので設計段階での対策も必要です。ここでは、小屋裏収納のデメリットと対処法について紹介します。
建築費用が必要
注文住宅に小屋裏収納をつくるには、階段やはしご、内装などの費用が必要です。広さや形状によって異なるものの、4〜6帖ほどの広さであれば、15万〜30万円が目安となります。入居後にほとんど使わなくなってしまうケースもあるので、予算や使用目的について十分考慮しましょう。
収納物の出し入れが面倒
小屋裏収納を使うには、階段やはしごを使って上り下りする必要があります。収納物の出し入れが面倒に感じられると、利用頻度が低下してしまうというのが課題です。使用頻度を減らさないためには、小屋裏の入り口を広めに設定してアイテムを出し入れしやすくするなどの対策方法があります。
外の気温に影響されやすい
小屋裏は屋根の真下に位置するため、夏は暑く、冬は寒くなりがちです。外気温に影響を受けやすく、温度や湿度の変化に弱いアイテムの収納には適していません。たとえば、ゴルフクラブのようなカーボン製品や、熱や湿気に弱いゴム製品は、別の場所にしまったほうが良いでしょう。
収納方法を考える必要がある
小屋裏収納では、どこに何を収めるのかを考える必要があります。整理整頓をして、必要な物がすぐに見つかるように心がけましょう。入居後の生活を想像しながらしまい方を考え、専用の棚をDIYするのもおすすめの方法です。季節ごとに分けたり、使う頻度に合わせて収納場所を決めたりすると、使いやすさが格段に向上します。
立ち上がって動けない
小屋裏収納の中は天井が低く、立ち上がって自由に動けません。中腰での作業が基本となるため、身体に負担がかかるというのが課題です。重い荷物を運ぶために力を入れようとしても、体勢を整えるのは簡単ではありません。小屋裏収納に収める荷物は、しゃがんだ状態でも動かしやすい物にするのがおすすめです。
小屋裏収納の間取りを考えるポイント
小屋裏収納の間取りを考える際には、いくつかのポイントを抑えておくことが重要です。機能性や使い勝手はもちろんのこと、目的や住まいの特性までを十分に考慮します。ライフスタイルや収めるアイテムに合わせて、最適な間取りを考えるコツを紹介しましょう。
必要性について検討する
小屋裏収納は注文住宅にあると便利なものの、すべてのご家庭に必要なわけではありません。多くのメリットがある反面、大型アイテムの出し入れが難しく、暑さの影響を受けやすいという課題もあります。収める物によっては、小屋裏ではなく他の間取りが適している場合もあります。収納したいアイテムや家族構成などを踏まえ、ご自身の住まいに本当に必要かどうかを確認しましょう。
コンセントや照明の適切な配置
小屋裏収納内の使い勝手に直結するのが、コンセントや照明の配置です。どこに何を収納するのかを決めずにコンセントの位置を決めてしまうと、差し込み口を塞がれて使いづらくなってしまう可能性もあります。照明に関しても同様で、適切な配置を考えないと荷物で影ができてしまい、全体が十分に明るくならない問題が生じます。小屋裏にしまうアイテムの種類や量、出し入れのシーンをシミュレーションし、適切な配置を考慮しましょう。
はしごと固定階段の選択
小屋裏収納の使い方に合わせて、はしごと固定階段のどちらを利用するかも重要な検討材料です。はしごは設置費用を抑えやすく、スペースを取らないメリットがあります。ただし、物の出し入れには手間がかかり、頻繁に使うには少し不便です。固定階段は使い勝手が良い反面、管轄する自治体によっては設置が認められていない可能性もあります。固定階段の設置を考えている場合、住宅会社に相談して地域の規制を確認してもらいましょう。
カビや収納物の変形を防ぐ
湿度が高くなりやすい小屋裏空間では、湿気によるカビや収納している物の変形を防ぐ必要があります。小屋裏の換気対策としては、窓や換気扇の設置が有効です。ただし、窓にはいくつかの制約があり、換気機能のない窓は設置できない場合もあるため注意しましょう。小屋裏収納は居住スペースとは異なるため、快適性を求めるのが難しい場所です。使用目的を明確にし、入居後にデッドスペースとならないようにします。
太陽光発電や屋上の設置を検討する場合は早めに相談
注文住宅に太陽光発電や屋上の設置を検討している場合は、工務店担当者に早めに伝える必要があります。太陽光パネルや屋上の設置は、屋根の形状や小屋裏の間取りに影響を与える可能性があるためです。相談が遅れると設計のやり直しが必要となり、余分な費用が発生する恐れもあります。小屋裏収納に関しては建築基準法に関わる部分が多いため、専門家のアドバイスなしに話を進めるのはおすすめしません。
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小屋裏以外の収納スペースを紹介
注文住宅の収納を増やす方法には、小屋裏以外の選択肢も存在します。住宅の収納は、目的に合わせて適切な場所に設けるのが理想です。小屋裏収納以外にも人気のスペースと間取りについて紹介します。
玄関収納
靴を履いたまま出入りできる大容量の収納スペースで、室内に持ち込む荷物を減らしてリビングを片づけやすくするというのがメリットです。ベビーカーや自転車を室内に置けるので、盗難防止にも役立ちます。玄関収納は主に、出入口が玄関のみの「ウォークイン」と玄関から室内に通り抜ける「ウォークスルー」タイプの2種類です。
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パントリー
キッチン専用の収納スペースで、調理器具や食料品のストックを保管できます。大きく分けると、「壁面収納型」と「ウォークイン型」の2種類です。キッチンと玄関の動線上にも設置でき、買い物から帰った後に重たい荷物を持ち運ぶ必要がなくなります。パントリー内に冷蔵庫や調理家電を収めることもでき、キッチンの生活感を減らしたい方にも人気です。
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リビング収納
リビングに設ける収納全般を指し、アイデアは多岐に渡ります。壁面収納や小上がりやスキップフロアにスペースを設ける方法、ウォークインタイプの小部屋を設けるパターンも人気です。しまっている物の中身がリビングから見えないように扉などを使って目隠しすると、スッキリとした印象を与えられます。
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ファミリークローゼット
家族の衣類を1か所にまとめてしまえる収納スペースで、衣類を各部屋に届ける必要がなくなり便利です。お子さんの洋服やバッグをまとめることで、片づけの習慣を身につけるサポートにもなるでしょう。帰宅時の動線を考えて、玄関と寝室の間にファミリークローゼットを設置する間取りも人気があります。
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床下収納
キッチンなどの床下に設けられる収納スペースで、小屋裏収納と同様にスペースを圧迫しません。熱がたまるリスクは低く、荷物の出し入れも容易というメリットがあります。ただし、空間自体はそれほど広く設けられないため、大型アイテムや大量の物は別の方法を検討しましょう。
物置
庭に十分なスペースがある場合、屋外に物置を追加で設置できます。屋外で使用するアイテムを収納しやすいのがメリットなものの、物置の床面積や設置場所によっては申請が必要な場合もあります。物置を土地に固定すると固定資産税の対象になるケースもあるので、設置は専門家に相談しながら検討しましょう。
まとめ
小屋裏収納は居住スペースとしては認められないため、天井の高さや床面積には制限があります。ただし、延床面積に算入されず、固定資産税の対象外というのがメリットです。注文住宅の場合、小屋裏以外に収納スペースを設ける方法もあります。快適な暮らしを実現するためにも、ご自身の住まいに必要かどうかを慎重に検討しましょう。